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《リクエストノベル》
禁忌の薬師
(ファンタジー、藤澤受け)
大森元貴、若井滉斗、藤澤涼架は同じ村の幼馴染。
その中でも藤澤は薬師の家系に生まれた特殊な能力の持ち主。
3人は大の仲良しで毎日一緒に遊び、自分の特技の見せ合い。
「俺たち3人、ずっと一緒な!」
そんなある日、3人にとってとても不幸な出来事が──。
全9章予定
※かなり藤澤受けがすぎるので嫌な方はスルーして下さい🙇♀️(触手シーンとか…です)
村の外れに広がる草原は、子どもたちの遊び場だった。
澄んだ空気と夏草の匂い。
小さな村に生まれた大森、若井、藤澤の三人は、朝から日が暮れるまで走り回り、転げ回って遊んでいた。
「なぁ、元貴! もう一回あの歌やって!」
木陰で水を飲みながら若井が声を張り上げる。
汗で額が濡れているのに、瞳だけは元気いっぱいに輝いていた。
「うん……いくよ」
大森は小さな胸いっぱいに息を吸い込み、声を放った。
澄んだ歌声が空に舞うと、空気が震え、紅い光の帯がひらひらと現れた。
五線譜のような模様を描きながら漂い、三人を包む。
「わぁ……! やっぱりすごいな、元貴」
藤澤が目を丸くして、帯を掴もうと手を伸ばす。
触れた瞬間、赤い光が指先に吸い込まれるように散った。
「すごいけど、まだ上手くコントロールできないんだ。飛んだり、守ったり、いろいろできるはずなんだけど……」
大森はちょっと恥ずかしそうに俯いた。
「大丈夫だよ! お前は絶対、もっとすごくなる!」
若井が豪快に笑い、隣に置いてあった琵琶型の大剣を抱き上げた。
幼い身体には重すぎるはずなのに、若井は持ち上げて軽く振る。
ゴォンと低い波動が響き、草が揺れた。
「ほらな! 俺も父さんに教わったんだ。力は誰より強いんだって!」
得意げな笑顔に、藤澤も負けじと笑い返す。
「じゃあ、僕も見せる!」
藤澤は腰にぶら下げた小さな円環型の鍵盤を取り出した。
指でポン、と一音を弾くと、細かな粉が舞い上がる。
風に乗って光の粒のように広がり、三人の頬に触れた。
「なんか……あったかい」
大森が目を細めると、若井も頷いた。
「これ、薬師の家に代々伝わる力なんだって。花粉みたいに見えるけど、傷を癒したり、元気を出させたりできるんだよ」
藤澤は胸を張ってみせた。
「すげー! じゃあ俺たち、みんな特別なんだな!」
若井が声を上げる。
「そうだね。きっと……これからも一緒に戦える」
大森が笑うと、藤澤も嬉しそうに頷いた。
──まだ子どもの彼らにとって、“戦う”なんて言葉は遊びと同じ意味しか持っていなかった。
でも確かにその時、三人は未来を信じていた。
「なぁ、約束しようぜ」
若井が大剣を地面に突き刺し、両手を差し出した。
「ずっと一緒にいるって」
大森も、藤澤も、その手に自分の手を重ねた。
「ずっと一緒だよ」
三人の声が重なり、紅い光の帯、琵琶の低音、魔法の粉が混ざり合って宙に舞った。
夕暮れが迫り、村に帰る頃。
朱に染まった空を見上げながら、藤澤がふと呟いた。
「……僕たち、これから先も、絶対に離れないよね」
その時、大森も若井も、迷いなく頷いた。
幼い心に刻まれたその誓いが、後にあれほど切なく重く響くことになるとは、まだ誰も知らなかった──。
コメント
7件
クスシキ最高ですよね💖
今日2連続だ〜たくさん作品見られてうれしい·͜·ᰔ
初コメ失礼します!クスシキパロだ~! 作品読んでて三人の服装とか様子がめっちゃMVのまま想像できた! 続編楽しみです✨