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 月に関する問題が解決したので、拠点建設は直ぐに開始できる。

「フィーレ、指定された場所を間違えないでね?」




「問題ないよ、目印も用意してくれたみたいだしね」




「分かりやすいように月面基地に連絡して旗を立てておいたんだ。間違えることは無い筈さ」




 当たり前だが、ティナのやらかしを警戒して先に手を打った結果である。知らないのはティナだけだ。




「わざわざありがとうございます、ジョンさん。じゃあ、早速取り掛かって良いですか?」




「ああ、問題ない。手伝えることがあるなら何でも要望してくれ。出来るだけ対応させて貰うからね」




「はい。じゃあフィーレ、お願いするね」




「任せて。アリア、あとよろしく」




『お任せを、マスターフィーレ』



 フィーレは端末を弄ると後はアリアに丸投げした。建設に必要な資材や作業用ポットは全部プラネット号に積み込んである。あの広い格納庫は完全に倉庫扱いだ。

 こっちも端末を確認すると軌道上で待機していたプラネット号が銀河一美少女ティリスちゃん号の側から離れて月へ向かう様子が映し出された。

 後はアリアのサポートを受けてフィーレがポッドを遠隔操作するだけだ。といっても、既に建設プログラムは組み込んであるから一部の難しい作業以外は全部自動らしい。




「クレーターもありませんし、良い場所を提供してくれたみたいですね」



 同じく端末を弄って提供されたエリアを確認していたフェルが評価してくれた。確かにクレーターもないし、整地の手間は少なくて済みそうだ。




「我々の気持ちだよ。まあ政治家の皆さんには思惑があるだろうが、私には関係無い話さ」




「あはは、それは言わない方がいいんじゃない?ジョンさん☆」




「なに、腹の探り合いは苦手なんだ。まして、君たち相手にそんなことをする必要はない。それが分からない人が多くて困るよ」




 私は政治家じゃないんだから、腹の探り合いなんてしないで誠実に対応してくれたら誠実に返す。それだけだよ。



「さて、月の問題が解決したようだから次の話題に移ろうじゃないか」




 ここで口を開いたのは白衣にメガネの中年紳士、エドワード=ホップスさんだ。異星人対策室研究部門の主任さんで、皆からはドクターと呼ばれている。

 本人曰く雑食な人らしくていろんな分野の博士号を持つ凄い人だ。一部からはマッドサイエンティスト何て言われているけど。




「分かった。次は技術についてなのだが……」



「フィーレ君と言ったね。私は異星人対策室の研究部門を任されているエドワード=ホップスと言う。まあ、君と同じような地球人と考えてもらって良い。地球の技術に関心を寄せてくれるのは学者の端くれとして嬉しいし、気持ちも十分に理解できる。しかし、技術と言うものは開示を要求されてホイホイと渡せるものじゃないことは理解しているね?」




「あの、ドクターさん。その件は……」



 私がフォローしようとしたら、フィーレが一歩前に出た。




「理解してるよ、センセー。何か見返りが欲しいんだよね?」



「話が早くて助かる。見返りと言うよりは、技術交流……いや、技術支援を要望したいのだよ」



「ふーん……何が欲しいの?」




「挙げればキリがないが、有史以来我々地球人類は食料とエネルギー問題に悩まされてきた。食料生産については近年著しい発展を見せているが、エネルギー問題に関しては出口が見えていない」




 エネルギー問題かぁ。私が生きていた頃から問題になっていたけど、今の地球を見る限りより深刻になってるのがわかる。だから統合宇宙開発局を設立して宇宙開発を速めたんだろうなぁ。地球の地下資源の枯渇が間近に迫っているから、宇宙へ目を向けた。




「エネルギー問題ねぇ。地球で言うダイソン球があれば解決するんだけど」




 ダイソン球は恒星を卵のからのように取り囲んでエネルギーを回収する建造物だ。恒星から出るエネルギーは莫大で、しかも寿命が長いから恒久的に利用できる。当然ながらアードも恒星にダイソン球を建設している。まあ、魔法があるからある程度の資源は自給できるんだけどね。

 太陽ならまだ数十億年は利用できるはず。膨張するまでだと考えても五十億年は持つかな。先に人類が滅びそうだけど。



「ダイソン球か、残念ながら我々地球の技術では理論の研究段階だ」



「どのくらいの技術レベルがあるか分からないとアドバイスなんて無理だよ」




「ふむ、それもそうだ。君は協力する姿勢を見せてくれた。これを見たまえ。私の権限で許されるだけの技術資料が収まっている……おっと」



 ドクターさんがタブレット端末を取り出した瞬間フィーレが手招きすると、タブレット端末がドクターの手から離れてフィーレの手元へ飛んでいく。魔法を使った!




「コラッ!フィーレ!」




「いや、ティナ君。構わないよ。好奇心が旺盛なようで何よりだ」




「もう……ごめんなさい、ドクター」




 フィーレはドクターから強奪したタブレット端末をスキャナーでスキャンしてる。見た目は拳銃みたいな形をしているけど、銃口に当たる部分から光が出て解析している。多分中身と一緒にタブレットの機能も調べているんだろうなぁ。




「ティナ、彼女の解析には時間が掛かるだろうし次の話をしよう。今回の訪問地にリクエストはあるかな?」




「うーん、取り敢えず日本にはまた行くつもりですけど」




 美月さんに会いたいし、お土産を用意してくれているみたいだからね。




「ふむ、それ以外には?」




「フェル、ばっちゃん。他に行きたいところはある?」




「私はティナと一緒ならどこでも大丈夫ですよ」




「うーん、色んな国を見てみたいって思いはあるかなぁ☆」




「特にはありませんよ」




「それならこちらでスケジュールを立てて良いかな?おそらくだが、英国へ行って貰うことになると思う」




 おっと、英国かぁ。正直食べ物が不味い印象しかない。でも合衆国の面子もあるだろうし。




「分かりました、お任せします」




「ありがとう、ティナ。助かるよ」




「ジョンさんにはいつも助けられていますから」




 私とジョンさんが和やかに話していると、フィーレが顔を上げた。そしてまた手を動かすとタブレット端末がドクターさんの手元へ戻った。アリアのサポート込みでも早いなぁ。




「はいこれ、幾つかの研究の答えを書き加えておいたよ。それと、地球の技術で実現可能なパルスドライブシステム。初歩も初歩だけど、これがあれば海王星だっけ?あそこまで一時間で行けるよ」




 はっ!?

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