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え、キュンです()
楓「」
母[]
彼〈〉
[楓ー、起きなさーい?]
「うーん…今起きまーす。」
母の声で目が覚める。
顔を洗って、髪を結んで…
「?」
つい鏡の自分に話しかけてしまった。
いや、話しかけるに決まってる。
だって、今までと全く違うからだ。
↑今までの楓
とりあえず、髪を結ぶとするか。
この状態で冷静でいられるのが私のちょっとした自慢。
「この髪色にはこれが合うかな?」
「あ、以外と合わない?」
「あれ?このピン…」
洗面所には、いつも私がつけていた思い出の髪留めのピンがあった。
あれは、私が幼い頃…
目立つのが好きではなかった私は、真っ黒な髪と真っ黒な目に喜び、暗い服を好んで着ていた。
[楓ったら、もっと色を入れればいいのに。]
「いいもん。私は黒がいいの。」
[…じゃあ、せめてこれをつけなさい。]
「⁉︎」
母は私に金色のシンプルでも可愛らしい髪留めのピンをつけてくれた。
地味が好きだった私だが、このピンだけは何故かいつもつけていた。
ここにもあるとは…
そして、また私はこのピンに手を伸ばしてつけている。
「出来た。」
そこには、本当に私とは別人の私がいた。
↑今の楓
到底私には見えなかったが、動きが全く同じ感じ、どうやらこれは私のようだ。
「めっちゃ赤い…なんか辺な感じ」
いつも暗かった私は、真っ赤な私に驚きしか浮かべられない。
[楓ー?早く…今日髪型違うのね。]
後ろには驚いているしらない女性…多分私の母がいた。
「えっと…き、今日、イメチェンをね!」
[…そう。早く準備しなさい。朝ご飯できてるわよ。]
「はーい。」
どうやらうまく誤魔化せたようだ。
「じゃ、朝ご飯食べに行くか…」
「ごちそうさまでした。」
[じゃあ、早く準備しちゃいなさい。]
「はーい。」
ブルルルル、ブルルルル、
部屋に戻ると、見計らったかのように電話がかかってきた。
「誰からだろう、…え?」
「なななな、なかむって、あのなかむさん⁉︎」
なかむというのは前の世界で私が好きだったゲーム実況者『ワイテルズ』のメンバーだ。
「あ、電話電話!」
私は慌てて電話に出た。
「も、もしもし!」
〈あ、もしもし?〉
電話に出ると、ずっと聞いていた彼の声がした。
「本当になかむさんなんだ…」
〈どうした?具合でも悪くした?〉
「し、してないです!」
〈なんで敬語なのさw〉
「え⁉︎あ、えと…」
〈…本当にどうしたの?〉
「い、いや、なんでもない‼︎それより、どうしたの?」
〈いや、いつもの無駄電話だけど。〉
「無駄電話?」
〈…ねぇ、本当に心配。何かあったらいいな?〉
「…実は…」
私は全てを話した。
〈…えっと、つまり今の楓は楓だけど楓じゃないって事?〉
「そうなりますね。」
〈分かりにくいけど…ワイテルズ見てくれてありがとう‼︎〉
「あ、ありがとうございます…」
彼は聞き馴染みのある声で私を○してくる。この鈍感が可愛いのだが。
〈とりあえず君の事も知りたいし、今日一緒に学校行こ!〉
「…へ⁉︎」
私は大きな声を上げてしまう。
皆も考えて欲しいのだが、推しと一緒に学校に行くとなったら叫ぶのもおかしくないと思う。
〈どうしたの⁉︎〉
「あ、いや、大丈夫です‼︎よろしくお願いします‼︎」
〈オッケー!じゃあ、楓ん家行くわ!〉
「は、はい‼︎」
「切れた…」
私は大きなため息をついた。
というか、とてつもなく緊張していた。
推しがここにくる。それだけで心臓がバクバクしている。
本当にあったらどうなるんだか…
不安を抱きながら、私は準備を始めた。
ピーンポーン…
[楓、なかむくんがきたわよ。]
「あ、ありがとう!行ってきます!」
[いってらっしゃい。]
私は力強くドアを開けた。
〈お、きたきた!おはよう!〉
「お、おはようございます‼︎」
〈固いよwタメ口でいいよ?〉
「あ、えっと…おはようご…おはよう///」
〈………⁉︎///〉
タメ口になれるのは時間がかかりそうだ。
「い、いこっか‼︎」
〈あ、うん!〉
私達は歩き出した。