風の強い日だった。
「すまない先生!」
風にローブをはためかせるMr.ブラックの悲痛な声が城の屋上に響く。しかし強い風に煽られてブラック自身も自分の言葉が聞き取りづらかった。すまない先生には聞こえているのか少し怪しい。
バンッ!
階段室の扉が勢いよく開きMr.赤ちゃんが屋上に飛び込んで来た。余程急いで来たのかパーカーのフードが脱げている。
「すまない先生っ!!」
Mr.赤ちゃんも悲痛な声ですまないを呼ぶ。ブラックよりずっと大きな声だ。すまないは2人に気づいたはずだが動こうとはしない。
同刻。
「馬鹿……」
監視室で監視カメラの映像を見ていた風夜はそう呟いた。
「何をするつもりなんだ……?」
「……信じたくないけど……予想はつく……」
別の棟の屋上でMr.バナナとMr.銀さんが呟いた。
「先生何する気だよ……!(小声)」
「……飛び降りる気だろうな……(小声)」
階段室の壁に擬態したMr.ブルーと階段室の上で猫に変装したMr.レッドがそう言葉を交わした。
(……?何故……屋上にすまない先生が居るんだ……?)
取引先と商談をしながらもMr.マネーの頭の中は疑問符で埋め尽くされていた。
「すまない先生っ……お願いですから、聞いてください……」
「ブラック……みんな……」
すまないは屋上の端に立つ。
「すまない先生、そこは危険です。戻ってください」
しかしすまないは動かない。
「……ごめんね……僕の病気は何をしても治らないらしい。だからもういいよ……」
静かな声だが風にかき消される事も無くブラックに届いた。
「……もう……心残りはないよ……でも……そうだね……君達の願いが成就するその日をこの目で見る事ができない事……今はただそれだ方……“少し、悲しい”」
すまないは悲しげに微笑み目を閉じ、体を後ろに傾けた。
「っ……!」
「すまない先生!待っ……!」
すまないの体から屋上の端を超えた。
「……あ……」
Mr.すまないは重力に引かれて下へ下へと落ちていった。
____ウォーターチャレンジ王国
国王、Mr.すまない。死亡____
コメント
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えっ…ここから物語が始まるんですね…ここから一体どうなるんでしょうか…?