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「鶫。はいこれ拷問しといて」

「了解です。リリーさん」

マジカルシークレットでは、大抵殺人科や掃除科の者たちが生け捕りにしてきた奴らを拷問科が拷問をする。

…それか、稀に誘惑科へ…

「さてと…次の仕事はなんだったかしら…」

「リリー。休まず仕事をしているようだが、ちゃんと休息はとっているのか?」

「お兄様…大丈夫ですわ、これくらい。吸血鬼ですもの。血さえあれば…」

「そうだったな。おっと、これは…二人任務だな。一緒に行くか」

「もちろん。足引っ張らないように気をつけますわ」

「ああ、期待している。さっさと終わらせて帰ろう」

有栖院相馬。彼は、リリーの実の兄であり、リリーと同じ吸血鬼である。二人はとても仲が良く、よく二人で仕事をしたりもしているそう。

「そういえば…お兄様。一度蒼に会ってみませんか?なかなか面白い子ですのよ?」

「…すこし、興味はあるのだ。まぁ、仕事が終わったら会うとしよう」

「まぁ、もうすぐくると思いますしね」

二人は、仕事場へと向かった…


一方。二人が本部を出てすぐの頃。

「失礼しまーす…あれ?誰もいないな…」

俺は寝坊してしまったためいつもより遅く本部に着いてしまった。怒られるかもと思ったけれど、誰もいなかった。

…いや、かえって誰もいない方が怖い…

「私がいるんですが」

「おわっ!?」

いきなり何!?怖いんですけど…てか心読まれてない!?

…あ、冷静になって考えるとこの人魔法科教官の…えーと、名前なんだっけ?

「彼岸花と申します。私は少しだけ…ただの人間の心なら読めるんです」

「は、はぁ…」

ずっと無表情だから怖い。確か、幽霊とか言ってなかったっけ?だから後ろから霊気が…!?

もうホラーだろ!!

「今日は私があなたに魔法を教えます。危険な魔法などもありますので…外の方の広い場所で練習しましょう。着いてきてください」

「はい…」

あ、魔法の練習なのか今日は…

「前に、私は幽霊だと言いましたよね。私は数十年前、なんらかを苦に飛び降り自殺をしたんです。そのときたまたま通りかかった彩さんに、魂を奪われました。けれど、なにかがあって幽霊…この姿に。全然覚えてないんですけれど」

「へぇ…?」

「私は生前の頃の記憶も、幽霊になってからの記憶も曖昧なんです。生前は全く覚えていないですし。もやがかかっているようで…私は生前の記憶を知るために魔法科で研究をしているんです」

そんな過去があったなんて…なんだか、何も知らずに怖い怖い言ってた自分がなんだか恥ずかしいような…

というか、悪魔ってやっぱり魂とったりするんだなぁ…そっちは怖い。

「では、まずは攻撃魔法を教えます。防御魔法は使えると岸さんから聞きましたので…まあまずは一般的ものを覚えてみましょう。見本を見せますから、防御、お願いします」

「あ、はい…」

「実は防御魔法にも色々種類があり、壁のような全身を守るもの、そして、小さな攻撃を守るもの。そちらは、呪文はいりません」

「そうなんですか…あ、防御魔法〈フェアタイディング〉」

「では。攻撃魔法〈アングリフ〉」

「…!」

魔法陣から無数の光線があちらこちらに飛び交う。さすがこの道のプロ、今まで見た魔法の中で一番凄い…!

「じゃあ呪文を唱えてみてください。なぜだかよくわかりませんが、君には人間には普通ないような魔力があるので。あ、後ろに隠れているフェルマータに当たらないように」

「あ、はい…」

「当てたら返り討ちにするぞ」

てか、いつのまに…なんだかぴたりとくっつかれてるんだよなぁ…あまり対話はしていないけど、自己紹介くらいはし合った中ですが。

「ふぅ…攻撃魔法〈アングリフ〉」

魔法陣が現れ、光線が飛び散…いや、なんか威力弱…くない?

「まぁ最初はこんなものですよね。私もそうでしたし。これからもっと修行を続ければ、きっと上手く使えるようになります。時々私も教えるので。あと、他の教官にも聞いてみればいいと思います。それぞれ皆得意魔法がありますしね。きっといい勉強になるでしょう」

「そうですか…ありがとうございます…」

「では、私は急用が出来てしまい…今日はこれぐらいで。あと、今暇な教官は…うーん…岸さんとか、鶫さんあたりでしょうか?彩さんは今潜入調査に出ていますし…」

「潜入調査?」

「はい。よくわからないですが…また今度、お聞かせしましょう」

「あ、はい…」

「では」

「さよなら…」

うーん…教官って大変なんだな…

マジカルシークレット

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