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「凪野蒼〜!!隠れたって無駄ですわよ!!さぁ、一緒に仕事へ…」
俺は今、殺人科教官に追いかけられている。
遡ること数時間前…
「ただいまですわー!!」
「お、おかえりーリリー先輩、相馬さんお疲れ様です!」
「あ、ところでひらり、蒼は?お兄様に合わせたいのですけれど」
「あぁ、蒼くんならそこら辺に…って、逃げようとしないで?」
「…俺殺人系NGなんで」
「彩みたいなこと言ってんじゃないのー!普通科はいろいろなことをするの!我儘言わなーい」
「どうして彩さんは許されて俺は許されないんですか!!」
「…だって、君新人じゃん?彩は新人の頃、嫌々やってきたんだから。君はまだダメー」
「えぇ…てか彩さん、何歳なんですか一体…」
と質問をすると、ひらりさんは突然近づき怖い顔でこう言った。
「それ彩にいってみな?殺されるよ」
「ひぃ…」
うん。やめとこ。
というかこの人と仕事するのかぁ…なんかお嬢様お嬢様しててちょっと苦手意識…なんかなぁ。
吸血鬼とか言ってたし。でもそれで言ったらひらりさんはエルフだし、鶫さんと彩さんは悪魔だし、挙げ句の果てに彼岸花さんは幽霊…
モンスター祭りだ。
と、思っていたその時、ひらりさんの携帯が鳴った。
「あ、ごめん、蒼くん。ちょっとあっちいってくる…」
「はい…」
誰かな。
「はいはーい、お、彩?どう?」
「問題なし。潜入できてるわ。全然気づかれてない、イポクリジーアの奴らには」
「そう。よかった。で?情報、なんか手に入れた?」
「いやそれはまだ…あ、でも変な本は入手してきた。もう直ぐそっち着くから」
「わかった。おけ」
「じゃあ切るわね」
「うん」
問題なかったようだね。あの子のことだから、またあっちの誘惑科教官に喧嘩売ってなきゃいいけど…
ガラン
「ただいま…はいこれ。でも、結構昔の言葉で書かれてて、読めない。あっちの闇の文字かもだし。解読よろしく」
「うん。わかった」
「じゃあもう直ぐ戻るね。下っ端のひとりくらい捕まえて戻ってくるから。拷問の準備よろしく」
「鶫に伝えとく」
「じゃ」
「蒼くん。今日は私と仕事しよっか?」
「え?」
「間違えた。リリー先輩だね。じゃ、頼みましたー」
「頼まれましたわ。さ、つべこべ言わずさっさと行きますわよ!」
「はい…」
もう俺に逃げる術はなく、おとなしく仕事について行くしかなかった。
何故…というか普通科って地味にやばいのでは!?騙されたっっ!!
「あなたはどうしてそんなに、殺人が嫌なんですの?」
「逆に聞きますけどリリーさんは平気なんですか?」
「私は吸血鬼ですし…血の色が綺麗じゃない。宝石のルビーみたいで。美しいと思わなくて?」
「いや…」
この人、感性がおかしいのかもしれない。血の色が綺麗とか、死体が美しいとか…やばいな。
「彼岸花から聞きましたわ。魔法、大体使えるんですってね。発揮してもらわなくちゃ。ねぇ?」
「…」
俺は顔をしかめた。
いつのまにかリリーさん立ち止まってるし…
あれ?目の前で誰かを待っていそうな感じの男の人がターゲットかな?
と、思ってみていると、リリーさんが男の人に話しかけた。
「あら。あなた、私のことを待ってくださっていたのね。ありがとう。とても嬉しいわ」
「あ、あぁ…そんなに待ってはいないよ」
「まぁ…ふふ。ゆっくり…リラックスして…?」
「お、おう…」
男の方が赤面している中、リリーさんはそっと首元に牙を回し…
「がっ…うっ!?」
「…まぁまぁですわね。まぁいいわ。美味しくないのなら、さっさと切り捨ててしまいましょう」
ガブッ
「ぐっ…」
男はそのまま倒れた。
「ふぅ…今のはいつも彩がやっていることと似ているのですけれど…あ、これで終わりではないわ」
「え?」
ヒュンッ
「わっ!?」
急に斜め上からナイフが飛んできた…危なかった…すれすれで避けなぎゃ当たってた…!
「よくも俺の仲間を…お前、吸血鬼か?」
「ご名答。わたくしはそんなナイフでは死にませんわよ?」
「なら銀のナイフならどうだ!!」
「…!」
吸血鬼の弱点…銀のナイフ。なんだか聞いたことがあるような…
「…なら、私も刃物でお相手しなければ。刃物魔法〈シュヴェールト〉」
「おわっ!?防御魔法〈フェアタイディグング〉」
リリーさん!?これこっちまで飛んでくるんですが!?
「あなたも援護をしなさい?私に当たることはないから」
「え…あ、攻撃魔法〈アングリフ〉」
「ええい、くそ…!2対一1じゃ分が悪い。今日のところは退散…」
「させないわよ?」
「え?」
今、上から彩さんの声がしたような…?
「酷いわね。あなた浮気してたの!?」
「違うんだ、誤解だよ、あれは…」
「私ばっちり見ちゃったから。ほら、この写真。この金髪美少女は誰なのよっ!!」
「違うんだ!あれは、あれは…」
なんか屋根の上で修羅場が…え?あの人、浮気してたの?
「あ、リリーと凪野くんじゃん。仕事〜?やっほー」
「あら、彩。お疲れ様」
「なんだ、あんたら知り合いか…?」
「あなたはもう用済みよ。残念ね」
ヒュゥゥ…
男の体から、魂のようなものがふよふよと出てくる。彩さんはそれを手に取り、握り潰した。
「よしっと。大丈夫?」
「助かったわ。そういえばあの男…彩のターゲットだったわね」
「そうなの。じゃ、私は戻るわ。凪野くんもじゃあね」
「あ、さよなら…」
まぁ、俺が直接殺すことにならなくてよかった…うん。
今まで殺人現場は数多く見てきたけど、自分で手を下しはしなかったし…
「そういえばリリーさん今昼間ですけど外出て大丈夫なんですか?」
「日傘してるし、厚着してるから大丈夫…ですわ」
「…」