この作品はいかがでしたか?
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ぱちぱちと快活な音を立てて
小枝が燃えている。
大きな切り株に腰をかけ、
日記を書き始めた。
自分がこの旅で何を経験したか、
誰と出会ったか、
全て書いている。
私の大切な思い出、
それをしっかり形に残したい。
「…よし、!」
(明日に備えて、今日は寝ようかな)
カサ、
カサカサ、
(…動物かな、この音)
(…いや、人間のだな、)
「…どちら様でしょうか」
気配は、感じる。
とても強い魔力も。
「ヴェルリナから来た
テオ・ドール、弓使いだ」
「…お前は?」
「マリー。マリー・レティシア。
魔導師なんだ。」
「そうか、
…マリー、隣に座ってもいいか」
「いいよ、テオ。」
「…ねぇ、テオ。
君はどうして旅に出てるの?」
「どうしてっつーか、親父の影響だな。
ヴォルフって名前なんだが。」
「ヴォルフって、有名な剣士だよね。
確か数年前に病気になったって…」
「ああ、親父はもう居ねぇ。
だから俺が、親父が辿り着けなかっか
場所まで行ってやろうと思ってな」
「で、マリー。お前は?」
「私、は…」
「私は、酔生夢死なまま
終わりたくなかったんだ」
「行きたかった有名な魔導師の学院の
試験に失敗して、住んでた街も
獣に襲われて、そのまま過疎化が
進んじゃって…」
「諦めようと思ってた時、
リトルに出会った。 」
「リトルの事を調べていくと、
世界は私が想像しているより
広いことを知って…、
世界のことを、リトルのことを
もっともーっと知りたくなったんだ。」
「だから私は、今、賢者リトルの冒険記
を見つける旅に出てるんだ。
この冒険は、絶対自分の糧になるから」
「…夢がデケェな
ま、そーゆーの嫌いじゃないぞ」
「そんな旅なら、
仲間も居るんじゃねぇか?」
「…独りだよ。」
「みんな、もうリトルにそこまで
興味が無いみたい。」
「だから、独り。」
「ま、独りも楽しいよ。
周りを気にしなくて生きていけるからね」
「なあ、マリー。」
「俺と、リトルの冒険記を見つけねぇか?」
「親父だって冒険記を
見つけられなかったんだ」
「なら、俺が冒険記を見つければ
親父を超えたことになる。」
「…win-winじゃねぇか、」
「独りは確かに楽だ。
だが、独りじゃ見れない景色だって
あると思うぞ」
「…そうだね」
「テオ・ドール。これからよろしくね 」
「マリー・レティシア、よろしくな」
コメント
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良い物語や! レティシア、ラテン語かねぇ… ↑ラテン語で喜び 名前選びがセンスあるわぁー!