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第十章 緊張
《2025年7月26日》
アメリカ空母打撃群の接近を受け、ナシル連邦政府は対応を決定した。
しかし、ナシルが選択したのは攻撃ではなかった。
ナシル海軍は、自国の空母打撃群をグリーンランド海へ展開した。
目的は明確だった。
――米艦隊への監視。
ナシル空母打撃群は、米海軍2個空母打撃群からわずか数十kmの距離まで接近。
それは国際法上許容される範囲内での行動だった。
だが、その意味は大きかった。
巨大な空母を中心とした二つの艦隊。
アメリカ海軍の原子力空母と、ナシル海軍の空母。
互いの艦艇はレーダーで相手を捉え、航空機は上空で警戒を続ける。
海上には、かつてないほどの緊張が漂った。
米艦隊側では、ナシル艦隊の能力分析が開始された。
「……あの国は、本当にこれだけの海軍力を隠していたのか」
一方、ナシル側でも米艦隊を監視。
空母から発艦したFG.1が上空警戒をした。
両国は攻撃しなかった。
しかし、その距離はあまりにも近かった。
世界は理解した。
これは救難活動ではない。
《2025年7月28日》
この日、グリーンランド海で続いていた異様な緊張状態に、初めて変化が起きた。
午前03時17分。
アメリカ空母打撃群のE2D早期警戒機が、ナシル空母から発艦したFG.1数機の接近を確認。
距離は母艦から約40km。
攻撃行動ではない。 しかし、通常の監視飛行としてはあまりにも近すぎた。
米艦隊は直ちに戦闘航空哨戒を強化。 空母からF/A-18E/Fが発艦し、両国の航空機が同一空域に存在する異例の状況となった。
「これは威嚇か?」 「それとも警告か?」
各国の監視機関は固唾を飲んで状況を見守った。
だが、その数時間後。
ナシル側から通信が入る。
内容は短かった。
《我々は戦闘を望んでいない》 《しかし、我が国への接近行動を監視する権利を放棄するつもりもない》
一方、アメリカ側も声明を発表。
《米軍は自国兵士に関する調査と安全確保を継続する》
表面上、両国とも冷静だった。
しかし――
水面下では違った。
アメリカは、ナシルが公開していなかった軍事能力の分析を開始。
特に注目されたのは、
・FG.1の異常な航続距離
・高高度飛行能力
・正体不明のレーザー兵器
・空母打撃群の規模
だった。
「問題は、あの国が何を持っているかではない」
アメリカ情報機関の分析官は報告書にこう記した。
「我々が、何を知らないのかだ」
そして同日夜。
ナシル側でも異変が起きる。
空母からFG.2が初めて発艦。
これまで存在だけが噂されていたステルス戦闘攻撃機。
米艦隊のレーダーに、一瞬だけ反応。
しかし――
次の瞬間には消えていた。
《2025年7月29日》
米海軍はこの新型について考えていた…
なぜなら空母に艦載可能なステルス戦闘機はF35B/Cのみしかいないはずだったから…
だが…
これを2008年から運用していると聞けばどう思うだろうか?
この翌日7月30日ナシル連邦のステルス戦闘攻撃機《FG.2》について初めて載った《世界軍事雑誌『マニューバ』8月号》が先行販売された。
そこに載っていた資料は驚愕そのものだった。
FG.2
全長:20㍍
全幅:18㍍
全高:5㍍
最高速度:マッハ2.4
巡航速度:マッハ1.6
航続距離:6000㌔
最高高度:22000㍍
固定武装:マウザーBK27N2門
ウェポンベイ:3基
ペイロード:推定12㌧
…わかる人にはわかるだろう…この資料が何を意味するか。
これがただの陸上ステルス戦闘機なら良かった
だが…
これは『艦上』ステルス戦闘攻撃機だったのだ
つまり、ナシルは2008年と言う…ステルス黎明期特有の軽度なステルス機ではなく…それこそアメリカのF22に肩を並べる…いや頭一つ飛び抜けているかもしれないが…
そしてなにより、『いつでも艦隊を叩く』とでも言いたげな搭載量…
だがそんな事は問題ない
この情報を17年間誰も確実なものにできなかったのが問題だった…
コメント
1件
おお、第10章読み終えたわ。グリーンランド海での睨み合い、めっちゃ緊迫感あるな…!両軍とも撃たずに監視し合うって、逆に生々しくて好きだわ。そしてFG.2の性能諸表がついに公開されたか…2008年からステルス艦載機を運用してたって、この世界の隠し球感がたまらん。17年間誰も確証掴めなかったって一文がもう、スパイ小説みたいでゾクゾクしたわ。次、どう動くんだろうな…楽しみ🔥