テラーノベル
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太宰が消えて最初の数ヶ月は、中也はマフィアとしての意地と首領が用意した特注の抑制剤でなんとか持ち堪えていた。
しかし、本物のαに一度でも深く満たされたΩの身体は化学物質のレプリカなどでは決して誤魔化せない。
「はぁ、っ、はあ, っ、くそ、あつい……ッ!!」
自室
中也は床に這いつくばり、尋常ではない苦痛に喘いでいた。
太宰が消えてから半年目、ついに恐れていた「重度のヒート」が中也を襲ったのだ。
「うあぁぁッ! 頭が、割れる……っ!」
身体の奥底から湧き上がる熱は、以前の比ではなかった。
番のαである太宰のフェロモンを長期間浴びていない中也の身体は深刻な「飢餓状態」に陥っていた。
うなじの番の痕がまるで火を押し当てられているかのように熱く焼けただれ、中也は自分の爪でそこを血が出るまで掻きむしった。
「太宰……っ、太宰、お前、どこだ……っ、助け、ろ……!」
口から出るのは、あれほど憎んでいたはずの男の名前だった。
悔しくて、惨めで、死にたかった。
部屋の外には中也の濃厚なΩのフェロモンを嗅ぎつけ、本能を刺激されたマフィアのαの部下たちが心配を装って部屋の前に集まってきている。
「中原幹部、大丈夫ですか? お命じいただければ、中へ……」
「来るなァァッ!!! 近寄るな、ぶっ殺ぞ……ッ!!」
中也は部屋の扉に向けて重力弾を放ち、壁ごと部下たちを威嚇した。
他のαの匂いが微かに隙間から入ってくるだけで、中也の身体は激しい拒絶反応を起こし、胃液を吐き出す。中也のΩの受容体は、太宰治という唯一のα以外のフェロモンを、猛毒として認識するようになっていたのだ。「あ、あぁ……太宰、クソ太宰……っ、お前以外の匂いじゃ、ダメんだよ……っ!」
中也はベッドのシーツに顔を埋め、涙を流しながらかつてここに残っていたはずの太宰の冷たくて心地よいαの残り香を必死に探した。
だが、そこには何も残っていない。
中也はただ一人、終わりきらない熱の地獄の中で太宰の残した「目に見えない首輪」に締め付けられながら、夜通し啼き続けるしかなかった。
コメント
2件
文章が美味すぎる…本当に美味しいです。何時も楽しませていただいています!!
敦芥推し
11
#文スト中原中也夢
茉莉(まつり)
9,099
トロール
53
かいじう🦖
3