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幕府は「稲荷山の改革」と呼ばれる政策を実施。
財政再建を目的とし、
商業の発展を促進するために
各地の商人や大名と協力する計画だった。
しかし、この改革の背後では、妖怪たちが暗躍していた。
特に狐や狸の妖怪たちは、幕府の高官や商人に取り入り、改革を表向きには支援しつつ、
実際には妖怪の勢力を拡大しようと企んでいた。
目的はただ一つ——人間社会を混乱させ、
妖怪の勢力を確立すること。
商業が繁栄するにつれ、妖怪たちは裏で力を蓄え、
幕府の政治すら操ろうとしていた。
この異変に気づいたのが、
護法蓮華(ごほうれんげ)だった。
幕府の役人が密かに修道のもとを訪れ、
重大な報告をもたらす。
幕府役人
「改革が成功しているように見えますが、
裏では妖怪たちが勢力を拡大しています……
このままでは人間の手に負えなくなるでしょう。」
修道は険しい顔で頷き、竜之介、千姫、晃平、蓮司を見つめる。
修道
「このままでは、妖怪たちに支配される。
さらに今回、妖怪四天王の一人、大嶽丸(おおたけまる)が関与している可能性が高い。
奴を止めなければならない!」
こうして、3兄妹と蓮司は鈴鹿山へと向かうこととなった——。
鈴鹿山に足を踏み入れると、
そこはすでに異界の空気に包まれていた。
黒雲が山を覆い、雷鳴が轟き、火の雨が降る。
人々は山に近づくことすら恐れ、異変に怯えていた。
町人A
「最近、鈴鹿山の天気がおかしいんだ……
晴れていたかと思えば、突然雷が落ち、
黒い風が吹き荒れる……!」
町人B
「このままでは、商人たちの交易が滞り、
幕府の改革も崩壊してしまう……!」
竜之介が険しい表情を浮かべる。
竜之介
「くっ…やはり、大嶽丸が動いているのか……!」
千姫は空を見上げ、雷鳴を感じ取る。
千姫
「この雷……ただの自然現象じゃない。
妖気を帯びているわ!」
蓮司が剣を抜き、周囲の気配を探る。
蓮司
「……奴は、こちらの動きを察しているはずだ」
すると、突然、地面が揺れ、
巨大な妖怪たちが出現する——!
「グゴゴゴゴ……!!」
黒い毛並みを持つ巨大な狐と狸が姿を現し、不敵に笑う。
妖怪・黒狐(こっこ)
「フフ……お前たち、何をしに来た?」
妖怪・鬼狸(きだぬき)
「すでにここはもう妖怪の国だ。
人間ごときが手出しできる場所ではない!」
黒狐が手を振るうと、幻術が広がる。
周囲の景色が歪み、3兄妹と蓮司は、いつの間にか
迷宮のような森の中に立っていた。
竜之介
「……クソッ、どこだここは!?千姫!晃平!」
千姫
「何これ?私もよくわからない……!」
黒狐の幻術が彼らの視界を狂わせ、
チームを分断したのだ。
霧が渦巻き、森が不気味に歪む。
千姫は火縄銃を構えながら、ゆっくりと周囲を見渡した。
先ほどまで仲間と共にいたはずが、いつの間にか一人きり。
霧の奥には無数の影が蠢いている。
「クスクスクス……」
「フフフ……愚かだな、人間よ……」
囁くような声が四方八方から響く。
千姫
「……幻術ね。」
千姫は冷静に銃の引き金に指を掛けた。
「おや、冷静だな? さすがは武将の血を引く者というべきか……」
霧の中から、黒い着物をまとった長身の男が現れた。
狐の面をつけ、その口元は笑みを浮かべている。
妖怪・黒狐(こっこ)——
彼は千姫を見下ろしながら、楽しげに囁いた。
黒狐
「だが、お前のその銃弾……果たして誰に届くのかな?」
黒狐が手を軽く振ると、無数の幻影が霧の中から浮かび上がる。
千姫を囲むように、黒狐の姿がいくつも現れた。
その数は十、二十、三十……
どれが本物か、見極めることは不可能だった。
黒狐
「さあ、撃ってみるがいい。お前の銃弾が当たることは決してない。」
千姫
「……そうかしら?」
千姫は素早く銃口を向け、雷の弾丸を放つ。
「雷迅轟弾!!!」
バァンッ!!!
雷光が奔り、一体の黒狐を撃ち抜いた……が、次の瞬間、その姿は霧のように掻き消えた。
黒狐
「フフフ……無駄だと言っただろう?」
千姫は歯を噛みしめる。
(くそっ……!)
どれが本物かわからない。
目に映るのはすべて偽物——
否、もしかすると、目で見えていることそのものが罠なのかもしれない。
その時、黒狐たちが一斉に動いた。
「フフフ……お前の恐怖が広がるほど、私の幻術は強くなる。」
「さあ、どうする? 逃げるか? それとも……恐怖に屈するか?」
「フフフフ……!」
千姫の耳に、黒狐たちの嘲笑が響く。
その声が絡みつくように、脳を揺さぶってくる。
だが、千姫は深く息を吸った。
(違う……。これは“目”で見えているから、惑わされるのね……。)
千姫はそっと目を閉じた。
黒狐が怪訝そうに声を上げる。
黒狐
「おや? 目を閉じるとは、恐怖で戦意喪失か?」
千姫
「違うわ。」
黒狐が笑みを浮かべる。
黒狐
「ならば、どうやって私を見つける?」
その瞬間、千姫は**“耳”**を澄ませた。
風の流れ。
葉の擦れる音。
足音——
そして、僅かに響く心臓の鼓動。
(聞こえる……本物の心音……!)
千姫は瞬時に銃を構え、目を閉じたまま一発の弾丸を放った。
バンッ!!!
「グッ……!!?」
黒狐の姿が霧の中から飛び出し、胸元を抑えた。
黒狐
「な……何故……!? 何故、私の居場所がわかった!?」
千姫が目を開き、ニヤリと笑う。
千姫
「お前の“声”と“鼓動”が、お前の位置を教えてくれたのよ。」
黒狐は驚愕しながら後ずさる。
「バ、バカな……!」
千姫は火縄銃を構え、最後の引き金に指をかける。
「これで終わりよ——!」
「雷迅轟弾・極!!!!」
バリバリバリバリッッ!!!!
雷光が黒狐を包み込み、その身体を焼き尽くす!!
「グアアアアアアアアア!!!!!」
黒狐の断末魔が霧の森に響き渡った。
次の瞬間——
黒狐の幻術が完全に解け、千姫は元の場所へと戻っていた。
千姫は荒い息を吐きながら、銃をゆっくりと下ろした。
霧は消え、周囲は元通りの風景を取り戻していた。
その時、背後から仲間たちの声が聞こえた。
竜之介
「千姫!! 無事か!?」
千姫
「ええ……なんとかね。」
千姫は軽く笑みを浮かべながら振り向いた。
竜之介が驚いたように千姫を見つめる。
竜之介
「お前、一人で黒狐を倒したのかよ……?!」
千姫は得意げに微笑む。
千姫
「まあね。あいつ、結構おしゃべりだったから、
私に居場所をバラしちゃったのよ。」
蓮司は目を細めて、感心したように頷く。
蓮司
「千姫、お前……強くなったな。」
千姫は少し頬を赤らめながらも、
満足げに銃を収めた。
千姫
「当然でしょ? 私は、戦場で生きる女なのよ。」
彼女の瞳には、新たな決意の光が宿っていた。
一方、晃平は巨大な鬼狸と対峙していた。
鬼狸は太い腕を振り上げ、地面を叩きつける!
晃平が家康の霊を憑依させ、槍を構え
巨大な鬼狸と対峙する。
鈴鹿山の大地が揺れ、巨体から発せられる威圧感が
彼を包む。
鬼狸(きだぬき)はニヤリと笑い、
不気味な声を響かせた。
鬼狸
「フン……貴様、人間にしてはなかなか
骨がありそうだな。だが、哀れなことよ。
我の“鉄壁の皮”を前に、
貴様の槍は何の役にも立たぬ!」
鬼狸は太い腕を振り上げ、地面に叩きつけた。
ドゴォォォン!!!
大地が裂け、岩が宙を舞う。
晃平は素早く身を翻して回避するが、その瞬間——
「グォォォ!!」
鬼狸の尾が猛然と振り下ろされる!
バギィィィィン!!!!
槍を構えて防御する晃平。しかし、
その一撃の衝撃で吹き飛ばされ、
地面に叩きつけられた。
晃平
「ぐっ……こいつ……力が桁違いだ……!!」
鬼狸はその様子を見下ろし、豪快に笑う。
鬼狸
「フハハハハ!! どうした、槍使いよ!
さっきの威勢はどこへ行った!?」
鬼狸は巨大な体を揺らしながら、さらに歩み寄る。
大地が揺れ、その圧倒的な存在感が晃平を追い詰める。
晃平は立ち上がり、槍を構えるが、次の瞬間——
鬼狸の体が煙のように揺らめき、突然姿を消した。
晃平
「……!? どこへ消えた!?」
その答えはすぐに来た。
ドォォォォォン!!!
背後から強烈な衝撃が襲い、
晃平の体が宙を舞う!
鬼狸はすでに彼の背後に回り込み、
その分厚い拳を叩きつけたのだった。
晃平は地面を転がりながら、咳き込む。
晃平
「ぐっ……! なんだ今のは!? あの巨体で、
どうやって……?」
鬼狸がゆっくりと歩み寄りながら、不敵に笑う。
鬼狸
「フハハハ!狸はただの化ける妖怪と思うなよ。
我の“狸幻歩(りけんぽ)”は、
見た者の意識を欺く。
貴様の目に映る我は“ただの幻”だったのだ!」
晃平は息を整えながら、鬼狸の巨体を見つめる。
傷つきながらも、冷静な思考を失わない。
晃平(思考)
「こいつの“幻歩”は、本物の動きとは違う場所に
幻影を見せる能力……ならば、目ではなく、
“風”を読むしかない!」
鬼狸は勝利を確信し、次の一撃を繰り出そうとする。
だが、その時——
ヒュゥゥゥゥ……
晃平は槍を低く構え、そっと目を閉じた。
風の流れ、大気の振動、土の匂い——全身の感覚を
研ぎ澄ます。
そして、鬼狸が動いた瞬間——
「ドォォン!!」
巨大な腕が振り下ろされる!
しかし——
シュッ!!!!
晃平は、紙一重でそれをかわした!
鬼狸
「なっ!? バカな?
何故読める!?」
晃平の槍が光を帯びる。
晃平
「フッ!“目”だけに頼るなって、
仲間に教わったからな……!」
鬼狸が驚愕する間もなく——
「槍神貫破・風牙烈旋!!!!」
槍が突風を巻き起こし、弾丸のような速さで
突き込まれる!
しかし——
「ガギィィィィン!!」
槍は鬼狸の分厚い皮膚に弾かれた!
晃平
「クソッ!! やっぱり硬すぎる!!」
鬼狸は勝ち誇ったように笑う。
鬼狸
「ハハハハ!言っただろう!
我の皮膚は鉄壁だと!」
だが、その言葉を聞いた瞬間、
晃平はニヤリと笑った。
晃平
「いや……“全身”が硬いわけじゃないな?」
鬼狸の表情が一瞬、強張る。
晃平は戦いの最中、鬼狸の動きを観察していた。
そして気づいたのだ——
「動く時に、一瞬だけ皮膚が緩む場所がある!」
関節部、特に“膝の裏”と“脇”——そこが唯一の弱点!
鬼狸は動揺し、身構える。
鬼狸
「ま、まさか……!」
晃平は、呼吸を整え、膝を曲げ、低く構える。
晃平
「——お前の動き、完全に見切った!!」
「槍神貫破・風牙烈旋——
“裂空穿突(れっくうせんとつ)”!!」
槍が、風を切り裂き、一筋の流星のように放たれる!!
シュバァァァァァァン!!!
槍が鬼狸の“膝の裏”に突き刺さった!!
「ギャアアアアアア!!!!!!」
鬼狸は断末魔の叫びをあげ、膝をつく!
その巨体が崩れ、衝撃が大地を揺らした。
鬼狸
「ば、ばかな……!! この我が……
人間ごときに……!!」
晃平は槍を抜き、最後に静かに言った。
晃平
「“鉄壁”なんてものは、存在しない。
どんなに硬い壁にも、必ず“突破口”はあるんだよ!」
鬼狸は呻きながら、ついに光の粒子となって消え去った。
戦いが終わり、晃平は槍を肩にかけながら、
大きく息をついた。
晃平
「……ったく、しぶとい奴だったぜ。」
しかし——
この戦いは、さらなる絶望の始まりにすぎなかった。
「ゴゴゴゴゴゴ……」
大気が震え、雷鳴が響く。
空から、恐るべき妖気が降り注ぐ。
そして——
その中心に、漆黒の衣をまとった“絶望の王”が降臨する。
妖怪四天王・大嶽丸(おおたけまる)。
「フフフハハハ……面白い。人間よ、
貴様らの力、見せてもらおうか」
——決戦の幕が上がる!!
大地が割れ、岩が飛び散る。
「グオオオオオオオ!!!!!」
彼の力が解放され、雷鳴が地を裂く。
大嶽丸
「これが絶望だ」
長髪をなびかせ、不敵な笑みを浮かべるその姿は、
ただそこに立っているだけで圧倒的な
威圧感を放っていた。
竜之介が剣を構え、気迫を込める。
竜之介
「お前が四天王の一人……!
妖怪の支配なんて、絶対にさせるか!!」
千姫も銃を構え、鋭い目で睨む。
千姫
「この妖気……今までの妖怪とは、
格が違う……!」
晃平は槍を握りしめ、冷や汗をかく。
晃平
「くそ……強すぎる気配だ……!」
蓮司も剣を握り直し、静かに言った。
蓮司
「異界滅殺……四天王だろうが、容赦はしない」
月夜
「遂に四天王まで辿り着いたわね!やるわよ!」
しかし——
大嶽丸は彼らの言葉に対し、ただ鼻で笑うだけだった。
大嶽丸
「貴様らは、何も分かっていない」
その瞬間——
「ゴオオオオオオ!!!!!」
暴風が吹き荒れ、雷が地を割る!!
大嶽丸が手を軽く振っただけで、
巨大な雷の龍が生み出された!!
大嶽丸
「これが、四天王の力よ」
雷龍が咆哮しながら、3兄妹と蓮司、月夜に
襲いかかる!!
ドガァァァァン!!!
雷龍が突進し、地面を爆裂させる!
千姫と晃平は咄嗟に飛び退くが、
竜之介と蓮司は回避が間に合わず、直撃を受けた。
竜之介
「ぐあああっ!!!」
蓮司
「くっ……!!」
二人は地面に叩きつけられ、
身体が焦げるほどの電撃を浴びた。
千姫が叫ぶ。
千姫
「きゃああ!竜之介!!蓮司!!」
だが、その瞬間——
3兄妹と蓮司の身体から、
異様な霊力がほとばしった。
ズズズ……!!!
武将霊たちの力が、
制御不能なほどに高まり始める。
織田信長の声が響く。
信長
「ハハハハ!! いいぞいいぞ!!
この戦場……これこそ我の求めたものよ!!」
千姫の手にある銃が、雷を帯びながら
自動的に撃ち続ける!!!
千姫
「なっ!? 勝手に……!!」
バンバンバンバンバンバン!!!!
圧倒的な連射速度で雷撃が大嶽丸に襲いかかる!!
しかし——
大嶽丸は手を軽く動かすだけで、それらを受け流す。
大嶽丸
「フハハハ……なんだ、その程度か?」
その時——竜之介の剣が炎を纏い始めた!!!
武田信玄の力が、暴走を始める!!
信玄
「竜之介よ!! この力……貴様に扱えるか!?」
竜之介の目が燃えるような赤に染まり、
剣の刃が巨大化する。
竜之介
「ぐっ……体が勝手に……!!」
剣を振るうと——
炎の竜が生まれ、大嶽丸に向かって突進した!!
「ゴオオオオオオ!!!!」
しかし、大嶽丸は微動だにしない。
彼は空に向かって手をかざした。
「ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!」
——黒雲が収束し、雷の刃が生み出される!!!
大嶽丸
「貴様らの英霊の力……それごと、葬ってくれる!!」
彼が放ったのは——
「ガハハ!雷神滅刃(らいじんめつじん)」!!
ズバァァァァン!!!!
巨大な雷の刃が、大地を裂き、3兄妹を襲う!!
「ギャアアアアアア!!!!!」
3人が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる!!
しかし——
その時、最後の武将霊・徳川家康の声が響いた。
家康
「……愚かな……貴様らはまだ、この力を扱えておらぬ」
晃平の槍が、突如として青白い光を纏う。
晃平
「なっ……!? これは……」
家康の力が完全に解放され、
晃平の槍が天を貫くほどの巨大な光の柱に変化する!!
家康
「すべての霊力を一つにしろ!!」
3兄妹と蓮司は、英霊の暴走する力を意識の中で制御し、
ついに——
竜之介、千姫、晃平、蓮司が立ち上がる。
それぞれの武将霊の力が収束し、一つの光となる。
竜之介
「これが……俺たちの力だ!!」
千姫と晃平も、意識を集中させる。
「雷迅轟弾・極!!!」
「槍神貫破・風牙烈旋!!!」
そして、
蓮司と月夜が同時に叫ぶ。
「雷刃閃・月影滅尽!!!!」
4人の力が一つになり、
ついに生み出された最強の技——
「天地神滅斬(てんちしんめつざん)」
ズバァァァァァァン!!!!!!
光の刃が大嶽丸を貫き、
雷と炎が交差しながら、四天王の体を真っ二つに裂く。
「ななな、なんだと?グアアアアアアアア!!!!!」
――大嶽丸、撃破。
四天王の一角が崩れ去り、鈴鹿山を覆っていた暗雲が晴れ始める。
黒き雷は消え、静寂が訪れた。
3兄妹と蓮司は肩で息をしながら、
荒れ果てた大地に立ち尽くしていた。
全身が傷だらけで、疲労が身体を蝕んでいた。
竜之介
「……終わったのか……?」
剣を杖のようにして、荒い息を吐きながら竜之介が呟く。
だが、確かに目の前の脅威――大嶽丸は消滅した。
千姫
「……勝ったのよ。間違いなく、ね……」
火縄銃を握りしめながら、千姫は空を見上げた。
晴れ渡る空、暖かな陽光――先ほどまでの地獄のような戦場が嘘のようだった。
晃平
「……クソ、全身が痛ぇ……! でも……」
槍を地面に突き立てながら、苦笑を浮かべる。
戦いの疲労はあったが、それでも勝利の実感が湧いてきていた。
そんな中、蓮司が鋭い眼差しで前を見据えた。
蓮司
「……まだ、終わりじゃない。」
竜之介、千姫、晃平は彼の言葉にハッとする。
蓮司
「四天王は、あと三人いる。
俺たちがここで安心している間にも、
やつらは次の手を打っているはずだ。」
竜之介は苦笑しながら、剣を鞘に収める。
竜之介
「……お前は相変わらずだな。
せっかく勝ったんだから、
少しくらい余韻に浸らせろよ。」
千姫
「でも、蓮司の言う通りよ。
この勝利はまだ始まりにすぎないわ。」
晃平
「ちっ……せっかく気を抜こうと思ったのに、
やっぱり気が休まらねぇな。」
蓮司はふっと小さく笑った。
蓮司
「油断は死に繋がる。……それに、
俺はお前たちを失いたくない。」
その言葉に、3兄妹は一瞬言葉を失う。
竜之介が少し驚いたような顔をしながら、
口元を緩める。
竜之介
「お前にそんなこと言われると、
逆に落ち着かねぇな。」
千姫は微笑みながら、蓮司の肩をポンと叩く。
千姫
「ありがと。でも、大丈夫。
私たちは絶対に負けないわ。」
晃平は大きく伸びをしながら、苦笑する。
晃平
「まぁ、こんな戦いを乗り越えたんだ。
次の敵だろうと、やってやるさ。」
竜之介は拳をぎゅっと握りしめ、
仲間たちを見渡す。
竜之介
「……そうだな。どんな強敵が相手でも、
俺たちは絶対に乗り越えてみせる。」
彼らの目には、新たな決意が宿っていた。
こうして、大嶽丸との戦いは幕を閉じた。
しかし、それはさらなる戦いの始まりにすぎなかった。
四天王、残り三人――
彼らの旅は、まだ終わらない。