テラーノベル
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rm view_________
くらい、暗くて冷たい世界で、みんなの声が響く
fu「お前って本当に使えないよな」
rm「…ごめん、」
fu「しゅうとが倒れてんのに、何突っ立ってんだよ。手伝うこともできないのか」
rm「ごめん、びっくりしたんだ、…ごめん、」
kz「結局何もできてないじゃん」
kz「俺らの時間使ってさ……楽しい?」
rm「違う…ごめん、みんなに迷惑かけたいわけじゃなかったんだ」
shu「じゃあなんでさっさと気づいてくれなかったの」
rm「ごめんね、しゅうと」
shu「起きてみるのが、りもこんの顔とか…最悪」
rm「……っ、は、……ごめ、」
世界が暗い
どこにいるかわからないのに、目の前にいるのは大好きな彼ら
それでも、彼らは大嫌いな俺を非難し続けている
手は届かない
謝りたいのに、声は響かない
うまいこと、声は通ってくれない
伸ばした腕を掴まれる
顔を向ければ、あの時のふうはやの顔がこちらを睨んでいる
fu「あっちいってろ」
気がつけばふうはやの家……あの廊下で引っ張られている
この光景、しゅうとが倒れた、あの時と同じだ
あそこで、俺は1人になる
あそこにいけば、もう何も手伝わせてもらえない
みんなの力になれなくなる
抵抗できない、体が動かなくて、ただ彼に引かれるだけ
扉が,開かれて___________
rm「…………………ぇ」
勢いよく、体を押される
ドアの向こう側へ___________
そこは、真っ暗な暗闇の中で、
「役立たず」
rm「……ぁ、」
_______________________落ちる
rm「ぅ”ぁ”あ”あ”ッッ!!!!!!」
体の痙攣と共に、恐怖の競り上がる声を上げて意識を覚醒させた
心臓がバクバクとうるさく鳴り響いて、気持ちの悪い朝を迎える
rm「……ぁ、さ、」
……とは言っても、時計が示すのは午前3時
中途覚醒、しっかり寝れた気もするが、それにしては心身の負担が大きい眠りだった
……いや、そもそもここは現実なのか?
ベッドから降りて触れる床は硬くて、ひんやりと冷たい
rm(やり直したい…ゃり、直したい、)
おぼつかない足で、どこに行きたいもないだろうに体を動かす
それでも、目的のない足はすぐ役に立たなくなって、体が崩れるように傾いた
rm「ぅあっっ、!、!」
どんっっっ
rm「〜〜〜〜っっっ、ぃ、だ、」
痛い、いや大丈夫だこれくらい、でも、視界が滲む
ズキズキと痛む体の主張が、内側の苦しみと同調して不快感を倍増させている
そうだ、自分が上手く笑えなくなったのは、楽しめなくなったのは、あの時からだ
rm(…会いたくない、…会えない、どうしよう)
ボロボロと涙が溢れる、数日前情けないくらい泣いたのに、それでもこいつは枯れやしない
今日はみんなで集まる予定があったのに
行きたくない、脳みそが脈打ちながらそう告げている
ふうはやたちに看病されて、問い詰められたあの日と同じ体の違和感が徐々に拡大されていく
理性を保ちたい自分と、メンバー全員で集まることに抵抗を覚える自分が体の中で延々と喧嘩を繰り返す
rm(…着替え、だけでも)
のろのろと体を動かして、ゆっくりゆっくりと準備を始める
時間なんて余るほどあるのに、集合は、8時なのに
有り余った時間を有効活用する気にもなれず、準備が終わり次第玄関の前でしゃがみ込み、膝を抱いた
彼らが予定を合わせてくれた、久しぶりに全員がちゃんと集まる日
だから、どうしても、休むわけにはいかないと心の中で自分が己を鼓舞している
………どれだけ長いことそうしていただろうか
気がつけばスマホの画面は7時半を示している、さっきまで3時だったじゃないか、なんでこういう時は時間が早いんだ
なんで、行きたくない時に限って早く時間が進むんだ
rm「………」
rm「…ぃかないと、」
言葉にすれば、脳がちゃんと理解して幾分か体を起こしやすくなる
昼間よりいくらかひんやりとした外の空気を感じる…いや、それでもやはり暑い日差しを受けて、ゆっくりと歩きだす
rm「………」
……脳裏をよぎるのは、もう数ヶ月も前のこと
彼らから投げられた言葉が、真意もわからず、ただ己を非難する刃として脳内で無限再生されている
情けないながら、彼らに会うことに恐怖を抱いてしまう未熟な己の精神が身体中に渦巻いている
それにもかかわらず、歩みを止めないのは、なんでかわからない
怒られると思うからだろうか、約束を破ることを、良心が許さないからだろうか
しゅうとが体調を崩したあの日から、彼らと直接会うことが、怖くてたまらないのに
彼らが助け舟を出してくれたことに、幾分か安心を抱くからか
“うんと甘やかしてやるから”
“久々にボードゲームがしたいな!!だからまたみんなでやろうよ”
言葉にしなくても楽しみにしていることが伝わってくるあの声色
俺のために予定を立てて、グループ通話の画面の向こうでキラキラと笑顔を咲かせていただろうリーダーのささやかな願いを、自分の惰性で壊したくなかった
……そうか、だから今頑張っているのか
………いや、何回同じ自問自答を繰り返しているのか
己の愚かさを嘲笑うかのように、脳内は揺れ続けている
痛みはないのに、不快さを纏う違和感だけが張り付いて離れない
rm「………ぁたまやばい…」
別の意味にも受け取れる言葉が、情けなく響いた
響いたというより、ほとんど空気のように揺れて喉からこぼれ落ちた
ゆっくりしゃがんで、強まる不快感をどうにか逃がそうと胸に手を当てる
吐きそうなのかそうでないのかわからないくらいの気分の悪さ、ゲームをぶっ通しでやって、酔ったみたいなあの感覚
___________こわい、彼らに会うことが
そんな恐怖からくる、……そう、多分、緊張だ
間違えてはいけない、悪いことをしてはいけない
失敗など許されない、社交の場を前に、俺は緊張しているんだ、きっと
rm「はぁ……ふ、……っ、」
深呼吸で少しずつ不快さを鎮めて、もう一度立ち上がる
外はまずい、ここで立ち止まりすぎたら、もう動けない気がする
動かなきゃダメだ、もう後戻りするより、ふうはやの家の方が近いから
昼間じゃないくせに、真夏日の太陽の光が不快感を助長させている
それに気づきたくなくて、日陰を求めながら下を向いて歩いている
あまり意識しなくても、馴染みのある彼の家は体が覚えていて、ふと顔を上げればもう目の前にあった
rm「は…………ゔッッ!!!!」
安心感が湧き出たのも束の間、引き留めていた気分の悪さがどっと漏れ出て、重心が揺らぐ
rm(落ち着け落ち着け!!一番我慢しなきゃいけないのは今からだろ!!!!?)
気持ちの問題だけで,こんなにも生活に支障が出るものか
玄関のドアに片手を当てて体を支える
rm(下を向いて、まずは深呼吸だ、ゆっくり、ゆっくり、)
「………りもこん?」
rm「!!!!!」
自身の体調にばかり気を取られて、後ろの存在に気づかなかった
慌てて振り向いた先には、不思議そうに首を傾げたしゅうとの姿があった
その手には差し入れらしい、お菓子が入ったビニール袋を持っている、流石しゅうと
shu「なにしてんの?」
rm「ぁあぅ、……ぇと…」
使いものにならない上に混乱した脳を頑張って動かして言い訳を考える
みんなに会うのが怖いです。だから色々考えすぎて、緊張して体動かなくて、呼吸整えてました…って?
rm(…言えるわけないじゃんか、そんなの)
でも、そうこうして唸っているうちにしゅうとは状況から判断したらしく、心配そうにこちらへ尋ねてくる
shu「…体調悪い?」
rm「違うっっ!!!」
変に誤解されるのを阻止したくて咄嗟に声を上げる
その様子が疑惑を生むことは当たり前で、しゅうとは余計顔を顰めた
rm「あいさつ、どうボケようかなって、考えててさぁ!」
shu「……こんなところで?」
rm「そ、そう、!しゅうともやる?」
shu「いややんないけど…」
rm「ぁ、そ、そう、だよね、!」
会話するたびにしゅうとの眉間の皺は解消するどころか深まっていく
どうするべきか悩んでいれば、不意に顔へ手が伸びてきた
rm「っっ!!!!」
shu「!」
何を思ったか、その手を咄嗟に掴んで止める
特段熱がある感じではない、喉もおかしくない、だから体調不良ではない、そう、これは俺の精神の問題
でも、しゅうとはいつも優しく撫でるように触れてくるから
だから、頭を撫でられでもしたら、どんな健康状態にあっても、彼に頼り切ってしまいそうでダメだった
止められたしゅうとは顔を顰めて心配の色を濃くする
shu「……」
shu「…手離してよ、りもこん」
rm「ぇあぃや、な、なんで??」
shu「なんでって……体温確認したい。だめ?」
shu「体調悪そうだよ?気づけてる?」
少し咎めるような物言い、ずくりと自分の中で何か嫌なものが生じたことを自覚しながら、…それでも平然を保ちたい
rm「悪くない、これは違うんだ、原因ならわかってる」
rm「全然大丈夫なやつなんだ、これは」
そう、これは体調不良なんてたいそうなものじゃないんだ
だって喉が痛くない、俺は普通に喋ることができている
不調に見えるのは、俺に、4人で集まる自信がないからだ
勇気が、ないからだ
そう、これは緊張からくる一時的な心身の揺らぎだ
それでも、しゅうとは納得した様子ではない
shu「……ずっとそういうよね、りもこん、体調悪いの気づいてないでしょ。辛そうだよ」
rm「だから悪くないって。辛そうって何、普通だよ」
shu「前にふうはやが言ってた、りもこん、声がおかしくない限り風邪引いてもわからないんでしょ?」
rm「なにいって……はぁ、?」
何言ってんの?体調不良に気づけない…この俺が?
shu「この間だってそう、りもこん、俺の心配ばっかしてくれてさ…」
shu「りもこんのほうが熱くて辛そうだったのに」
この前?何の話をしてるのしゅうとは
ここ最近体調を崩したことなんて、ふうはやとかざねに看病された時だけだ
久しぶりだったんだから、数年振りくらいなんだから、あれが
それなのに、目の前のオーバーオールは辛そうにこちらを見て話し続ける
rm「まて、なんの、はなし、」
fu「何してんだ?」
rm/shu「「!!」」
噛み合わない会話をしていれば、突如後ろから家の主の声がする
玄関から怪訝そうに顔を歪めてこちらを覗く、ふうはやの姿
fu「……入りなよ…けんか?」
shu「ぁの、」
rm「ぃやあすまんすまん!!ちょっとしたお戯れだわ」
ふうはやの訝しげな声に対して、しゅうとが口を開く
何をいうかは何となくわかっていたから、遮るように喉を鳴らした
大丈夫、だって本当に、体調はおかしくないから
恐怖と不安で押しつぶされて、ちょっと緊張しているだけだから
体の震えは、緊張からくるものだから
たかが緊張だから
shu「は、」
rm「マジでなんもない。お邪魔しますよ〜」
半開きになった玄関のドアを引いてやれば、ふうはやの私服まで見て取れる
彼の横を通り過ぎて、緊張を押し込めながら玄関を上がった
fu「……」
fu「りも」
rm「っ!!!」
くいっと何かを引っ張られる感覚がした
…腕を掴まれたんだ、後ろに引かれる
rm「…へ」
振り向けば、仕方ないとでもいいたげに眉間に皺を寄せた相棒の顔が映った
fu「お前大丈夫じゃないぞ」
数日前の彼の姿と重なる
大丈夫じゃない?おれは、大丈夫じゃないのか?
………どうして?
fu「こい」
形勢逆転
ふうはやに引っ張られて、リビングに続くドアに向かって進んでいく
……それがいけなかった
“既視感”
さっきまで大丈夫だと豪語していた脳内が唐突に警報を鳴らしている
だめだ、まって、そのドアの先は、
暗くて、底なしの___________
rm「ま、まって」
そんなことない、暗い場所じゃない、そんなこと、ちょっと考えればわかること
夢が現実になるなんてそうありえない、それもまさか、ドアの向こうが底なしなんて、ありえない夢が
でも、以前から絶妙に夢と現実を混同させてしまう己の精神は、ほんの少し似つくだけで見分けることができなくなっていた
rm「まってふうはや、まって」
怖い、お願い止まって、せめて、あの扉を先に開けて
お前、俺を連れて行ったら俺だけあそこに取り残すでしょう?
あそこに俺は落ちて、ずっと、ひとりで、
fu「だめだ」
頭を鈍器で殴られたような衝撃、息苦しさ、肺が、押しつぶされそうな感覚
rm「っ自分でいける、いくから、」
rm「待ってお願い、ふうはや、!」
せめて、お前の手を離して欲しい
お願い、無理やり連れて行かないで、その先は怖い
それでも、抵抗するたび自信を掴む彼の手は強くなっていく
……何で俺、まともに振り解けないの
ねえなんで………なんで力入んないの!!!?
rm「………ゃだ、」
shu「待ってふうはや!!!」
またもや後ろへと引っ張られる
今度は、包み込まれるように、優しく体を抱きしめられて
背中をさすられて、ようやく己の呼吸がまともじゃないことに気づいた
fu「なにっ………っ、!!!」
fu「ごめっりも、ごめん、!」
振り返ったらしいふうはやが息を飲んだ気配がして、手を離して謝ってくる
大丈夫、お前が心配してくれてたことはわかってる
お前は優しいから、そんなことわかってる
___________本当に?
___________奈落に俺を落とそうとしたんじゃないの?
………わからない、わからないから、黙っていて
rm「…ちがぅ、ちがう…、ごめ、」
混乱してはいけない、最近は、混乱したらみんなの声が聞こえなくなるから
また、見放されたくないから
rm「……ドア開けて、ふうはや」
fu「え、?」
rm「どあ…!…俺連れてく前に、開けて!」
困惑した顔をするふうはやを前に、子供のように懇願する
せめてあの奥が、暗くないことさえわかれば、きっと俺は安心できるから
そうしたら、きっと、ちゃんと大丈夫だから
ふうはやは黙って奥の扉を開けにいく
開かれる…………その先に、暗闇なんて存在しない
見慣れた彼の家のリビングが、その一部が輝いて見えた
shu「りもこん、?」
様子を探るように声をかけられ、返事をしようと目線を動かした瞬間、体が吸い込まれるように下に落ちる
shu「ぁあぶない、!?」
rm「……ぁ、」
fu「おい、!!?」
rm「……めっちゃ、脱力した、」
安心感、おそらく、安心感を抱いたことで緊張がほぐれて、脱力したのだ
痺れるようで、体がうまく動かない、完全に力が抜けている気がする
支えるように抱いてくれるしゅうとと、優しく撫でて状態を確認してくれるふうはやの優しさが、己の体に睡魔を呼び込んだ
だめだ、まって、こんなところで落ちたら、
少しでも起きていろ、せめて、リビングに行かないと
fu「眠いなら寝ていい。りも、頑張るな」
fu「そばにいるから」
思考を読んだかのような言葉が、彼の喉から発せられる
熱く感じる頭では、返答の言葉も用意できず、ただ彼に従って、ゆっくり目を閉じていく
「おやすみ」
寝ることは、怖いことなのに
どうしてこんなに、暖かくて安心できるだろう
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