注意事項は1話と同じです。
🐷↔☃️←🍌←🍆です!
🍌side
送ってしまった。
ずっと強がって生きていくつもりだったのに。
弱い部分は見せないつもりだったのに。
会っても上手く話せる気がしないのに。
どうしてもこの気持ちは1人で抱えきれなかった。
ピコン♪
思ったより早く来た返信に驚いて、体が跳ねる。
震える手を抑えて、恐る恐る画面を見ると
『いいよ、今から家行くから待ってて』
と一言だけのメッセージ。
たった一言で短い文なのに、すごくあたたかい。
ぼんさんの優しさが嬉しくて、涙が溢れそうになる。
泣くのは性にあわない。
それに、ぼんさんに見られたら恥ずかしいから、とぐっと堪えた。
会うことになったものの、どのように話そうか。
そもそもおらふくんのことが好きだったことすらぼんさんは知らない。
恋愛相談なんて人にしたことが無い。
そもそも同性が好きなんて、知られたら引かれるのでは無いか。
突然に怖くなって、メッセージを送ったことへの後悔が押し寄せる。
今更遅いのに。
ピンポーン
インターホンがなった。
ドアに駆け寄り、そっと開ける。
🍌「……わざわざありがとうございます、」
🍆「っは、全然大丈夫よ、暇してたし。」
ぼんさんの息があがっている。
走ってきてくれたのだろうか。
🍌「……どうぞ、上がってください」
🍆「それじゃ、おじゃましまーす……」
部屋で、机を挟んで向かい合わせに座る。
ぼんさんは何も言わない。
ただずっとそばにいてくれている。
震える手を抑え、勇気を振り絞って話を切り出す。
🍌「あ、あの……っ、」
せっかく声が出たのに、続きへと上手く繋げない。
手が震える。
きっともう自分は涙目になっているだろう。
自分が呼び出したからわざわざ来てくれたのに。
情けないし申し訳ないしで泣きそうになる。
🍆「焦らなくても時間いっぱいあるし、おんりーチャンのペースでいいよ。」
優しく微笑まれて、無理矢理抑えてきたものが限界を迎えた。
涙で歪む視界。
下唇を噛み堪えようとするも一滴がぽた、と机に溢れる。
🍌「……っ、」
🍆「……大丈夫、ゆっくりでいいからね。」
向かい側にいたぼんさんが隣に来てくれた。
震える自分の手が、自分より一回り大きな手で包み込まれる。
🍌「おれ、ずっと……っ」
ぼんさんの手の温もりで、少し安心できた。
涙で途切れる言葉を必死に紡ぐ。
🍌「おらふくんのことが、すきで……っ、」
そこからはもう止まらなくて、泣きながら話した。
ずっと想い続けてたこと。
同性という壁があったから想いを伝えずにいたこと。
初めて本気になって、嫉妬してしまう自分に悩んでいたこと。
いっぱい我慢してきたのに、そんな中2人は既に付き合っていたことがあまりにも衝撃だったこと。
悔しくて、仲間に対して憎しみを抱いてしまったこと。
そんな自分が嫌になったこと。
つらくて、苦しくて、悔しくて。
なのにそれでもまだ「好き」は変わんなくて。
諦めきれない自分が嫌い。
心の中のぐちゃぐちゃ。
ぼんさんは俺の隣で全部聞いて、受け入れてくれていた。
引いたりなんてせずに。
俺の我儘な気持ちにずっと寄り添ってくれた。
俺が一通り話し終わるまで、ずっと。
🍌「恋なんて、っまだ…、自分には、難しかったです…」
🍆「……つらかったね」
その一言があまりにもあたたかくて。
涙は止まってくれない。
🍆「恋って、俺みたいな年になっても難しいのよねぇ…」
🍌「っ、そう…なんです、か?」
🍆「……うん、難しいよ。」
🍌「……!」
ぼんさんとはある程度長い間一緒に活動してきているはずなのに、初めて見る表情。
物憂げというのだろうか、ひどく寂しげで切ない表情をしている。
自分の目が惹き付けられた。
🍆「自分はこれ以上ないほど好きなのに、相手は違う人のことが好きだったりするとさ、」
🍌「……」
🍆「その想ってもらえる誰かが羨ましくて妬ましくて、どうしても嫉妬しちゃうよね。」
🍌「……です、ね。」
あのいつも明るいぼんさんが、こんな表情になるほど誰かに恋焦がれていたんだ。
その誰かのことを本当に好きだったということが、表情からすごく伝わってくる。
🍆「あのさ、正直に言うとね……」
🍌「……はい、…?」
声音が変わる。
真剣な表情。
🍆「……おんりーチャンがおらふくんのこと好きなの、知ってたよ。」
……?
一瞬思考が止まる。
いつから?
なんでわかったの……?
頭に浮かぶたくさんの疑問を言葉にするまでに時間がかかった。
戸惑いが隠しきれない。
🍌「え、なんで…、え…っ? 」
🍆「なんで、か。うーん、……ずっと見てると分かっちゃって。確信もあったし。」
🍌「そんな、知ってたん、ですか……」
🍆「……うん、知ってたよ。」
🍆「おんりーチャンの声色とか、仕草とかでさ、おらふくんのこと本気だったのもわかってた。」
🍆「俺とおらふくんがチームになったり絡んだりしたとき、嫉妬してたのも知ってる。」
🍌「……そうだったんですね、」
知らなかった。
誰にもバレてないと思ってたけど、長く一緒にいる人にはお見通しなのか。
🍆「……そんなに好きなのに、仲間だからって我慢してたんでしょう、?」
🍌「……っ」
優しい声に、表情に。また涙が込み上げてくる。
🍆「ほんとに偉いね。」
🍌「……!っ、ぅ……ぼんさ、」
🍆「いっぱい泣いていいんだよ、つらかったね。」
救われた気がして、思いっきり泣いた。
🍌「、うわぁぁ……っぁあ……っ、おらふ、く、ん……」
🍆「……頑張ったね」
🍌「ぼん、さんっ…も、…ごめん、なさ……」
🍆「いいんだよ、いつも助けてもらってばっかだし。」
🍆「こんな時ぐらいは頼ってよ、」
それから数分。
自分はと言えば泣いて疲れきってしまい、現実と夢の狭間でゆらゆらと揺れていた。
🍆「れ、……ちゃ……い……」
ぼんさんの、声?
横にいたはずなのに、すごく遠い。
微睡みの中、かすかに聞こえる声。
僅かな間、少し夢の霧が晴れたその時、耳に入ってきたのは
「おんりーチャンが俺の事好きだったら良かったのに。」
2人しかいないこの部屋に切なげに響く貴方の声だった。
コメント
1件
ひぃ...やぁ...無理ぃ...えぇ...? 皆に幸せになって 欲しいのに無理だよねん()