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Q.あなたには大切な人がいますか?
A.わからない
Q.あなたには殺したいほど憎い人がいますか?
A.はい
「…あ」
ポツポツと地面に小さな雨が打ち付けられて、濃い跡を作っていく。ジメジメとしていて、僕の嫌いな梅雨時だ。
【雨はなにか奪っていく】
なんて聞いたことがある気もするし、雲の黒さと雨の匂いでクラクラしそうだ。こんな嫌な予感が、的中しなければ良いんだけれど。
そんな僕の思いも無駄だった様で、暗い雰囲気に決して合わないインターホンの音が部屋中に響いた。時刻は午前1時。SNSを見ていたらいつの間にかこんな時間だ。この時間まで起きている僕も大概だが、午前1時に人の家に来る奴の方が大概だろう。
湿気で嫌に湿った床を、転ばないようにして玄関まで足を運ぶ。
扉の先に居たのは、今となっては遠い存在であるヒーローとなった友達_ライだった。
「ライ?どうした?こんな時間に…。」
『っあ、あの、えっ、と…』
先程まで小雨だったのに、いつの間にか豪雨になっていた所為かずぶ濡れで、たくさんの汗をかいて真っ青な顔で、ライは立っていた。
『ぁ、おれ…さっ、き…』
小さな子供の様に拙い言葉で
話すことが怖いとでも言うように、震えて、焦って、苦しんで、ライは話し始めた。
『ひと、を…その、ぁ
ころ、ころした、んだ…』
今にでも消えてしまいそうな声で
不安と気持ち悪さを声に混ぜ込んで
瞳が揺れ動いて
浅い呼吸で
嫌だ、って僕に訴える。
「…そっか」
「ライ。おいで」
そう言って両腕を広げてやれば、強く、僕の存在を確かめるように抱き締めてくれる。安心したのか声を殺して泣き出してしまうライは、夏が始まったばかりだというのに、心臓を早めて、ひどく震えていた。
_そう、ライと僕の旅は
そんな歪なカタチで始まった。
「あの日が無ければ、今はシアワセで居られたのかな」
「…それとも、ライは__」