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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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口に含んだワインをごくっと呑み下して、レンズの向こうにある、その冷えた瞳を見返すと、


「……こないだは、違ったじゃないですか? 薬まで飲ませて、無理にしようとして……」


抗議をするように、ややきつめな調子で言いつのった。


「……違っては、いないでしょう? あの時は確かに薬は与えましたが、君は自分からそうされたはずです……」


自分のグラスにワインをついで、彼はまた一口を飲むと、


「……キスも、拒まなかったですよね?」


私に、不意に顔を近づけて、


触れるか触れないか程度に、薄く唇を合わせた。


焦らすような口づけに、追い求めるかのように、つい唇が開くと、


「……もっと、してほしいですか……?」


その低い声で、耳元でもったいをつけるように囁かれ、追い討ちがかけられた。


「……してほしいと言えば、してあげますよ?」


「し……」


言いかけて、口をつぐむ。


「いいのですよ…してほしくはないのなら……」


彼の細く長い人差し指が伸びて、私の唇を横につとなぞるのに、首を振り顔をそむける。


「ほしくは、ないのですね……?」


離れていく、薄く形のいい唇に、


「ほしく…ないわけじゃ……」


追いすがるような言葉が、思わず自らの口をついてこぼれた──。

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