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莉乃ちゃん
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翌朝
敦の声で目が覚めた。
「ひろ!大丈夫…?」
どうやら昨夜、リビングのソファで泣き疲れてそのまま眠ってしまったらしい。
「…ご、ごめん。うん、大丈夫」
なにも大丈夫じゃないのに、口は勝手に動いていた。
「…もし、体調悪いなら無理しないでね。朝ご飯食べれそう…?」
「うん、ちょっと…トイレ行ったあとに寝落ちちゃっただけ、だから」
なんとか誤魔化して立ち上がると、僕は敦と一緒にリビングに向かった。
◆◇◆◇
机の上に置かれた朝食は
鮭の塩焼き、具だくさんみそ汁、白米という王道の和朝食セットだった。
「「いただきます」」
お互い手を合わせてから、箸を取る。
今日の敦はなんだかいつもと違う気がした。
まるでなにかを決心したように清々しい顔付きだ。
(…僕と、別れる決心ついた……とか)
どうしても、嫌な方向に考えてしまう。
そんな不安を考えながらも、敦にこれ以上気を遣わせないようにご飯に集中することにした。
まず、魚を食べようと箸を入れた瞬間
ジューシーな脂がジュワッと溢れた。
ホロッとほぐれる柔らかい身の美味さがあり
皮目の香ばしさと、程よく乗った脂のまろやかな甘みが広がった。
魚をおかずにご飯を食べると、炊きたての白米の優しい味が口内に広がり
味噌汁を喉に流し込めば、野菜や豆腐の具材から出た自然な甘みが汁全体に溶け込んでいて
冷えきった心と体を芯から温めてくれた。
そんなときだった───
「ねえひろ、今日の夜さ、話したいことがあるからリビングで待っててくれる…?」
「え…」
突然の申し出に、僕は戸惑った。
〝話したいことがある〟という言葉が、まるで死刑宣告のように脳内に響いた。
「すぐ終わる話じゃないけど、ひろとこれからのことについて話したいんだ。いいかな?」
やけに真剣な声は、酷く現実味を帯びていた。
(間違いない…僕、別れ話をされるんだ…っ)
すぐ終わる話じゃない。
それはきっと、僕が「別れたくない」と駄々を捏ねることを敦が想定しているからだろう。
「…わ、わかった……待ってる」
声は若干震えていた。
敦を玄関で見送ったあと、僕は床に崩れ落ちた。
(…っ、もう、敦を見送るのもこれで最後……?)
そう思うと、後悔とショックで涙が溢れて止まらなかった。
ずっと一緒にいたのに。敦と別れることなんて絶対ないと思っていたのに。
昔、敦のショコラトリーに通っていたときは幸せで仕方なかったはずなのに。
ちょっと前まで笑いあっていたはずなのに。
敦がいなくなるなんて考えられない。
もう、敦に触れることすらできない。
ハグも、キスも。えっちも。
敦と会話することすらできないなんて、嫌だ、敦と別れるなんて嫌だ。