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本気にさせたい恋

131 - 第131話  望んでいた言葉①

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2024年10月03日

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オレってこんな我慢出来ないヤツだったっけ。

昼に透子と会ったばっかなのに、もうすぐに会いたくなってる。


少し前までは、ずっと会えなかったのに。

1年も会えなくても我慢出来たはずなのに。

もう今はなんの障害もないと思うと、もういてもたってもいられなくて。

いつでも会いたくなる。

特に今日の仕事は確認とか簡単なことをしに来ただけだから、余計透子のことを考えてしまう時間が増えてしまう。


ようやく定時が近付いて透子に会えると喜んでいたら、気持ちが通じているのかそのタイミングで携帯に透子からのメッセージが届く。

ニヤニヤしながら携帯を確認すると・・・。

まさかのまだ仕事が終わらなくて長引きそうだと予想もしなかったメッセージが。


マジか・・・。

いや、まぁ、相変わらず仕事頑張るところは透子らしいんだけど。

でもまだ会えない時間が増えると思うと、自分でもわかるくらい気落ちしているのがわかる。

別にここからまたしばらく会えないワケでもないし、数分後には会えるというのに。

一度離れて、いざまた一緒にいれる時間が戻ったからだろうか。

その反動や嬉しさで、オレはどうやら透子に会えない時間がこんなにも我慢出来なくなるほど、今まで以上に透子が恋しくて仕方ないらしい。

だけど、仕事に集中してる透子を困らせたくなくて、適当に待ってるから連絡してと、イイ男風に余裕ぶった返信で返しはしたけど。

結局やっぱり落ち着かなくて、1秒でも透子に早く会いたくて、透子が終わりそうな頃を見計らって、透子の部署の近くで待機する。


ヤバイなオレ。

これ片想いしてた時よりタチ悪いんじゃね?

想い届いたのに、まだ全然足りなくて恋しすぎて仕方ないとか、自分で透子への想いの重さに笑えてくる。


そしてようやくその待ち遠しい人の姿が見える。


「お疲れ」


そして近くまで来た透子に声をかける。


「樹! なんで?」

「もうそろそろかなと思って迎えに来た」

「あっ、そっか。ごめんね。わざわざ」

「全然。逆にこういうこと気兼ねなく出来る嬉しさで、オレが我慢出来なかっただけ」

「ありがと」


今まではずっと片想いで偶然見かけるくらいしか出来なかった。

想いが届いてもこんな風に堂々と仕事帰りに会いに来れたりなんてことも出来なかった。

こんな何気ない日常的な幸せも、オレ達には当たり前にすることが出来なくて。

ずっと想い続けていた人の隣にいれることが。

今はただこんなことでさえ幸せに感じる。


「もう仕事いいの?」

「あっ、ごめんごめん。定時で終わるはずだったんだけど、急遽今日中に整理しなきゃいけない資料あって。それももう終わったから大丈夫」

「ならよかった」

「なんか樹とこうやって会社一緒に歩いてるの変な感じ」

「そっ? オレはずっと念願だったこの状況、嬉しくてたまらないけどね」

「ホントに?」

「そりゃね~。ここで堂々と透子の隣歩けてるなんて、昔のオレには考えないからね」

「そっち?(笑)」

「そりゃそうでしょ。ずっと憧れてた人の隣にオレがいること自体、実際夢みたいな状況だし、それが今オレの婚約者として堂々とその隣にいれるなんて、そんなの最高に嬉しすぎるでしょ」

「私はその言葉だけで嬉しい」

「なんなら、ここでも手、早速繋いどく?」

「いや・・それは・・」


少し積極的になるといつものように照れているのかそれは受け入れない透子。


「まっ、いいや。透子はそういうキャラじゃないし、もう誰に気兼ねすることもないし焦ることもないからね。今はこうやって透子と一緒に並んで歩けるだけで満足」


ホントはもっと透子に近づきたいし、もっと触れたいのも事実だけど。

だけど今はただ普通のことを過ごせるだけでいい。

透子がただ隣にいてくれるだけでいい。


「なんかやけに今日は素直じゃん」


思わず戸惑いながらもそう返したオレに。


「私、決めたんだよね」

「何を?」


逆に今日はオレ以上に戸惑うことなく落ち着きながら話す透子に聞き返す。


「樹にはちゃんと素直な気持ちこれからは伝えていこうと思って。また離れた時に、後悔したくないから」

「いや・・それはもう大丈夫」


珍しくまっすぐオレに伝えてくれる透子に、オレはすかさずそう答える。


「私が気持ち伝えるのは嫌・・?」


すると、そのオレの言葉を聞いて、なぜか悲しそうにそう伝える透子。


え? もしかして透子勘違いしてる?


「いやいやいや! そうじゃなくて」


まさかの反応にオレは全力で否定する。


「もうオレ達は絶対離れることはないってこと。もうそれはないから安心して」


そうじゃないよ透子。

もうそんな心配しなくても、もう絶対離れるつもりないから。


「あっ・・そっか。なんだ。そっちか・・。私の気持ち伝えるの重くて断られたのかと・・」


あからさまにホッとした様子の透子。

そう思わせたのを申し訳なく思う反面、その透子の気持ちに嬉しくなる。


「フッ。そんなのあるワケないじゃん(笑)透子の愛溢れる気持ちなら、オレはいくらでも受け止めるし24時間いつでも大歓迎」

「よかった・・」

「透子は逆に足りないくらい」


オレはこんなにもずっと透子が好きで仕方ないから、同じように透子からもそんな気持ちを求めたくなってしまう。

ホントはもっと透子の気持ちを、透子から言葉で聞きたい。


「うん。それもわかってる。・・・わかってるんだけど、なんか樹の前ではどうも恥ずかしくなっちゃって・・」

「何それ。めちゃ可愛すぎるんですけど」


うん。透子はそんな反応になるのわかってるから。

そんな風に感じてくれるだけで、ちゃんと透子の気持ちは伝わってるから。

オレはそんな透子を見れるだけで可愛すぎて嬉しすぎて仕方ない。


「ありがと」


オレが嬉しくて微笑むと、そう言って同じように微笑んでくれる透子。



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