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国「名前は何だ?」
少「…」
敦「…あ、えっと何歳なの?」
少「…」
与「そもそも如何して探偵社の前に倒れてたんだい?」
少「…」
少年は目覚めて早々、三人に質問攻めされていた。ベッドに座る少年の周りに三人がいる、という形だ。なお、肝心の質問の方は完全スルー。答える気はないようだ。
否、答える気がない、というよりも答えるべきか思考している、という方が正しい。
そして、少しの間をおいて少年が口を開く。
少「……太宰治。15歳。なんで彼処に居たのかは分からない。」
低く、暗いがよく通る声で少年…太宰はそう発した。
三人は顔を見合わせる。
そして国木田が立ち上がり、扉の方へ向かう。扉を開く直前、敦達の方に向き直る。
国「…敦。此処で此奴…太宰と一緒に待っていろ」
国「与謝野さん、一寸着いてきて頂いても?」
与謝野は無言で頷くと国木田に着いていった。
・・・
二人きりになる敦と太宰。
敦「…だ、太宰さ…あ、太宰くんって呼んでいい!?」
敦「僕のことは敦って呼んでね!…あはは……」
太「…」
重い空気をなんとかしようと懸命に声をかける敦だったが、太宰は完全にスルー。先程からではあるが、最早目を合わせる気もないようだ。太宰の瞳はただ虚空を写していた。
そして再び沈黙。
敦も、もう話しかけるつもりは無く、ただ二人を待っている様だ。
正直、敦は内心、かなり動揺していた。22歳の太宰と15歳の太宰がかなり違っていたからだ。
敦は、太宰の方をチラッと覗き見る。
15歳にしてはかなり小柄だ。妙なことに白シャツに黒ネクタイと、中々に年齢に不釣り合いな格好をしている。だが、違和感は全くなく、逆に馴染んでいるように思えた。そして、なんといっても、右目や首元、腕に巻かれた包帯。22歳の太宰も身につけてはいるが、明らかに此方の方が量が多い。オマケに左頬にはガーゼまで付けている。
…というか、服は着替えないんだろうか。先程よりも若干汚れは乾き、滲んで見えにくくはなっているが、辺りにはほのかに血の匂いがしている。
敦「あのさ…」
敦が勇気を出してもう一度声をかけようと口を開きかけた。
ガチャ_
だが、その瞬間、診療室の扉が開いた。
敦は弾かれたように其方を向く。無論、太宰は未だ、微動だにしない。
その扉の先にいたのは…三人だった。
国木田、与謝野、そして、武装探偵社社長、福沢諭吉だ。
先頭に福沢、その後ろから二人が着いてくる。
そして、太宰の真横に来て止まった。
敦は福沢が太宰の真横に立てるよう、場所を譲る。
そして、太宰と目線を合わせるため、しゃがみ込んだ。今まで頑なに視線を合わせなかった太宰も、福沢の目を見る。
そして、福沢が口を開いた。
福「お前の名は何という?」
太「…太宰治」
福「どうして我社の前に居た?」
太「…知らない」
そして、少しの間をおき、意を決したように、福沢は口を開いた。
福「じゃあ最後に問う。お前はポートマフィアか?」
今まで淡々と答えていた太宰の表情が変わった。先程から警戒している様子を見せてはいたが、その警戒が一段と増し、最早、殺気を纏っているとも言える。
そして、数十秒程経ったあと、ふと思い着いたように太宰が口を開く。
太「成程。そういう事か。」
皆の顔に疑問が浮かんだ。
太「僕の銃を盗ったのは君たちだね?」
…盗った、というのは中々に悪意のある表現だが、実際に、与謝野は太宰の懐にあった拳銃を見つけて抜き、其の事を含め、福沢に報告していた。
其れに太宰は気付いていたのだ。
福「…あれは、中々に上等な銃だ。唯の少年が有す代物では無い」
福沢は普段よりも柔らかく、唯の少年に悟りかけるような口調で話す。
…尤も、太宰が唯の少年であるかは微妙なところではあるが。
太「うん、そうだね 」
歳の差はかなりあるというのに真逆のタメ口。
国木田が若干苦い顔をする。
そして、太宰は口許に笑みを浮かべ、最後に一言、こう言った。
太「ねぇ、僕を暫く此処に置いてよ」
と。
Continue…
・・・
話が全然進まない!次はちゃんと進みます!きっと…!たぶん!!