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side.若
今日は大事な大事な日。この日のために元貴と何日もプランを練った。
そう、今日我らの姫を守るための講習会である。
あのくそジジイの件で、涼ちゃんには危機感をもっと持ってもらいたい。
自分で自分を守れるように。
大森「その手の向き違うよ」
若井「こうやって、こう突き出す!」
藤澤「難しいよお~…」
大森「はい、集中して!…だから~こっちだってば!」
藤澤「ううう…これ必要あるの…」
若井「当たり前でしょ。はい、やって」
時間ももうないので、これで講習会は終わり。3人ともヘトヘトだ。
涼ちゃんはなぜか才能があって、案外すぐにできた。
若井「涼ちゃん、この手の動きさえできれば完璧だね」
大森「すごいよね…ちゃんとできてたじゃん」
藤澤「んん…これ、役に立つのかなあ…?」
若井「自分を守るためだよ。ずっと一緒にいれるわけじゃないんだから」
大森「まったく、もっと危機感持ちなよ」
藤澤「だって僕おじさんだよ」
大森「だから、涼ちゃんはお姫様だから!…多少バカな」
藤澤「ひど⁈」
若井「まあ、これでなんとかなりそうだね」
今日はどうしても電車で行かなきゃいけない用事。もちろん3人でいるけど、満員電車では思うようにいかない。
あ、と思った時には涼ちゃんが少し前に流れていってしまった。
なんとか見えはするけど、不安でしょうがない。
元貴は俺にしがみついていたから大丈夫。
やべ、こいつもかわいいんだった。
大森「若井…怖い」
若井「大丈夫。元貴は俺が守るし、涼ちゃんは、いける」
大森「そうだけど…涼ちゃん優しいから、怯んじゃいそう…」
若井「大丈夫だから。謎にめっちゃ上手かったじゃん。実戦練習だと思おう」
ほんとは俺だって怖いし、今すぐに涼ちゃんのところに行きたいけど、そういうわけにもいかない。
スマホを開いて、三人のグループにメッセージを送る。
『講習会の実戦練習。なんかされたらそう思ってぶちのめせ。』
すぐに既読がついて、涼ちゃんからのアイコンタクトと返信。
『了解。実行する。』
若井「元貴、涼ちゃんやるって」
大森「見たい。抱っこして」
若井「はいはい」
大森「あのジジイ距離近い」
ジジイの腕が伸びるのを見た。
と、その腕を涼ちゃんが掴んだ。
ほんとは触らないでほしいけど、しょうがない。
ジジイがもう片方の手で涼ちゃんを掴もうとする。
その瞬間、涼ちゃんが肘をぐっと引いた。
ごすっという音が聞こえて、おじさんがドアに倒れこんだ。
涼ちゃんが満面の笑みでこっちを見た。
やばい、吹き出しそう。
バイブ音が鳴って、涼ちゃんからのメッセージ。
『任務、完了しました。はやく褒めて』
元貴と目を合わせて、堪えきれずに吹き出した。
ジジイは連行され、涼ちゃんは俺らにいっぱいよしよしされることとなった。
姫は、自分の身を守る術を身に着けたのだった。
「危機感がない人」のおまけ。
姫がめちゃめちゃ強かったらギャップ萌えだな。
コメント
2件
涼架姫 やるじゃん✌
そうだっ!護身術は大事!! 突き出せ突きだせ! 藤澤さん、よくやりましたね⤴️