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side.若
今日は元貴だけ個人の仕事で、涼ちゃんと俺はスタジオで合わせだった。
さっき終わって、涼ちゃんのおうちで宅飲み兼、新曲についての意見会をしている。
藤澤「ここのフレーズのリズムがいつも遅れちゃうんだよねえ…」
若井「俺もそこ難しい…今度早めに行って合わせる?」
藤澤「うん!あ、あと、ここは元貴の声と歌詞に寄り添った感じがいいかなって」
若井「えーそこ?うーん、あ、確かになあ…」
藤澤「若井のギターフレーズかっこいいんだけどねえ…」
若井「うん…。まあでも元貴の声をもっと響かせたいよな」
藤澤「うんうん。ここも今度合わせしよう」
元貴の作る壮大な楽曲にもっと寄り添いたい。
もっと美しく馴染みたいし、きらびやかに輝きたい。
涼ちゃんはキーボードを、俺はギターを軽く鳴らしながら話し合う。
楽曲の歌詞や歌い方に合わせないと、ただの雑音、騒音になってしまうから。
藤澤「そういえば、今度また新曲出すって言ってたよね」
若井「うん…元貴大丈夫かな…」
藤澤「心配だけど、その前に完成させないとね」
若井「だな。確かソロ考えてって言ってた」
藤澤「あー言ってた言ってた!曲の雰囲気感じてから、また相談してもいい?」
若井「もちろん。なんなら一緒に作る?」
藤澤「めっちゃ楽しそう!お互いの雰囲気分かるしねえ…」
お酒もだいぶ入っているので、ポンポンと飛び出す言葉。
俺は、こういう軽い会話が大好きなんだよね。
でも、ありがたい事なんだけど元貴はとっても忙しくて、のんびり話す時間がない。
最後にダラダラとどうでもいい話をしたのはいつだっけ。
制作期間もあって、元貴とは仕事の話しかしない。
こうやって離れちゃうのかなって考えると、なんとなーく不安になる。
毎日会ってるし、話してもいるのに…。
若井「俺、めんどくさ」
お酒のせいでぽろっと零れた本音は、涼ちゃんにしっかり掬い取られた。
聞いてないと、思ってたのに。
藤澤「寂しいね、2人って」
若井「うん。涼ちゃん、今日一緒に寝よ」
藤澤「元貴怒っちゃうよ?」
若井「今日は1人でいんの、ダメな感じがする」
藤澤「そっか、いいよ」
なんでもない、ちょっとした寂しさ。
知らぬ顔をしておけばずーっと封印できるぐらいの、ちっちゃなちっちゃな孤独感。
それでも、塵も積もれば山となる、だからね。
ちょっと甘えてみたりして、大好きなお兄ちゃんに助けてもらおう。
末っ子感を出したくて書いた。
お兄ちゃんは、ナマコ系男子ですがとっても優しいです。