テラーノベル
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💙「お邪魔します…」
グループ仕事の後、取材を受けてから翔太は一人で俺の家にやって来た。
以前、この家に引っ越した時に引越し祝いをメンバーみんなでしてもらったことがあって、翔太は家の場所を知っていた。翔太がここへ来るのはそれ以来だ。
💛「なんか飲む?」
💙「水でいい」
翔太は素っ気なくそう言うと、所在なげに立ったままでいる。ソファをすすめるとようやく落ち着かない様子でそこへ収まった。
💛「今日来てもらったのは」
翔太と目が合う。 その瞬間、二人きりだということを急に自覚して胸が苦しくなった。鼓動が早まる。顔に出さないようにしようとしたけれど、怖気付いた自分の声がみるみる小さくなるのがわかった。
💙「なんだよ」
ぶっきらぼうに言う翔太の顔が心なしか赤い気がした。いつもの穏やかな彼じゃなかった。どこか怒ったような顔をしている。俺はさらに怯んだ。
💙「だから、なに?」
翔太の目が俺を射抜く。
喉がからからに乾くのを感じた。
💛「翔太と、ちゃんと話したいと、思って」
💙「おう、それで?」
区切り区切り言うのがやっとな俺を煽ってくる真っ赤な翔太。見ると、翔太の白い顔は耳まで真っ赤になっていた。
💙「言えよ」
💛「…………………」
しかし俺の勇気はここまでだった。
それ以上言葉を継ぐことはできず、コップ一杯の水を翔太の目の前に置くと、少し離れた位置で自分もソファに座った。
💙「………何だよソレ」
💛「………………」
💙「つまらん」
翔太の言葉の真意を測りかねていると、翔太はきっ、っと俺を睨みつけた。
💙「期待した俺がバカだった」
💛「期待…?」
💙「帰る」
💛「待って」
慌てて手首を掴む。
思ったよりも力が篭っていたようで、翔太は痛みに顔を歪めた。
💛「期待してたの?」
翔太は何かとんでもなく不味いものでも食べたような顔をして、俺を睨んだ。俺はその反応に勇気を得た。
💛「それって俺に期待してくれてたってこと?」
💙「悪いかよ」
💛「翔太」
💙「だから何だよ!!!」
殆ど掴みかかるような勢いで叫ぶ翔太を、俺は抱きしめた。
💙「ちょっ!なにす……」
💛「好きだよ、ずっと前から」
💙「………っ!!」
腕の中の翔太の抵抗が止んだ。
そして、今、翔太は俺の胸に身体を預けていた。そしてくぐもった声で小さく言った。
💙「おれも」
おわり。
コメント
16件
ご馳走様でした😋 💛💙
初コメ失礼します! なべいわ尊い... まきぴよさんの作品最高です!!