注: この作品はUT-AUのDreamtaleの二次創作小説です
人によってはキャラクターの解釈不一致を感じる場合が あります。
あと、とてーも短い。
容姿捏造
自己満足
ワンクッション
夏の爽やかな風は、お世辞にも澄んでいるとは言えない。
この私が、感情の守護者が、人間などに打ち負かされたなどあってはならない事態。辛うじて、こうして感情の木と同体になり形を保ってはいるが、どうやっても悔しさが振り払えないのだ。
過去の贖罪を思い伏せていると、隣の霊体殺人魔が空を見ながら口を開く。
「見たこと、ないんだ。」
彼は私を瀕死に追いやり、私に殺されたニンゲンだ。だからか、言葉を交わすのにすら憎しみが渦巻く。そして久しく真面目な発言に眉を顰めた。
「やめて、今は声も聞きたくない。」
そう言うと、隣の男は黒い髪を靡かせ私と向かい合うようにして振り返る。永遠の青い天井と、木から漏れ出た光、風に吹かれて移動する葉を背にしたニンゲンは、珍しく爽やかに返した。
「世界のことを言っている。まじまじと観察することもなかったが、こう落ち着いていると、案外良いものだ。」
「それに比べて、貴方は。」
「もっと良い、と? 賛辞とは。たまにはやるじゃないか。」
皮肉の投げ合いも終わるころ、どこにも行けない体を持ち上げ私たちがいる側とは反対の様子を見ようと奮闘する。そんな自分を劣悪な男はからかうだろう。
「幽体がなんだって苦戦するんだ? 端から見れば、滑稽も滑稽だが。」
「ここから遠くへは歩めない。あなたも知ってるはずよ。」
「どこへ行く。」
「我が子たちを見守りに。」
「ほう、尾行か。お前なかなか悪人だな。」
「あの子たちは仮の守護者なのだから、しっかり責務を果たしてくれないと困るの。」
「……責務の時効はいつまでだ?」
「…? …なぜそんなことを? 貴方に教える義理はないわ。またなにか企んでいるのでしょう。」
その言葉を皮切りに、すっかり世界と切り離された目の前のニンゲンには声が届かない。きっと悪事を働こうと頭を回しているのだ、と勝手に結論づけた私は、少しでも子供たちが視界に入る位置へ移動する。
「兄弟! このお花はなに? すっごく可愛らしいよ!」
「ふふふっ。ドリーム、はしゃぎすぎだ。それは薔薇、茎には棘があるから余り触らないで。」
「へぇー! 物知りだね、どこで知ったの?」
「すごいことでもないよ、本で読んだんだ___」
仲睦まじく花を摘む双子は今年で1歳になる。私があの双子を創ったときから、精神は少年期真っ只中にしているため会話に困ることもない。おそらく、大人と対峙してもなんなく話せるだろう。
はぁ、と一息ついた。ここ何年かは確実に世界の感情の波が安定する。先程とは違い、酷く穏やかになった心。
柔らかな陽と鼻をくすぶる花弁の香りに包まれた。
未来5年までは。







