文スト 太i宰 と 敦i
BL
R指定△
前回の続き
「 太 」『 敦 』
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『君の光に溺れる ― 灰の夜 ―』
港の倉庫街は、夜風に沈んでいた。
闇にまぎれて忍び寄る敵の気配を感じながら、敦は太宰の背に身を寄せる。
『 ……太宰さん、数が多すぎます。 』
「 心配しないで。私がいるじゃないか。」
軽口を叩く声の奥に、いつもの飄々とした響きがあった。
けれど、その笑みはどこか張りつめているようにも見えた。
銃声が弾ける。
敦が振り返るより早く、太宰の手が彼の肩を押した。
「 下がって、敦君! 」
その瞬間、弾丸が壁をかすめ、火花が散る。
太宰は自ら前に出て、敦をかばうように立ち塞がった。
『 太宰さんっ……! 』
「 大丈夫、かすり傷さ。」
右腕から血が滲む。
敦は息を飲み、すぐに太宰の腕を掴んだ。
『 かすり傷じゃない……! 無茶しないでください! 』
「 ふふ、そんな顔するなよ。君にそんな声を出されると、ちょっと照れるね。 」
その軽口に怒りが込み上げる。
だが、太宰の微笑みがあまりに穏やかで、言葉を失った。
敵の足音が近づく。
敦の獣の力が反応し、金色の光が瞬く。
『 太宰さんを傷つける奴は、許さない……! 』
獣化しかけた敦の瞳が鋭く光る。
その背に、太宰の左手がそっと触れた。
「 落ち着いて、敦君。君は優しいままでい て。」
『 でも、僕…! 』
「 君が怒りに飲まれたら、私が寂しくなるよ。」
その声は静かで、かすかに震えていた。
敦はその震えを感じ取って、拳をほどく。
銃撃が止む。敵が退いたのを見て、ようやく太宰は力を抜いた。
膝がわずかに崩れ、敦が慌てて支える。
『 太宰さん……! 』
「……ありがとう。君の手、温かいね。」
近すぎる距離。
雨の匂いと血の匂いが混じり合う中で、二人の呼吸が重なった。
『 僕……太宰さんのこと、もっと知りたいです。 』
「 そう言われると、逃げたくなるなぁ。」
『 逃がしませんよ。 』
敦の声は震えていた。
それでも、確かに太宰の胸の奥に届いた。
太宰は短く笑って、空を見上げた。
月の光が、灰の夜を静かに照らしていた。
「――じゃあ、私が君を試す番だね。」
その言葉の意味を、敦はまだ知らない。
けれどその夜、二人の距離は、もう後戻りできないほど近づいていた。
〜 〜 〜 〜
ここまで!
ここに書くことないから 、 どーしよっかなみたいな感じなのだよ、笑
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