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心地良い鳥の声がする。
頬に当たる風も気持ち良い。
後ろに誰かがいる。
その時、私を呼ぶ声がした。
「魔理__」
「…霊夢ッ!!」
はあ、はあと自分の息遣いを感じる。
「あ”ぁ…、何だ…夢、か。」
荒っぽい口調で誰かに言う様に呟いてから、静かにベッドから降りる。
鏡の前に立ち、あれこれ服を着ては変えている。
鏡に語りかけるようにその少女は言った。
「今日も今日とてシスターシスター…ね」
数分後
朝食を食べ終わり、一日の仕事が始まる。
教祖様もいない、信者もいないただの教会。
嗚呼、今日も虚しく一日が過ぎるのか…
そう思ったときだった。
「わあぁあぁぁぁあああ!?」
上から叫びながら何かが落ちてくる。
「…妖怪か何かか。」
先程の少女はどこにいったのやら、丁寧な口調になっている。
その内、何かが地上に落ちてくる。
箒で空を飛び、少女を受け止める。
即座に部屋に寝かせ、警戒しながらもゆっくりと近付いていく。
声を掛けようとしたその時…
「…ッ?!」
少女は面食らったような顔をし、後退りをした。
上から降ってきた何かは起き上がる。
「いってて…もうっ!雑なんだから…」
ぶつぶつと呟きながら顔を上げる。
その正体は、可愛らしい少女だった。
シスターの少女はどうやら面識がある様で、戸惑いながらも口を開いた。
「…嬢ちゃん、どこからきたの?」
質問には答えず、少女はこう返した。
「あれぇ、なんでだろ…」
「私、お姉さんと」
またもや面食らった様に目を瞬かせる。
「…どうして、だろうな。」
少し言葉を詰まらせながら、やっと答えたように感じた。
そんな様子に気付いているのかいないのか、少女は質問を繰り返す。
「ねえねえ!お姉さんって魔法使いさんなんでしょ?」
「…ッなん…、ッで…?」
シスターの格好をしている私の服は、何処にも魔法使いの要素がない。
「え、あれ…?なんでだろ…」
質問をした少女もよく分かっていないようだ。
シスターの少女は考えるのをやめたのか、自己紹介を始めた。
「取り敢えず自己紹介するわね。私は__」
「博麗…、魔理沙よ。」
何度も確かめる様に繰り返す。
名前を聞いた途端に少女は目を輝かせる。
「凄い!私と名字が一緒だ!」
ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねる少女を見て、シスターの少女は__
「…れい…、む…?」
「はーあーいっ!」
その声、その仕草…全て博麗霊夢そのものだった。
でも、霊夢は……、
シスターの少女は霊夢のことを割り切っていたつもりだった。
だが、名前を聞いて直ぐ、シスターの少女は”霊夢”に抱きついた。
「お、…お姉さんっ?!」
「どーしたの?どこか痛いの…?」
何も知らない無垢な少女は、慌てふためいている。
その優しさが、グサグサと心に突き刺さる。
「ごめん、ごめんなぁ”、ッ」
いつの間にか泣いていたシスターの少女は、譫言のように呟いた。
「私が…」
少女はどうしていいか分からず、咄嗟に父親に教えてもらった歌を思い出した。
「…~♪~♬~~~♫…」
少女の綺麗な歌声が、幻想郷に響き渡った。