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暫(しばら)く首を傾げていたレイブであったが次の瞬間、ハッとした表情を浮かべたのだ。
そう、レイブはかなり鈍いが朴念仁(ぼくねんじん)という訳ではないのである、決して!
周囲の意を汲んだレイブは早速求めに応じて適切な処置を取るのであった。
「え、えーおほんっ、良く見てみればこの竈(かまど)は中々良いなー、風通しが良いから結構使い勝手が良いかも知れないぞー、そ、それに焚きつけは無いけどこんな物はどうとでもなるな、うん、髪でも切って代わりに出来るしっ! えー、それにこの生木はぁー、えっと、えっとぉー、生木はぁ……」
「うわあぁぁんっ!」
「あわわ」
『レイブっ!』
『レイブお兄ちゃん!』
少し言い淀んだ瞬間、ラマスは更に大きい声を上げて嘆き、その声に被せる様にギレスラとペトラがより厳し目に言う、どうしろって言うのやら……
「えっと、生木は、生木は、そうだっ! こうしよっか?」
言いながらレイブは竈の中で燻ぶっていた生木をむんずと掴んで取ったのである。
生焼け、とは言えぶすぶすと煙を発している枝は当然高温で熱いだろうに、顔色一つ変えないままでレイブは言う。
「良いかい皆、生木に火がつかない理由はまだ生きているからなんだよ、皆だって生きたまま燃やされそうになったら必死に抵抗するだろう? それと同じなんだよ! だからさ、この枝達から命を減らしてあげれば良いのさ、ほら、こんな感じで」
言い終えると同時に生木の束を掴んでいたレイブの右手が薄っすらと光り輝き、生木の枝は見る見る乾燥し、まるで何十日も放置し出来上がった薪の様に姿を変えて行ったのである。
静かに頷くギレスラとペトラ、ホッと溜息をついているエバンガとは対照的に、先程まで剥き捲っていた眼を更に極大に見開いている五人の新弟子を無視したままで、ラマスが掌(てのひら)の間からチラリとこちらに視線を向けながら聞く。
「本当? レイブ叔父様、あ、ダーリン! ラマスぅ、失敗していないぃ?」
「も、勿論だよラマス! 手伝ってくれたから俺助かっちゃったよ、ありがとな」
「なら良かった、えへへ♪」
今の手品は一体なんだ? そんな感じで固まっていた五人の内、年長の男子ジョディはこうも思っていた。
――――レイブ師匠…… アザト耐性なさ過ぎでしょう…… それに、ラマスさんって…… 邪悪では? ふぅ、僕も気をつけよう……
と。
ジョディの決意は兎も角、その後の下拵えや調理は復活を果たしたラマスの協力もあってサクサクと進んだ。
賑やかな会話を交わしながら準備に向かうレイブ達以外の面々は、周囲に座って待機時間となった。
「さてラマス、お肉はどこかな?」
「ここにあるよ、おじ、ダーリン」
「ああ、そっか…… これって? 魔物、モンスターだよね?」
「うん! 今日獲ったやつだよ! どうすれば良いか判らなかったから取り敢えずぶつ切りにして置いたんだけどぉ…… 若(も)しかして、アタシまたやっちゃった? グスッ……」
「ああーー大丈夫大丈夫ぅ! 細かくしてくれたから内蔵も取りやすいし、皮は剥ぎ難いけど、でも持ちやすい大きさになったしプラマイゼロ、いや寧(むし)ろプラスかな? んで、例によって生きてるからさ、又、生命力を吸ってやれば大丈夫だしぃ、うん、プラスだなプラス!」
「本当に?」
「勿論だよ、ラマスは偉いねぇ?」
「えへへ♪」
こんなやり取りを聞いて新弟子女性陣は思った。
――――うあぁ、ああはならない様に気をつけよう……
と。