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バストロ学院から『役立たず』のレイブの元へ鞍替えした新弟子たちは男女問わず複雑な思いだったようだが、当のレイブは寄り添い続けるラマスを引き連れながらも次々と食事の準備を手際よく終わらせていった。
具体的には、大きな鍋に乾燥野菜とたった今レイブが命を吸い上げたばかりのフレッシュミートを入れて水を張ったシチューを煮込みつつ、残りの肉を使った串焼きの下拵え、ついでにデザートの干し果実を山盛りにしただけでなく、取って置きの果実酒、例のアルコール含有量が半端無い飲み物までペトラ&ギレスラfeat.エバンガ付き添いカタボラに運ばせて、サクサクと整えて宴の始まりとなったのである。
「んじゃ良いかい? 乾杯っ!」
「かんぱーいぃ♪ 皆食べて食べてぇ! アタシとダーリンの気持ちだよぉ!」
「「「「「カンパーイ!」」」」」
基本的に硬く焼き締めたカチカチのパンと、同じく固過ぎる干し肉、パサパサしか感じない味も素っ気も無い野菜しか食べた事が無い新弟子たちは、二ヶ月前のラマスと同じ反応を見せた、最初に口にしたシチューの味に対する評価で、である。
新弟子のリーダー的存在であるジョディが唸る様に言う。
「こ、これは…… 野趣溢れる様々な風味と味わい、乾燥していない野菜の香り、なのかな…… これは美味しいですねレイブ師匠」
年少のランディが興奮気味に続く。
「それにこのコク! これって若しかして、あのモンスター肉なんですかね? うーん、暴力的な位食欲が刺激されちゃうじゃないですかぁ! 頂きますっ!」
「はは、そうだろう? 実はモンスターの肉って干し肉にするよりフレッシュな方が美味しいんだよね! さあさあいっぱい召し上がれぇ~、ははは」
レイブは笑顔満面で言葉を続ける。
「ほらほら、野菜とスープばかりじゃなくてお肉も食べてごらんよ皆ぁ! 美味しいんだからさぁ!」
「「「「「え」」」」」
五人が声を揃えたのも無理は無い。
生まれてこの方周囲の大人たちから言われ続けてきたのは、
『モンスターの肉は毒だ! どれ程飢えても口にするなよ! 口にした瞬間、石化するからな!』
大同小異の差こそあれ、概(おおむ)ねそんな風な言葉だったのだから。
肉を食え、それは彼らにとっては、『さあ石化しろ、そして死んじまえよ』、そう聞こえているのだ。
固まって動きを止める五人に対して、同じく固まって顔を覗きこむレイブとラマス。
何とも言えない緊張感が漂う現場に、一際大きな体をしたライアの震える声が響く。
「うっし! お、俺、頂くっす! ま、魔術師への道を閉ざされた俺にはもう寄る辺も無いですし…… ただ、レイブ師匠! 俺が石化したらダキアの里に伝えて欲しいっす! 俺、ライアは立派に師匠の言う事を聞いたと、見事に死んだと! そう、里に居る親父と兄貴に伝えて欲しいっすぅ!」
「「「「ら、ライア……」」」」