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ドズル社短編集

1 - 奇病パロ “虚無病”

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2023年04月19日

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「ぼんさん、これーーーーぼんさん?」

「あっ、どした?」

少し遅れて気づくぼんさんに、また少し違和感。

「最近ぼんさんボケてません?」

「そうかなー?」

そう、一ヶ月くらい前からずっとこの調子だ。病気にでもかかってるのかと思うくらい、ずっと。

「一回ネットで調べてみましょう?」

「んー、やってみよっか」

ぼんさんとは半年くらい前から同居している。違和感を感じるのも間違いでは無いはず。

「んーと、病、ぼーっとする、っと」

パソコンを覗き込むと、奇病についてまとめられたサイトがあったので、開く。すると、気になる病名をみつけた。

「ん?“虚無病”?」

ぼんさんも呟く。

「感情が徐々に消えていってしまう病気…?」

「初期症状、ぼーっとする、返答が遅れる…?ぼんさんにそっくり……」

本当にそっくりだった。

「病院いこう」

「そこまでする?」

「もちろんです、薬があるなら飲ませたいですし。ぼんさんから感情が無くなるのは嫌です」

「〜〜〜〜!」

「ふふっ」

ぼんさんがぎゅううううっと抱きしめるので、思わず笑った。


結果、薬で進行を遅らせることしかできない。ずーんと落ち込む。

「そんな顔しないのー、俺が死ぬみたいじゃーん」

「ぼんさんは死にません」

「じゃあそんな顔しないで」

ちょっとずつ変な会話になってきた。

「だって…ぼんさん…最終的には話すこともできなくなっちゃう……っ」

「泣かないの〜」

「だって…だってぇっ」

泣いてしまう。

「俺もできるだけ頑張ってみるからさ、」

だから泣かないで、と自分を気遣ってくれるぼんさんに、また泣けてきた。


一ヶ月後。ぼんさんは、泣かなくなった。<悲しい>が表せなくなってしまったのだ。催涙スプレーなど、物理的に泣かせることはできるものの、感情的に泣くことができないらしい。この前、ぼんさんが派手に転んで血がドクドクと出ていたのに、ぼんさんは泣かなかった。そこから判明した。


更に一ヶ月後。ぼんさんは笑わなくなった。<嬉しい>と<楽しい>が表せなくなったのだ。笑おうとすると、歪な愛想笑いみたいになってしまう。

ぼんさんからどんどん感情が消えていく。対処法をまたあのサイトで調べるが、何も出てこない。医者もどうもできないらしくて、泣いた。

でも、ぼんさんは泣かないーーーー


俺から感情が消えていく。そのことで、最近はおんりーちゃんの元気がない。申し訳なくなってきてしまうが、謝ったらいけない感じがするので、前向きな言葉をかける事しか出来ないでいる。

実際は、感情が消えていくのではなく、感情が表に出せなくなるだけだ。でも、その方がもっと苦しい。

自分も泣きたくて、笑いたくて、楽しみたくて対処法をまたサイトで調べるが、何も出てこない。違うサイトを漁っても、世界のどこかに一人だけ、治せる人間がいるという噂のようなものしか出てこなかった。

俺は、どうすればいいのだろうーーーー


更に一ヶ月後、すごいことが起きた。なんと、ぼんさんが自然に笑ったのだ。どうか笑ってくれ、と願って脇をくすぐってみたのだ。そうしたら、笑った。これから、快方にむかっていくきがした。


一週間後、ぼんさんが次は泣いた。泣いてくれた。嬉しくて泣くと、ぼんさんも一緒に嬉し泣きした。


ついに泣くことができるようになった。おんりーちゃんが嬉がって泣くと、俺も泣ける。治ってよかったーーーー

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とんでもなくむずいわ

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