「あっつ!」
まだ4月なのに、夏並みに暑い。半袖&短パンなのにすっごく暑い。なんでだろう?エアコンはもったいないので窓を開け団扇で我慢しているが、これは暑い。頭がぼーっとしてくる。
どうしたものかと思っていると、インターホンが鳴った。
「はーい、どちら様でしょうかー」
「ぼんさん?自分、おんりーです」
「あー、おんりーちゃん?鍵開いてるから入ってー」
「はい」
ドアが開く音がして、のっそりと起き上がる。「いらっしゃあい」
おんりーちゃんは絶句していた。
「おんりーちゃん?」
「ちょ、ぼんさん?この暑さでエアコンつけないんですか!?」
「へっ!?」
頑張って起き上がった所に大きな声を出されてびっくりする。
「熱中症なりますよ!?」
「そんな大げさ、な……?」
いつものように言い返そうと思っていたが、視界がぐるっと回った。
「ぼんさん!」
おんりーちゃんの声がやけに遠く聞こえた。
「そんな大げさ、な……?」
ぼんさんの声が徐々に小さくなり、身体がぐらりと傾く。
「ぼんさん!」
ばたりと倒れたぼんさん。意識はあるのか?本当は救急車を呼んだ方がいいと普通思うが、焦っていたため、そんな考えは思い浮かばなかった。
「ぼんさんっ!?ぼんさん!」
「あ、れ?おんりー、ちゃん?なんで、俺、たおれ、てるの?」
意識はあるようだ。とりあえず、エアコンつけよう。そう思って振り返ると、テーブルの真ん中に置いてあった。冷房をつけ、ぼんさんをソファの上に慎重に乗せる。身長差があるので重かった。
冷蔵庫を漁ると、スポーツドリンクが入っていた。丁度いい。コップに注いでテーブルに置いた。
「飲めますか?」
「飲め、る」
安堵し、スマホで対処法を調べる。すると、保冷剤で脇などを冷やす、と書いてあった。
「この家に保冷剤ってあるのかな?」
「ある。冷凍庫に入れてるよ」
言われた通りに冷凍庫を開けると、氷のど真ん中に三つほど鎮座していた。カッチカチでキンキンに冷えている。
ティッシュで包んでぼんさんに渡す。
「つめた……。最初からこれ持っとけばよかったな」
「病院行きます?」
「いや、いい」
「良くなりましたか?」
「うん、ありがとね」
ほっとしたところで、あることに気づいた。
「自分、なんのためにここに来たんでしたっけ?」
肝心の来た理由を忘れた。なんでここに来た?
「わかんなーい。神様がここにおんりーちゃんを呼んだんじゃない?熱中症で俺が倒れる前にって」
「そうだといいな」
ぼそりと呟いてしまった。
「なんか言った?」
「いえ、なんにも」
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