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哀 川 せ せ ら .
14,925
ねむ
13
#闇堕ち
るしゅ
957
「何だこれ?」緑は、今朝の新聞に挟まれていたチラシを見ていた。
内容は探偵事務所のようだ。
『夏色探偵所』
『只今探偵・見習い探偵募集中』
そんな言葉が緑の目にとまった。緑は推理が得意だからいつも日常のちょっとした事で推理をしていた。
“もし探偵に慣れたら、得意なことがみんなのためになるのかな”
緑はそう考え、見習い探偵になることを決めた。
数日後の朝。緑はカバンに必要そうな物を放り込んだ。
ノート、筆記用具、水筒、タオル、傘、・・・
色々詰め込んで、出発した。
まず電車に乗って二つ先の駅で降りる。いつもは見慣れていた景色がガラリと変わった。緑が実家で見ていた大きな建物でも、このビルからしたら二分の一くらいだ。
緑はとりあえず街の人に夏色探偵所の場所を聞いた。
「夏色探偵所?あぁ、知ってるよ。有名なとこだろ。言葉で説明するの難しいし、地図書いたげるよ」
ここの近所の叔父さんに地図を貰った。叔父さんの話を聞いていると、町では有名な探偵事務所ということがわかる。
ようやくたどり着いた。そこは古い木造住宅だった。
中に入ってみると、暖かい木の匂いがした。
「あの…すみません、チラシを見て来たのですが…」
すると中から小柄な少女が出てきた。少女は深くお辞儀してから話し始めた。礼儀正しい子だった。
「探偵所のチラシの事ですね。ではこちらへどうぞ。通路の突き当り左に夏色日向様の自室兼事務所が御座います」
緑もお辞儀してから言われた通りに突き当り左の部屋をノックした。
「失礼します」
「失礼すんなら帰ってー」
「はい?」
「嘘。ええよ、入って。この青い椅子座り」
中に居たのは探偵かと疑うくらいの冗談好きで関西弁の夏色日向だった。
「え、あ、失礼します」
緑は戸惑いながらも椅子に座る。
「あの、こちらが面接用紙…」
「面接?人手不足やしそんなもんあらへんわ。来たときから採用」
「…はぃ?」
緑の目が点になる。日向は机の上の一枚の紙を手に取ってから緑に渡す。
「これが注意点。ルールや。覚えとき」
「分かりました。えっと…一番,推理が分かっても証拠とトリックが分かっていないなら言わない。二番,勉強で一夜漬けはせず、最低6時間は寝る。以上…って少なくないですか?」
「いや、思いつかへんのは仕方ないやんけ。だいたい早寝早起き朝ごはんが一番やからなぁ」
少女はドアの向こうでため息をついていた。日向のこの態度は日常茶飯事らしい、というかこれが正常運転なのだ。
こうして、おふざけ探偵とツッコミ見習い探偵のちょっとおかしな探偵物語が始まった。
コメント
1件
第1話、楽しく読ませていただきました🌷 緑さんの真面目で几帳面な性格と、日向さんの自由奔放な関西弁が絶妙なコンビですね。「失礼すんなら帰ってー」で思わずクスッとしました。注意事項の少なさに戸惑う緑さんがとても可愛らしかったです。『暖かい木の匂い』という表現が、探偵事務所の雰囲気をやわらかく伝えていて印象に残りました。 この緩い感じが癖になりそう…おふたりのこれからが楽しみです!