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あー、これめっちゃ好き!!!「十五夜=3×5」で参掛さんを特定するロジック、スッキリキレイに決まってて気持ち良かったわ。しかも、毒キノコとトリカブトの使い分けとか、手の荒れがヒントになる伏線の張り方も丁寧やった。一番ジーンときたのは、佐田野くんの「僧侶さんは裏で褒めてましたよ」の一言やな。あれで参掛さんの涙がぐっと来た。日向さんの「もうちょっと」連発で迷子になるところも可愛くて、探偵モードとのギャップに萌えた🔥
「日向さん、おはようございます」「おぉ、おはようさん。緑ちゃん。朝早いなぁ。まだ六時半やで?」
「遅刻するよりかはマシなので」
「そうなん?ほな、行こか」
緑が見習い探偵になって一週間が経ったある朝の日。緑と日向は隣町の僧侶が亡くなったという報告を聞き、隣町に行くことになった。
まだ春の半ばで真夏のような苦しい暑さではない。それでも山を登り下りすると汗だくだった。
「ようやく寺院の案内板見えましたね。もう少しですか?」
「うーん、まぁ、もうちょっとやな。ちょっとくらいの辛抱や」
―10分後―
「あと…どれくらいですか…?」
「もうちょっとやで」
「さっきも行ってませんでした?」
「…驚かんといてな?俺ら迷子なったわ」
「探偵が迷子…?もういいです。私先行きます」
途中迷子になったが、とりあえず二人は寺院にたどり着いた。寺院はどこも手入れが行き届いており、チリ一つ見当たらないほどだ。
「こちらへどうぞ」
僧侶の息子に案内してもらい、僧侶の自室に行った。
僧侶の自室には座卓、二枚の座布団、そして布団が置かれていた。僧侶の死体はまるで寝ているかのように仰向けに敷布団に寝転がり、上から掛け布団をかけられていた。一見寿命を全うしたようだが、それにしては不自然だった。僧侶の年はまだ72歳。それに僧侶の喉元に火傷のような痕があり、手には何か紙を握っていた。
「僧侶さんは、病気なっていましたか?」
緑がそう聞くと、僧侶の息子が
「いえ、何も。病にはかかっていませんでした」
日向は黒い手袋をはめてから紙を傷つけないように持った。その紙は半分に折り畳まれていた。日向が開けてみると筆で何か書いてあった。その内容は…
“私の最後は鬼のような十五夜”
緑が首を傾げる。
「十五夜?まだ春ですけど。僧侶さんはいつ亡くなられたのですか?」
「いつでしょうか…。でも昨日まではお経が聞こえていたので、昨晩の事かと…」
「ほな、昨晩にこの寺院に居った人全員集めてくれへん?」
「わ、分かりました」
息子は速歩きで小僧達の部屋へ掛けていった。
5分程経った頃、ようやく三人の小僧が集められた。
「お待たせしました。こちらが昨晩にこの寺院に居られた方々です」
小僧が一人ずつ挨拶し始めた。
「僕は十五歳の府川義之(ふがわ よしゆき)で御座います」
「僕は三十七歳の参掛伍(しんかけ あつむ)でございます」
「僕は六つの佐田野信乃宰(さだの しのただ)でございます」
府川は年の割に少し大人っぽく、参掛は手がかぶれていて、佐田野はまだ幼かった。
緑がお辞儀しようとしたが、日向が喋り始めた。
「みんなまだ若いなあ。俺なんか今年でもう22やし。それより、この寺院で僧侶はん亡くなったの知っとるやろ?ほんなら、この紙知っとる?」
三人とも首を横に振った。
「日向さん、この十五夜っていうのがヒントなんですか?もしそうなら、分かりやすいように年齢とかにするんじゃ…」
緑がチラッと府川を見た。府川は顔が青くなり、慌てて手を横に振った。
「違いますよ!なんでそんな事を僕がっ!」
すると緑と府川の間に日向が手を伸ばして制した。
「まぁまぁ。まだそんなの決まってへんのやし。それに緑ちゃん、証拠も残ってへんのに、そんな決めつけるんはどうかと思うで?それに、そんな簡単なのやったらバレて捨てられてまうやんか」
「すみません」
「ほんで、皆昨晩何してはったん?」
参掛が顎に手を当てながら言う。
「僕は昨晩は少し体調が悪くなってしまったので、部屋で寝込んでおりました」
府川は目を瞑って思い出すように言う。
「僕はお経を詠んでおりました。詠唱です」
佐田野は少し怖がりながらも言う。
「僕は昨晩は僕の自室の前の廊下の掃除をしていました」
日向は何か思いついたようにメモとペンを取り出して何かを書き始めた。
「質問えぇです?皆さん何を担当に任されとったんです?」
府川が手を上げて答えた。
「僕はこの寺院に居る時間がこの三人の中でも長いので、お経を詠む修行などをしております。参掛は庭園やこの近くの林の掃除、佐田野は寺院内の雑巾掛け等の掃除で御座います」
日向はメモに書いてから参掛にも話を振った。
「参掛はん、掃除しとる林と庭園案内してくれます?」
「分かりました」
参掛は日向達を案内した。日向が探偵モードに入っている所を緑は初めて見た。いつものヘラヘラした日向とは別人のようだった。
突然日向が振り向いた。
ねらち
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「皆寺院に戻っといてな。俺道覚えたし。それに、証拠も分かったわ」
緑と小僧達は来た道を戻って行った。数分後、日向が戻って来た。手には箱を風呂敷で包んだ何かを持っていて、マスクを着けていた。緑達にもマスクを渡して着けてもらった。
「今からはマスク外さんといてな。それと、箱にも近づくな」
そう言って風呂敷をほどいて箱を開けた。中には茸と何かの葉だった。
「これ、見覚えあるんじゃ無いですか?参掛はん」
参掛の顔が真っ青になった。
「いや…あ、掃除する際見つけた記憶が…」
「ほんならなんで、僧侶はんみたいに参掛はんの手荒れてるん?」
参掛が服で手を隠す。
「この茸はカエンダケ、毒キノコや。そんでこの山菜みたいなやつがトリカブトや。僧侶はんの首と参掛はんの手のかぶれはカエンダケが原因や。そんで、まるで寿命を全うしたように見せかけたのはトリカブトや。稀に心停止があるくらいの猛毒や」
緑が僧侶の手の中に握られていた紙をひらひらと振って質問する。
「それじゃあ、何故十五夜なんですか?」
「そ、そうですよ!僕が犯人ならなんで十五なんですか!?」
「それは参掛はんの名前や。参掛伍郎やったやろ」
「それが何か…?」
「参っちゅうのは3つ。伍っちゅうのは5つ。最後に掛は、✕。算数みたいなもんや。3✕5=15やんな。しかも亡くなる前、書いたのは昨晩って事で夜。ほんで、参掛はんの元の職業は研究者やろ。そんであんな毒物とか知っとったんや。特にトリカブトは相当物知りちゃうと見分けられへん。どうや?」
参掛が膝から崩れ落ちた。
「そうですよ…。…ぼ、僕が僧侶を殺しました…。僕が元々研究者だからって危険物があったら困るって事で僕にばかり仕事を押し付けられて…」
すると佐田野がオドオドしながらも口を開いた。
「僧侶さんは、いつも裏では参掛さんのこと褒めてましたよ…?信頼しているって。覚えも早いから、いい僧侶になれるって…」
参掛がその事実を聞いて大粒の涙を零した。
約十分後、パトカーが現場に到着した。参掛は抵抗する事なくパトカーの中に入った。
辺りはすっかり茜色に照らされる時間になった。緑と日向はまた探偵所に戻ることになった。
「あー、歩くんイヤやわ〜」
「子どもみたいなこと言わずに歩いてください」
「ヘイッ!タクシー!!」
「こんな山道に来るわけ無いでしょ」
そんなこんなで二人は探偵所に着いた。まだまだ二人の探偵物語は続く。