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私が二学年に上がった頃の入学式の日
私は抱いた事のない感情を抱いた記念の日
それは入学式、入学生入場の時だった。
歩く毎にふわふわと跳ねる長い髪、大きくキラキラした瞳。人目を惹くほど可愛らしいと思った。 身体が小柄で華奢な事もあり、例えるならお人形さん、と言ったところだった。
私は、この目立つ子に対して嫉妬してしまったのだ。
(1年生が入場を終え、校長先生が話している)
1年A『なんであの子髪巻いてきてるの?私達は校則に従って巻きたくても我慢してるのに…小学生の頃から毎日、あの子ずるいよね?』
1年B『うん、ずるいわ。先生もあの子に何も言わないなんて。』
(ヒソヒソと話す声が聞こえてくる)
あ〜、やっぱり目立つんだな、あの子。
私の容姿も、自分で言うのもなんだが、目立つ方だと思う。
ただ、あの子は可愛すぎた。私だって見惚れてしまった…。悔しい。
今言われていた巻かれた髪、について。
あの子は天パだろう、先生方は事情を知ってるが、大方他の生徒にいちいち説明してる余裕も無いのだろう。
誰だって、自分に持ってないものを持っていたら、羨ましくなるものね…。
ーー入学式が終わり、その日の放課後ーー
1年B『やっぱりこうしてやらないと気が済まないわよね!』
1年A『うん、そうだよ!ずっと先生に庇われてきてさ。莉奈のこと贔屓してた土ヶ谷先生だって、中学には居ないわけだし、ロッカーにゴミ入れるくらい誰も文句言わないよ!ましてや私達がやったなんてバレやしない!』
(ロッカーにイタズラする1学年2人)
ケラケラケラーー
乃亜「ちょっと!それはどうなの?やりすぎなんじゃないかしら?」
帰ろうとロッカーに寄ったらたまたま見かけてしまった。
ロッカー前で怪しげな動きをしてる2人組…、えぇ、間違いないわ。あの子の陰口言ってた子ね。 ここまでされてしまうの…。
乃亜「言うだけならまだしも、危害を加えるなら話は別よ。私の前で行われたこの行為、無視するのは私のポリシーに反するわ。」
1年B『そのネクタイの色…。せ、先輩っ!』
1年A『こ、これは、ちがくて…』
(焦った様子で顔を見合わす1学年2人)
乃亜「さっさとどきなさい。こんな馬鹿みたいなことしてないで勉強したらどう?あくまでもここは学校、集団で特定の人をつつく場所でなくってよ。」
ふと思った、もしこの光景をあの子が見たら…
きっと、あの綺麗な瞳で泣くのだろう。
ふいに見てみたいと思ってしまった。
1年A『すいませんでした…!』
(走って一目散に逃げる1年A)
1年B『ちょ、ちょっと待ってよ〜!』
(先に逃げてしまった1年Aを追う1年B)
乃亜「こんなこともうするんじゃないわよ!」
良くないわ。変な事を考えてはダメ。
どんなに綺麗な子でも、泣く子を見るのは胸が痛むわ。
さっさと片付けてしまいましょう。
乃亜「まったく…悪趣味ね…。」
(酷く散乱した、 あの子のロッカーを片付ける乃亜)
ガタッーー
(音がした方に振り向く乃亜)
離れたロッカーの影に、ロッカーの持ち主が立っていた
莉奈『あ、ありがとう…ございます……。』