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雲花ヒヨ
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__「どこにいくの?」
薄暗い場所。空気が重くて、澱んでいて、昔の記憶が蘇る様な場所。
見知らぬ大人に手を引かれて、その人の表情は幼い私には良く見えなかった。
「おともだちは?せんせーたちは?」
そう何度も訊くものだから、その人は溜息を吐いて一言「五月蝿い」__と。
私は服を握り締めて、俯いた。何だか、喋ってはいけない気がした。
ぽつ…ぽつ…と水が漏れる音がする。幼い頃から耳だけは良かった。その内、機械の稼働音や電子音が聞こえてきた。
大きな鉄扉の前に来た。軋んだ音を立て乍ら、隙間から光が漏れている。
白衣を着た、医者の様な男に手招きされ中に入った。
其処には__
——
アラームの音が頭に響く。
眉間に皺を寄せて、耳を塞ぐ。けれど、手を貫通する様に聴こえてくる。
「…ぅ…ゔるさい”なぁあ”…!」
目覚まし時計を勢い良く叩く。鈍い音がした。
私は火傷したみたいに、ヒリヒリとする手を握る。
ゆっくりと身体を起こす。髪は毛糸みたいにくるくると絡まっていて、布団は手の届かない位置に。
嫌な予感がした私は目覚まし時計の方へと視線を送る。
中の構造まで丸見えで、破片が彼方此方に飛び立っている。____やってしまった。
「あ”ぁ…う~…どうしよ…」
これは今に始まったことでは無いのだ。
兎に角、ちりとりで破片を掻き集めてゴミ箱に入れる。
「どうすれば力が制御できるものなのか…」
頭をぐるぐると廻しても、私の頭では判りっこない。
目に入った時計は8時50分を指していた。
「あと10分で出ないとじゃん!?やば~…遅刻だけは勘弁!!」
急いで近くにあった鞄を取って、中身を確認する。必要なものは大体入っていそうだ。
「いっそげ~~!!」
がちゃん。と鍵を閉めて走り出す。
——
息を切らして、大きな建物の前に立つ。目的地はこの建物の地下___
階段を急いで駆け下りる。途中で転びそうになったりし乍ら降りた先には扉。
ぐっと押し込んで扉を開けると、中は光が入らなそうな真っ暗な部屋。
「…おじゃまします……?」
恐る恐る、足を進めると誰かの声が聞こえた気がした。
「あれーー誰か来た?」
瞬間、電気が付き周りが明らかになった。
「初めまして……!」
周りには6人程、人が立っていた。
コメント
1件
読みました…「普通の女の子」というタイトルがすごく気になる…! 主人公の力がコントロールできなくて、目覚まし時計を壊しちゃう日常と、幼い頃の暗い記憶のフラッシュバック。このギャップに惹かれました。第1話から「普通じゃない」感がひしひしと伝わってきて、これからの話がすごく気になります。汰びンさんの描くこの重くて繊細な空気感、好きです🖤 続き、静かに待ってますね。