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昔、どこかの誰かが言った。



「少年よ、大志を抱け」    なんて言葉。














この言葉がどうも苦手で、授業に出てくる度に机に頭を伏して、聞かないフリをした。


















俺の毎日は、平々凡々。大志、なんて言う大層なものとはかけ離れた日々を送っている。











人生という、大きな大きな箱の中を、ただただ空白を埋めるために何かを詰めていく。









その何かは、なんだっていい、ガラクタでも宝物でも結局はただの作業でしかないのだから。













友情も恋情も、どれもこれも、ただただ、人生を埋めるための暇つぶし、退屈しのぎでしかない。






のらりくらり、どれだけ楽に生きられるか、それが俺のモットーだ。














その日も当然、そんな気持ちで掃除場所へ向かった。



着いてみると、いかにもイケメンといった顔をした男が1人面倒くさそうにほうきをはいていた。








いつも通り適当に絡んで、適当にからかって、適当に仲良くなって、適当に、







するはず、だったのに……。






















頭に鳴り響くこいつのキスの音。 バットでぶん殴られたみたいな衝撃が走った。










心臓は早くなり過ぎて、もはや痛かった。









それでもこの鼓動を、この衝撃を、できるだけ長く感じていたいと思えた。









そんな出会い。







いつも通り、だった。だと思ってた。そんな日々を圧倒的な力で壊してくれた、俺の、救世主。








これが一目惚れってやつかと勝手に納得していた。














だからせめて少しでもあいつの記憶に残りたくて、まだ一緒にいたくて、今まで人生で1度も言ったことの無い言葉を放った。










「友達になってくれ。」

















あれから1ヶ月がたった。







最初のうちは(今もだけど)嫌そうな顔をされたけど、最近では昼休みの時間にお昼を食べるまでの仲になった。













よし、行ける!、この感じなら!















竜胆「なぁー、はるちゃん」



春千夜「ん?」







言え!いうんだ俺!








竜胆「今日さ、放課後時間ある?一緒に、帰りてーんだけど 」






よし言った言ったぞ!









春千夜「あー、別になんもねぇし、いいけど」




心の中でガッツポーズを決めた。






竜胆「じゃあ、きまり。あ、忘れて勝手に帰んなよ?」








春千夜「流石に帰んねーわ。」








表面上では、平静を保ちつつ、内心めちゃくちゃに飛び跳ねている。







キーンコーンと、丁度いいタイミングで次の時間の予鈴がなった。






竜胆「じゃ、また放課後くるわ!」









別れの挨拶を告げ、軽い足取りで自身の教室へと帰る。















あぁー、今別れたのに、もう会いたい。 放課後の予定が楽しみで楽しみで待ち遠しい。




日に日に、あいつへの気持ちが大きくなっていく。俺の脳内を占める春千夜の割合が多くなっていく。




最初の雷みたいな衝撃的な出会いとは裏腹に、春千夜とのこの1ヶ月はあまりにも穏やかで緩やかで、それでも、今までどんな思い出よりたのしかった。












この気持ちは、なんて言えばいいんだろう。







竜胆「………、。」









































竜胆「わりぃ!お待たせ!」





春千夜「おせーよ。」





不機嫌そうに春千夜が口をとがらせる。







竜胆「ほんとごめん、兄ちゃんに用事があるって呼び出されちって。」






手を合わせて申し訳ないというポーズをした。








春千夜「⋯⋯アイス、奢ってくれたら許す。」





竜胆「⋯え、」







それってつまり、春千夜と一緒に帰るだけじゃなくて、どっかで買い物もできるってこと?!






竜胆「奢るわ!奢る!全然奢る!」




食い気味に答えた。




春千夜「んでそんな嬉しそうなんだよ笑、変なやつだな、ほんと」









笑った。



てか、初めて見た笑ってんの。



なんか、なんか、







クるな。







こう、なんか、ズシッと、、。









竜胆「⋯⋯。」










春千夜「?、灰谷?おい、灰谷」




春千夜が竜胆をよびつづける。













んー、なんかさっきから、なんていえば正解か分からないこの、ふわふわ感?モヤモヤ感?、なんだこれ。





んー、、。












春千夜「竜胆!!!」









急に自分の名前を大きな声で呼ばれて驚く。





竜胆「うわ!び、びっくりした。わりぃ、なに?」







春千夜「いや、何回読んでも反応ねーから、 」






しまった。こんな大事な時に、自分の世界に入ってしまっていた。





竜胆「考え事してたわ笑、」




春千夜「⋯大丈夫かよ」






心配しているのか、ただ、ヤバいやつだと思われてるのか、俺の事を疑うような目で見る春千夜。







竜胆「あぁ、大丈夫、大丈、ぶ⋯」









ん、そういえばさっき、








竜胆「はるちゃん、俺の事、竜胆って、呼んだ?」





春千夜「あ?、あぁ、まぁ、そーだけど」










嘘だろ。そんな、今まで灰谷ってしか呼んでこなかったのに。何回言っても、絶対呼んでくれなかったのに。







春千夜「⋯⋯嫌なら別に、そのまま灰谷で」






竜胆「嫌じゃない!嫌じゃない!絶対!ぜんっぜん嫌じゃない!」





ここだけはしっかり言わなくてはならない。






竜胆「そのまま、竜胆のままで!その方がいい!」






必死すぎて多少引かれたかもしれないが、まぁ、それでもいい。それでも、名前呼び、というのはかなりでかい。色々と。









春千夜「⋯そーかよ」









そう言い、歩く速度を早める春千夜。その横顔が少しだけ赤く染っていたように見えたのは、俺の勘違いだろうか。















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呼んでくれてありがとうございます!次の話はすぐ更新できると思うので待っていてください!







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