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画面の向こう、あの子に届いたはずの呪いのような祈り。
スマホを握りしめたまま、私は窓の外を見つめた。
「……はぁ、」
深く、肺の底に溜まっていた泥を吐き出すように息を漏らす。
あの子の絶望を、私の色で塗り潰すと決めた。その責任が、私の背筋を冷たく、でも確かに伸ばしている。
カチッ、と小さな音がした。
『……Amiaさん。……私、明日も、あなたの物語を読んでいいですか?』
その一言を見た瞬間、視界が歪んだ。
「死にたい」でも「さようなら」でもない。
「続きを読みたい」という、この世界へのささやかな、けれど執着に満ちたログインの意志。
「……君が飽きるまで書き直してあげる」
私は、スマホを胸に抱きしめたまま、ベッドから立ち上がった。
鏡の前に立つ。
映っているのは、完璧な「Amia」じゃない。
「……おはよう、私」
喉の奥で、小さく呟いてみる。
昨日までの「物分かりの良い自分」への決別。
そして、泥を啜ってでも生き延びようとする「私」への、最初の挨拶。
窓を開けると、冷たい夜明けの風が部屋に流れ込んできた。
痛い。でも、心地いい。
ハードモードな現実は、何一つ変わっていない。
学校に行けば、またあの冷ややかな視線と、正解のない空気が私を摩耗させるだろう。
私は、制服のボタンを一つずつ、丁寧に留めていった。
「……待ってて。今、会いに行くから」