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この選択をしたことを一生後悔して生きていくのだろう。あの場所で会いたい、そう思う自分を俺は赦せない。
後悔__
俺には記憶障害をもつ幼馴染がいる。名前は東 美久璃(アズマ ミクリ)。美久璃はそうちゃん、と俺の名前を愛称で呼ぶ。
年中の時、緑の多い花の匂いのするこの場所に引っ越してからずっと一緒にいる、大切な幼馴染で家族同然の存在である。そしてもう一人、蒼太には幼馴染がいる。聖乃 咲雨(ヒジリノ サクラ)だ。彼女は一見、完璧で真面目な雰囲気があるが、喜怒哀楽が判りやすく、嘘もすんなり信じる。学校も「あと一時間だけだし、サボっちゃう?」なんて言ってくる。割と怠け者だなと蒼太は長年共に過ごしていて思っていた。そして、咲雨は頼み事の時だけ彼の事をそうちゃん、と愛称で呼んでいた。
(俺がそうちゃん呼びに弱いのを咲雨は何故か知ってるんだよな。まったく、誰に似たんだよ…。、、、美久璃か?)
学校が終わった放課後に、近くの小さい社(ヤシロ)のど真ん中にある、大きな桜の木の下で三人で毎日遊んでいた。
遊んでいたと言ってもその大きな桜の中でも特にデカいあの桜の木の下で、学校でどんなことがあったのか、給食はなんだったかとか、そんなありふれた話をしていただけだが。
(楽しかったな。幸せだったあの頃に戻りてぇよ……..。戻らせてくれよ、、)
咲雨は頭が良いのに中学の時、受験を選ばなかった。美久璃を一人残すのは出来ないから、と。別に記憶障害なんて言ったって今は起きてないんだからそんな過保護になる事ねぇ、そう思った蒼太は受験をし、私立の中学校に通った。毎週日曜日の放課後、美久璃の病室で待ち合わせをしていた。
今はもう足を運んでいないけど。
(いや、俺には会う資格はねぇ。元気にやってるんだろうか……。咲雨から来たあのメール道理なら、美久璃はストレスで学校行くん医者から止められてそうだな….)
詳しく話すと、咲雨とは中学でいきなり疎遠になったわけじゃない。
(天罰が下ったんだ…)
中一はちゃんと毎週彼女の入院している、病院に行って四二八号室で会っていた。美久璃の病室は彼等にとって覚えやすかった。
(四二八….よ・つ・ば。な?覚えやすいだろ?美久璃が好きな植物だったんだよな。咲雨とよく四葉を探したもんだ。まぁ、見つからなかったが。)
ー蒼太 中学生ー
ある日の塾の終わり、音楽を流しながら待っていよう、そう思い携帯を持つとメールの通知音が何回か鳴った。
「蒼太、お疲れ〜。学校の事なんだけど遠距離恋愛してた幼馴染ー、なんて私と蒼太のことが噂になってる。美久璃の虐めも前よりも酷くなってるんだよね。」
咲雨からの一通のメールと
「蒼太へ。お疲れ様。10分後には着くと思うよ。」
とばぁちゃんから届いた。
俺の家は”変わってる”んだ。母さんは重度の病気を患っていた。にも関わらず、俺なんか産んだから病院で寝たっきりで毎日過ごしている。
(テスト終わったら、見舞いに行かなくちゃだな。)
子供が出来たのを話したら”他に好きな女がいる”、って親父に逃げられたにも関わらず、母さんはヘラっとして、普通でいるのが許せなくて。悔しくて。 一年程、見舞いに行かなかった時期があった。電話すらも。現在は病院に定期的に足を運んでいる。母さんは嬉しそうに、幸せそうに俺に出来事を話す。
母さんの笑顔を見れることが蒼太は嬉しかった。だが、最近はテスト前でここ2週間ほど見舞いに行けていない。
(ばぁちゃんのメッセージは後で返事するとして、、)
咲雨のメールに既読をつけた。黒板に書かれていたものは胸糞悪い内容だったそうだ。寝不足にさっきまで頭を使っていたので脳が思うように回らず、何も打てずに既読スルーの様になっていた。すると、咲雨からもう一件メールが届いた。”美久璃はもう、学校には来れないかもしれない。”と。蒼太は何かを打って消して「そっか、」その一言だけ打ち咲雨に返信をした。
もうすぐ着くと、そう祖母からメールが届いたはずなのに、
(もう二十分も待ってるんだけど?)
塾の前のポールに腰掛けている、隣町の私立中学校の制服をきている彼はだんだんと不機嫌になっていた。
ばぁちゃんとは、まともに会話をしていない。いわゆる反抗期だ。
蒼太は中学受験をしたが、授業についていくのに精一杯だった。風呂もろくに浸からずすぐに出て、飯も食卓を囲むのではなく部屋で一人食って、睡眠をギリギリまで削って予習・復習して。ギリギリまで勉強して。それでも周りとは差ができる一方で。
蒼太は心にズカズカと土足で入り込んでくる祖母が嫌で嫌でたまらなかった。
こんなにも頑張っているのに。
こんなにも努力しているのに。
周りは日に日に蒼太を離していく。その恐怖を、その焦りをまるで分かったかのように言ってくる。彼はただ、「頑張って。」その言葉がきければいいのに。
イライラする心を落ち着けるために好きなプレイリストを流して待っていた。その時だった。ポケットに入れていた携帯が着信音と共にポケット中で揺れている。電話だ。蒼太は携帯を取った。その画面を見て思わず携帯を落とした。
【あとがき】
作者のむらさき。です。もう6月も終わりますね….
2023年、半年が過ぎました。早いです。
そういえば、一昨日(6⁄27)は美久璃の誕生日でした!おめでとう🎊どうせなら27日に更新すれば良かったなーと今あとがきを書いていて思ってます(..;)
今年は梅雨なのにも関わらず、30度超えが度々ありましたね。皆様もこまめに水分補給して熱中症にならないよう対策を取って夏を迎えましょう💪
話は変わりまして、蒼太の過去編は凄くいい所で終わっているかと思います。(2)は殆ど出来ていているのですが少し納得のいかない所があり、修正を加えましたが、結局出せずで💦次話を楽しみに待っていた方、本当に申し訳ないです┏〇゛
次の更新は7月になります。…….たぶん
ではまた。
23.6.30