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「着いたよ」
「唯月さん、ありがとうございます」
僕は唯月さんに車で送ってもらい、家に着いた。
「あぁ、帰したくないな、」
「ぇ?」
唯月さんはなんて可愛らしいことを、
僕は唯月さんのその発言が意外で笑ってしまった。
「なんで、笑うんだよ!」
「いや、可愛いなって!」
僕達は見つ合い、二人で笑いあった。
そして、そのまま熱く蕩けるようなキスを交わす。
「…っん…はぁ……」
車の中には僕の甘い声が響く。
唯月さんはその声に反応するように、僕の後頭部を強く抑える。
そうされたことで、僕の息は限界を迎え、僕は唯月さんの背中をトントンと叩いた。
「苦しかった?」
「そりゃ、そうですよ!」
「ハハッ、ごめんな」
確かに苦しかったけど、きっとその苦しさは息だけじゃなくて緊張の苦しさもあるのだろう。
「ああ、帰したくないな、」
「しょうがないです」
「そうだよな、陽向は明日、仕事だもんな、じゃあもうちょっとだけ」
そう言って、唯月さんはまた僕にキスをし始める。
ポスッ
僕はやっと家に帰れた。
あの後、たくさんキスをされた。
そして、その出来事で分かった。
案外、唯月さんも余裕がない。
少し前では唯月さんはとても余裕があるのだと思っていた。
でも、さっきの唯月さんには余裕が見られなかった。
そんな唯月さんも大好きだな、
「よしっ!風呂に入ろう!」
カランカラン
「お疲れ様です」
「陽向くん、おはよう」
今日も僕は大好きなお店で働く。
でも、あの出来事があったから少し気まずい。
「陽向くん、」
「なんですか?店長」
店長は僕に近づく。
店長の目はどこか寂しそうで、でも覚悟を決めた雰囲気がしていた。
「あの時はごめんなさい、」
店長は僕の前で頭を下げた。
僕は困惑する。
謝って欲しいことなんて全くないのに、
「何に謝ってるんですか?」
「え?」
「とりあえず、頭をあげましょう!」
「は、はい」
僕達は落ち着こうということで、椅子に座る。
僕はカウンター席の左から二番目、
店長は一番目の席だ。
「あの時ってなんですか?」
「抱きついた時のことなんだけど、」
今、僕の頭の中では店長の言葉が右往左往としている。
「ああ、もしかしてあの時?」
「きっと、そうだと思うよ、」
「大丈夫です!」
「でも、」
「僕、実は嬉しかったです」
「えぇ?」
僕は誰にも話していない、本当のことを話す。
「きっと、あの時の状況を関係あるんだと思うんですけど、店長に抱きしめられて安心しました」
「なんで、」
僕もよく分からない、
「僕も分かりません、きっと僕のことを考えてくれて嬉しかったです」
「陽向くんは優しいね」
「そんなことありません」
店長はいつも僕に優しいねと言う。
この優しいねはいつもとは違う、今までとこれからの事を言われているような感じがした。
「じゃあ、準備をしようか」
「はい!」
そうして、僕達はお店の準備を始めた。
いつもとは違う朝。
でも、前よりも心地良くなり、心の距離は縮まった。
改めて僕は感じた。
たくさんの人に支えられているんだなと。