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あれから二週間後
僕は今、唯月さんの家に居る。
今日、来た理由は、
「唯月さん!もうすぐですかね!」
「そんな焦ったってすぐ来ないよ」
僕はあるものを待っているのだ。
待っているもの…それは…
「そういえば、引越しの準備は出来たか?」
僕が頭に待っているものを思い浮かべた時、唯月さんに話しかけられた。
「はい!唯月さんのおかげでもうすぐ終わりそうです」
「そうか、楽しみにしているな」
唯月さんは住所の手続きなど何から何までやってくれた。
そのおかげで、僕は来週からここに住むことになる。
ピーンポーン
「あ!来た!」
僕は急いでインターフォンに向かう。
「はい」
「宅急便です」
「ありがとうございます!開けました」
「はい」
僕は軽い足取りで玄関に向かう。
「陽向」
「唯月さん」
僕が玄関に着き、待っていたところに唯月さんも来てくれた。
「玄関、冷えますよ」
「大丈夫だ」
唯月さんは笑って答える。
そして、そのまま唯月さんは僕のうなじに顔を埋める。
ピーンポーン
「はーい」
僕は『水面』と彫られている印鑑を持ち玄関に出る。
「水面唯月様で合っていますね」
「はい、大丈夫です」
「では、サインをお願いします」
「はい」
僕は欄に印鑑を押す。
「はい、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
僕はダンボールを丁寧に持ち、玄関に戻る。
「唯月さん!来た!」
「そうだな、陽向持つよ」
「いや、大丈夫ですよ」
僕がそう言うと、唯月さんは何か考えた表情をし始めた。
「じゃあ、こうするか」
そう言って、唯月さんは僕の膝裏と背中を抱えて持ち上げた。
僕は急に持ち上げられびっくりしながら、荷物をしっかり持つ。
「唯月さん!?」
「落ち着いてね」
「僕、重いですよ」
「そんなことないよ」
僕はこれ以上抵抗しても無駄だと思い、唯月さんの腕に身を任せた。
「よいしょ」
「ありがとうございます、」
唯月さんは優しくソファまで運んでくれた。
そのソファはあの時、一緒に買ったものだ。
そして、唯月さんは僕の隣に座る。
「ほら、開けなよ」
「は、はい、開けます」
僕はダンボールを丁寧に開ける。
開けると丁寧に入っている詰み紙が見えてきた。
僕は詰み紙を丁寧に外す。
そこには、淡青色の陶器が入っていた。
「見てください!唯月さん!」
僕はダンボールから取り出した陶器を見せる。
「おお!綺麗に出来ているな」
「はい!」
僕はその陶器を見る。
粘土の状態では想像出来ないような綺麗な色で僕はとても感動した。
「陽向、俺のも見てくれよ」
「見ます!」
僕は唯月さんの陶器も見る。
唯月さんの陶器は僕の陶器よりも深い色合いをしていて、唯月さんにとても似合うような物になっていた。
「綺麗だな」
「はい」
僕達は頭を傾け、コツンとぶつけ合った。
そして、向かい合い、見つめ合う。
この部屋の空気は誰が邪魔をしても壊れないようなものになっていた。
「コーヒー淹れてみてもいいですか?」
「そうしようか」
僕は幸せな空気の中を歩いてキッチンに向かう。
そして僕は最後の工程、カップにコーヒーを注ぐ作業をする。
「唯月さん、コーヒーです」
「俺の分までありがとう」
僕達はコーヒーを飲む。
「ん、おいしい」
そのコーヒーは今まで感じたことがない、深みを感じた。
そしてコーヒーの味だけではない、嬉しさ、喜ばしさ、感動も味わうことが出来た。
唯月さんと一緒に作りに行ったこのカップで飲むコーヒーの味は、どんなに高級な豆でも超えることは出来ないだろう。
「美味しいな」
「ねぇ、唯月さん、僕とても幸せ」
「ハハッ、それは誘ってるっていうことでいいな?」
僕は照れながら、コクリと頷く。
「可愛いな、おいで」
唯月さんは自分の太ももを指す。
僕もそれに促され、唯月さんの足の上に乗る。
「本当に可愛い」
「恥ずかしい、」
唯月さんは僕の頭を撫で始める。
そして、頭を撫でながらキスをする。
そのキスはいつもとは違う、コーヒーの味がしたキスだった。