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💋特別編:「深夜2時、甘い声と沼の音。」
舞台は通話。
山本とめろ、ふたりきりの深夜DMとボイチャの世界。
画面の向こうなのに、やけに近い。
見えない距離感を、小悪魔めろが支配する。
🎧 Scene:深夜2:03、通話開始の音が鳴る。
「……おつかれ、山本。」
「……お前、起きてたのか。」
「起きてたんじゃないよ。寝ようとしてたの。山本の声聞けるなら寝ないだけ♡」
「……そういうの、ずるいって言っただろ。」
「ずるいのはどっち? 私の声、待ってたくせに。」
「……は?」
「DMなら話せるって言ったらすぐ通話かけてきたじゃん。かわいいね、山本。」
通話越しなのに、耳元で囁くような声。
それが山本の鼓膜にまとわりつく。
「……お前、いつもそんな感じなのか?」
「ん〜、違うよ?こんなに甘やかすのは、山本だけ。」
「嘘だな。」
「ほんとだよ。だって他の人には『ゼクシィ買う?』なんて言わないもん♡」
「……またそれかよ。」
「ねぇ、山本。」
「……何だよ。」
「もし今、目の前にいたらさ――」
「……」
「ぎゅーって、してあげる。甘えていいよ?優しくされたいんでしょ?」
山本の沈黙が、めろには答えにしか聞こえなかった。
画面の向こうの“声”に、まるごと感情が縛られる。
「めろ、お前さ……」
「うん?」
「……俺のこと、からかってんのか、ほんとに好きなのか、わかんねえよ。」
「どっちもだよ?」
「……え?」
「からかいたくなるほど、好き。好きだから、からかうの♡」
鼓膜のすぐ近くに唇が触れるような錯覚。
通話なのに、息遣いが近い。
「私にドキドキしてるでしょ?」
「……うるせえ。」
「ふふ、顔見えないのに照れてるのわかるの、すごくない? 私、天才?」
「……めろ。」
「何?『付き合って』とか言っちゃう?通話越しに告白しちゃう?♡」
「……」
「言わないで。言われたら、落ちるから。私、まだ遊び足りないんだよね。」
「……お前ってほんと……」
「えろい? 小悪魔? それとも、かわいい?」
「……全部だよ。」
「ふふ……やば。私のこと、ほんとに好きになっちゃったんだ?」
──深夜2:37。
通話はまだ続いている。
山本は、もう完全に、めろの声の檻の中。