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君の好きは計算内

8 - 特別編~通話~

♥

8

2025年07月13日

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💋特別編:「深夜2時、甘い声と沼の音。」
舞台は通話。

山本とめろ、ふたりきりの深夜DMとボイチャの世界。

画面の向こうなのに、やけに近い。

見えない距離感を、小悪魔めろが支配する。


🎧 Scene:深夜2:03、通話開始の音が鳴る。


「……おつかれ、山本。」

「……お前、起きてたのか。」

「起きてたんじゃないよ。寝ようとしてたの。山本の声聞けるなら寝ないだけ♡」


「……そういうの、ずるいって言っただろ。」

「ずるいのはどっち? 私の声、待ってたくせに。」

「……は?」

「DMなら話せるって言ったらすぐ通話かけてきたじゃん。かわいいね、山本。」


通話越しなのに、耳元で囁くような声。

それが山本の鼓膜にまとわりつく。


「……お前、いつもそんな感じなのか?」

「ん〜、違うよ?こんなに甘やかすのは、山本だけ。」

「嘘だな。」

「ほんとだよ。だって他の人には『ゼクシィ買う?』なんて言わないもん♡」

「……またそれかよ。」


「ねぇ、山本。」

「……何だよ。」

「もし今、目の前にいたらさ――」

「……」

「ぎゅーって、してあげる。甘えていいよ?優しくされたいんでしょ?」


山本の沈黙が、めろには答えにしか聞こえなかった。

画面の向こうの“声”に、まるごと感情が縛られる。


「めろ、お前さ……」

「うん?」

「……俺のこと、からかってんのか、ほんとに好きなのか、わかんねえよ。」

「どっちもだよ?」

「……え?」

「からかいたくなるほど、好き。好きだから、からかうの♡」


鼓膜のすぐ近くに唇が触れるような錯覚。

通話なのに、息遣いが近い。


「私にドキドキしてるでしょ?」

「……うるせえ。」

「ふふ、顔見えないのに照れてるのわかるの、すごくない? 私、天才?」

「……めろ。」

「何?『付き合って』とか言っちゃう?通話越しに告白しちゃう?♡」


「……」

「言わないで。言われたら、落ちるから。私、まだ遊び足りないんだよね。」

「……お前ってほんと……」

「えろい? 小悪魔? それとも、かわいい?」

「……全部だよ。」


「ふふ……やば。私のこと、ほんとに好きになっちゃったんだ?」


──深夜2:37。

通話はまだ続いている。

山本は、もう完全に、めろの声の檻の中。



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