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私、月城先輩のことが好きなの?
そんなの急にわからないよ……
今の今までしばらく恋愛とは無縁だったのに、いきなりこんなの有り得ない。
そんな思いとは裏腹に、私は先輩にずっと身を委ねていた。
「穂乃果……答えは?」
「先輩……すみません。私、先輩の言葉を上手く理解できないです。それに、今はもっともっと美容師として頑張らないとダメで……?もし恋愛なんかしたら、その気持ちが揺らぎそうで不安です。実際、親からもお見合いしろってうるさく言われてます。それも、ずっと断ってて……」
「お見合い? 相手は誰?」
そう言いながら、先輩は私をそっと離した。
「うちの両親の仕事は、昔から代々続く和菓子屋で、そのお得意様の息子さんなんです。お父さんの会社の専務をされてて、どうしてだか私なんかを気に入って下さってるみたいで。だから、両親はすごく乗り気で……」
「穂乃果は? 穂乃果の気持ちは? その人が好きなのか?」
少し低めの、甘く囁くような艶っぽい声で聞かれ、体が妙に熱を持った。
「す、好きとか嫌いとか……わかりません。数回お店で会ったくらいで。でも、私はやっぱり、恋愛より美容師として1人前になりたいって思ってます」
先輩は少し黙った後、ゆっくり口を開いた。
「恋愛は、決して美容師として1人前になることの邪魔にはならない。でも、穂乃果の相手は他の誰でもない、俺だけだ」
嘘……
そんなキュンとさせないで……
「あ、あの、すみません。突然そんなこと言われても、やっぱり何をどう信じたらいいのか……わかりません」
「俺の言葉、信じられないのか?」
私は、小さくうなづいた。
だって、こんな展開、夢でも見たことがない。
目の前の先輩は、あまりにもカッコよ過ぎるし、私とは全然つり合わない。
違う世界に住んでる人なんだ―――
「今日、久しぶりに会って、俺はお前に一目惚れした。お前がすごく魅力的な女性になってて、一瞬で……惚れた。穂乃果が、今はまだ俺を好きじゃなくても構わない。俺、必ずお前を振り向かせるから」
月城先輩……
私は本当に目の前にいる超絶イケメンに告白されてるの?
私を振り向かせるとか、一目惚れとか、さっきからキュンキュンするワードのオンパレードで、もう心臓が爆発寸前だ。
「まずは、うちに来ればいい。そいつとお見合いしないようにするには、俺と住めばいいだろ」
えっ、どういうこと!?
「一緒に住めば、ご両親も諦めてくれるだろ? そんな相手がいるなら仕方ないって」
「いや、でも……そんな、いきなり一緒に住むとか、ちょっと無理な話です」
「何が無理?」
な、何がって……
先輩って、こんな強引だったの?
「俺は、穂乃果が好きだ。だから一緒にいたい。それ以上の理由があるか?」
「……でも」