テラーノベル
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春だった。
珍しく
空が青い日だった
地下都市第七区画
かつて瓦礫だらけだった街には、
少しずつ人が戻り始めている。
子供の笑い声
開き始めた店
造花ではなく、
本物の花を売る露店まであった。
世界はまだ壊れている
でも
少しだけ、
前に進んでいた。
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「で、なんで俺が荷物持ちなんだよ」
「ヒロトのほうが力あるから」
「理不尽〜」
青リンゴ商会の事務所
ヒロトが大量の段ボールを抱えて文句を言う
その後ろで、
モトキが書類を整理していた。
以前より少し髪が伸びた。
表情も、
どこか柔らかくなった気がする
「戦闘依頼減ったねぇ」
「あぁ。バグ減ったから、今度は復興系ばっか」
「平和じゃん」
ヒロトが笑う
その時
カチッ。
小さな音がした
二人が同時に振り向く
机の上
小さな機械心臓が、
淡く光っていた。
沈黙
そして
ヒロトがニヤッと笑う
「おいモトキ」
「……なんだよ」
「今、絶対『リョーカだ』って思ったろ」
「思ってねぇ」
「いや思ったね」
「うるさい」
だが
モトキは少しだけ笑っていた。
窓から風が入る
机の上に置かれた写真が揺れた。
そこには、
三人が映っている。
ヒロトがふざけて、
リョーカが笑って、
モトキが嫌そうな顔をしている写真。
たった一枚だけ残った、
青リンゴ商会全員集合の写真だった。
モトキはそれを見つめる
そして、
小さく呟いた。
「……見てるか、リョーカ」
返事はない
でも
春の風が、
優しく髪を揺らした。
まるで
「うん」
って、
あいつが笑ったみたいに。
コメント
1件
ここからアフターストーリーが、、、 かぁーーーなり続きます。 宜しければそちらも読んでいただけると幸いです…
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