北斗side
ついに、この時が来てしまった。
樹には先に仕事行くと言って、1人でここまで来た。
ドキドキしながら楽屋に向かうと、樹以外のみんながいた。
こち「おはよ〜」
慎「ついに今日だな!」
ジェ「んで、結局どんな感じでする?」
北「えっと、とりあえず今日は初日だから仲良さそうに話すだけ。」
大「明日もあるから、そん時にボディータッチを何回かする。」
慎「…それだけ⁈」
北「え、うん。」
慎太郎にそれだけと言われて俺は驚いた。
他にやることあるか…?
慎「樹が嫉妬しなかったらどーすんだ」
北「えぇ、、、」
大「まぁ、そんときはそん時だよ。」
こち「軽っ笑」
みんな笑い合ってるが、緊張しているのが目に見える。俺自身も緊張を隠せない。だけど、やるしかないのだ。
そして、樹がきた。
こち「お!樹おはよ!」
樹「ん、おはよ」
慎「今日も眠そーだな!」
樹「うるせー…」
待つのもなんなので、俺はすぐに仕掛けた。
北「なぁ、京本。今度の舞台俺行っていい?」
大「んー?全然いいよ。北斗だったら尚更」
うお、京本も仕掛けたなぁ。
“尚更”ここはきっとモヤっとするはず!
そう思って俺は樹の方をチラッと見た。
樹は特に反応していなかった。
樹がその気ならどんどん仕掛けてやるよ…!
北「あ、京本!それとって!」
大「ほいっ。」
北「ありがと!」
これでも樹は無言。
じゃあどうすればいいんだ…?
考えていたら、あっという間に時間がなくなった。
スタッフさんに呼ばれてしまい、たくさん話す作戦ができなくなった。
大「また明日、頑張ろうぜ」
京本が耳元で囁いたため、俺はびっくりしてスマホを落としてしまった。
樹が、こっちを見たような気がした。
次の日。
今日もまたグループでの仕事だ。
俺と京本は早めに来て作戦を練り直すことにした。
北「そもそも俺と京本の話を聞いていないかもしれない…」
大「それあるね。じゃあ樹が俺と北斗を見るようなことをすればいいんじゃない?」
北「たとえば?」
大「北斗が俺のことを大我って呼ぶとか。」
北「えぇ?!」
大「これくらいのことはしなきゃ。あと隣に座って話す。そしてボディータッチをする。」
北「ボディータッチって、どこまで…?」
大我と呼ぶことは普通に慣れてないし、緊張しそうだ。それに、ボディータッチって…。
大「普通に肩を叩いたり。」
北「あーね…」
大「とりあえずやってみよ。北斗。」
北「わかった。…大我」
慎太郎、こーち、ジェシーの順に楽屋に来て、最後に樹がきた。
樹が来るなり、俺らは隣に座って会話をし始めた。
大「ねぇ北斗。この前のテレビ見たよ。」
北「ほんとー?大我が見るなんて珍しいね笑」
大我呼びした時、樹の目が一瞬こちらを見た気がした。しかし、すぐにバックからイヤホンを取り出して耳に入れた。
あぁ、もう聞こえてないだろうな。
大「いや北斗が出てるやつはだいたい見てるし!北斗俺のこと舐めすぎー笑笑」
北「大我ごめんって笑笑」
今日も、樹は嫉妬しなかった。
仕事終わり、また樹以外で飲むこととなった。
慎「なかなかうまくいかないねー」
こち「なんていうか、ねー」
北「どうすればいいんだろ…」
ジェ「ハグとかしたら?」
大「え、恥ず笑」
慎「じゃなんか他あるかよ!」
北「…ハグ、か。」
いつから樹とハグしてないんだろ。
樹はどうして俺だけに冷たいのだろう。
思考が自分の脳の周りをぐるぐると回っていて気持ち悪い。自分を騙すかのように俺は酒を一気飲みした。
ジェ「うぇぇ?!北斗一気した!!珍しい!」
こち「なんか嫌なことでも浮かんだ?笑」
北「んー…まぁね」
こーちは優しいなぁ。樹もこーちみたいに優しければ…。
いや、何か理由があるはずだ。それに、樹がこーちみたいな性格だったらなんか嫌かも笑
こち「明日もグループで仕事だよね?そん時にそれしなよ。」
北「ごめ、考え事してたから話何も聞いてなかった…。明日何するの?」
大「まぁまぁ、明日わかることだから。 北斗、明日は俺が何しても許してね。北斗のためだから。」
京本は酒を片手に持ちながら俺に言った。
正直言うとめっちゃ不安。
そして朝になった。
俺と京本は今日も朝早く来た。
北「昨日飲んだのに朝早く来てもらってごめん…それに連続で早く来てもらってごめんね…。今日樹が嫉妬しなかったらもう終わりにしよ?笑」
こんなに色々したのに樹が嫉妬しないのはある意味尊敬だ。それに、京本の身体にも負担が掛かる。今日、樹が嫉妬しなかったら諦めよう。
そう思った。
大「え、終わりにしていいの?」
北「うん、いいよ。だってあそこまでやって嫉妬してないんだよ?笑もう俺への気持ちはないんだよ」
大「…わかった。じゃあ、今日は北斗にハグするから。」
北「…うん」
これで、終わりだ。
そして今日も最後に樹が来た。
みんなが見守る中、俺らは樹の前でイチャイチャした。
北「ねぇー大我ー。」
大「なにー?」
北「疲れたからおんぶしてー…」
樹以外のみんなが俺らの方に注目した。
そんなの関係なしに、俺らは続けた。
大「えー? 北斗俺より身長高いじゃん笑どっちかって言うと北斗が俺をおんぶするはずだよ」
北「関係ない!ねぇ大我疲れたー!お願い!」
大「おんぶはできない!でも、これで許して?」
そう言って、京本はソファーに俺を押し倒し、ハグをしてきた。
俺の心臓がドキドキしている。
横をちらっと見ると、樹がこちらを見ていた。
嫉妬してくれたかな、?
京本に小声で「樹みてる?」と聞かれた。
俺は小声で「見てる」と返した。
そしたら京本はニヤッとして、ハグをやめた。京本の顔が見れた。男の顔をしていた。
そして一言。
大「かわいい笑」
京本の唇が俺の唇に重なった。
あれ、これキスしてる、、、?
昨日京本とこーちが言っていたのはこれだったのか…。納得した後、頭に浮かんできたのは樹だった。樹のキスはどんなのだったっけ。
忘れてしまった。
みんなが俺らを注目している。 ジェシーは顔を真っ赤にしてるし、こーちと慎太郎はニヤニヤしてる。
樹はどうだろう、と横をチラッと見たが、姿を確認できなかった。
とりあえず唇を離し、起き上がって樹を探した。
京本を視界から離した時、後ろでバチン、という音が響き渡った。
後ろを見てみると、京本が樹に胸ぐらを掴まれていた。京本の頬が赤くなっているから、おそらく叩かれたのだろう。
樹「てめぇふざけんな!」
樹はそう言って、拳を振り上げかけた。
そこをジェシーと慎太郎が止め、こーちが京本と樹を引き離した。
樹はかつて見たことないほど怒り狂っていた。
樹side
最近、俺は北斗に冷たい。
わかっている。こんな態度を恋人に取ってはならないことなんて。でも、そうしないともっと酷いことをしてしまいそうで怖かった。
そんなある日、グループの仕事のため楽屋に行くと、北斗ときょもが隣に座って話していた。
俺は珍しいなと思いつつ、疲れていたため話を聞かなかった。
スタッフさんに呼ばれ、移動しようとした時、
きょもが北斗に何かを言っているのがわかった。俺は特に何も思わなかった。
その次の日、北斗がきょものことを”大我”呼びしていた。
聞いた俺は少し動揺した。
いつから大我呼びになった?
それすらわからない俺。
前はきょもほくきょもほく騒いでいたのに。
俺は、どれだけ北斗に無関心になっていたのだろうか。
罪悪感が襲ってきた。
罪悪感を消し去ろうと、俺は爆音で音楽を聴き、2人の会話を聴かないようにした。
その次の日、楽屋に行くときょもと北斗がいつもより距離が近いなと感じた。
気のせいだと思いながらも少し心がモヤモヤし、2人をチラ見することにした。
北「ねぇー大我ー。」
“大我”呼びに少し心がモヤっとした。
大「なにー?」
北「疲れたからおんぶしてー…」
北斗がきょもに甘えているなんて初めてだ。
ていうか最近俺は北斗の甘えている姿を見ていない。また罪悪感が襲ってきた。
イヤホンをつけようと鞄の中を探し始めたら、また2人が会話を始めた。
大「えー?北斗俺より身長高いじゃん笑どっちかって言うと北斗が俺をおんぶするはずだよ」
北「関係ない!ねぇ大我疲れたー!お願い!」
大「おんぶはできない!でも、これで許して?」
“これ”って一体なんだろう。
そう思った次の瞬間、北斗がソファーに押し倒されてハグされた。
心の中のモヤモヤが強くなった。
でもこれくらいで2人に何か言っても、みんな普段の俺の行動を責めるに違いない。
だから無視しよう、そう思っても俺の目が2人を視界から離さない。
心を落ち着かせようとした時、それは起きた。
大「かわいい笑」
きょもは男の顔をしていた。
そして、北斗ときょもはキスをした。
樹「てめぇふざけんな!」
気づいたら俺はきょもの胸ぐらを掴んでいた。
そして、拳を振り上げた。
周りのみんなに止められたけど。
自分にこんな感情があったことに驚いた。
抑えきれない怒りをどう沈めようか考えられないくらい俺は嫉妬していた。
俺だって、北斗を愛したい。愛したいのに。
怒りを抑えようと下を向いていたら、名前を呼ばれた。
大「樹。」
きょもの顔を見た。いつもは愛情が溢れてくるのに今日は憎しみの気持ちでいっぱいだ。
その時、バチン、という音と共に頰に痛みが走った。
きょもが俺にビンタした。
ひどく、頬が痛かった。
大「これでわかったか?北斗の気持ちが」
きょもは、俺をひどく睨んでいた。
北斗の方を見ると、俺らのことを心配するような眼差しで見つめていた。
いままで我慢していた気持ちが一気に溢れかえり、俺は涙が止まらなくなった。
こち「一旦、外で話してきな。まだ時間あるから」
こーちに言われ、俺らは外で話すことにした。
外に着くなり、北斗は俺に謝罪してきた。
北「樹、ごめん。京本とキスなんかして…」
北斗は怒られた子犬のようにしょぼんとしていた。俺はまだ涙が止まらなかった。
北「本当にごめん。でも、俺は京本に対して気持ちがあるわけじゃないから…」
樹「そんなこと、わかってる…」
きょものあの目を見ただけでわかる。
きょもの目は、かつて見たことないほど俺への憎しみの気持ちが詰まっていた。
樹「北斗…。ごめん、ごめん…」
謝罪の言葉しか出てこなかった。
罪悪感に押し潰されそうだ。
北「…樹が俺に冷たくなったのは、3ヶ月前だよね。」
樹「…」
北「好きな人ができたの…?浮気してるの?」
違う、違う。
樹「…違う」
北「…3ヶ月前って、樹がレギュラーの番組が始まったばっかだよね。」
樹「…」
北「何が起きたの…?番組と関係はあるの…?」
“番組”
そうだ、これが原因だ。
でも、これを北斗に言った時、他の人に聞かれてたりしたら。俺はきっと干される。
SixTONESを売るためには我慢するしかない。
番組のことを考えたら、胸が苦しくなった。
胸をギュッと抑えていると、急に身体が温かくなった。
樹「北斗…?なんでハグを…」
北「…」
北斗は無言でハグをしてきた。
それが妙に心地よく、俺を安心させてくれた。
久しぶりに、人の温かさを感じた。
久しぶりに、北斗にハグされた。
北「…話してほしいなぁ。」
北斗は優しい口調で呟いた。
樹「でも、もし、誰かに聞かれたら…。SixTONESに迷惑が…」
北「俺は、樹が辛い思いをする方が嫌だよ」
北「それはSixTONES全員が思っていること。だから大丈夫。」
北斗の言葉が冷え切った俺の心に響く。
話そう、そう決意した。
樹「わかった。話すよ、全部。」
北「うん。」
樹「でも、これはみんなに話したい。だから楽屋に戻っていい?」
北「もちろん。」
ふと、北斗の顔を見た。
綺麗な横顔だった。
_続く
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うるうるしたぁ、