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「おお……本当に戻ってきたのか……」
さて、戻ってきたからにはまず現状を把握しておかなければ。
今は…暑いな、七月か八月くらいだろう。そしてうーん、良い天気!暑いけど、貧民街は日当たりが悪い場所が多いからまだマシか。
いやーー、テンション上がるわー!だって大好きなキャラ達に会えるかもしれないし、ね??
横を見ると、ベリベリキュートな天使ちゃんがいた。ああ、なんて可愛いのかしらホントに。自然とお嬢様口調になってしまいますわ。
「にいさ…、おはよう…」
ふわあ、と欠伸を一つ。あーこれはまずいですね。私がモンペになってしまう未来が見える。だって可愛いんだもん。
「嗚呼、お早う銀。善く眠れたか?」
早速問題発生。芥川君の喋り方が掴めない。こんな感じだったかな???めちゃくちゃにして良いとは言ってたけど、芥川君の声で喋ってる以上、せめて喋り方は似せたい。小難しいことは言えないけど!!!!
「うん……」
私の(断じて私のではないが)妹がこんなにも可愛い。まだ眠いのか、ぽやぽやしている。可愛い。お嫁に出したくないよおーー!!
内心こう思っていることをおくびにも出さず、朝食を採ってくる、と布団────もはや襤褸切れ────を銀ちゃんに掛け直し、家……、ギリギリ家と呼べるか呼べないかくらいの住み処から出る。足場がとてつもなく悪いが仕方がない。さっさと銀ちゃんのためにも食料を調達しなければ。
住み処から少し進んだところに小川があり、そこを渡ったところに植物がたくさん生えている場所があった。きのこ……は、判別できないから止めておこう。この世界に来てすぐ死にたくないし。………あ、りんごがある。貰ってこ。
ある程度集まったので寝ぐらに帰る。銀ちゃんはもう目が完全に覚めていた。
「戻ったぞ」
「ありがとう、兄さん。あ!りんご!珍しいね」
喜んで貰えて良かった。その後は二人で採ってきた物を食べ、くだらない話をしながらゆったり過ごす。とても癒された。……妹セラピーってやつか…。
暫く経ち、夜になった。明かりはさっき点けた小さい火だけ。多分一人だったら寂しくて不安だったかもしれないが、銀ちゃんがいるから怖くない。むしろ、銀ちゃんを守るためなら何でも出来る気がするから不思議だ。これがお兄ちゃんパワー。
私の隣で銀ちゃんがすやすやと眠っている。布団の代わりになる物は襤褸しかないが、今は夏だから丁度良い。少し暑いくらいである。
さて、状況を整理してみようか。
まず、今日一日過ごしてみて分かったことがある。まだこの時には芥川君の肺はそう悪くはなかった、ということだ。川で見た姿から判断するに、およそ十歳から十二歳と言ったところだろうか。目がくりくりしてて大変可愛かったです眼福でした。
で、拾われるのが多分十六歳………だと思うので、この四、五、六年で肺が悪くなる、と。まあ、こんな空気が悪いところで生活してたら悪くなるわな。元々貧弱だったかもしれないが。
何はともあれ、私は芥川君程強くはないので、肺の病に罹りながら戦うなんてそんなことは出来ない。ならば、どうするか。