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のんの
321
Rua✨🫧
108
2,024
ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
柔太朗side
勇斗が仁人に告白した。
その話を聞いたとき。
柔太朗は、しばらく何も言えなかった。
🩷「俺、仁人に告った。」
🤍「……そっか。」
🩷「返事は『ちょっと待って』だって。」
🤍「……うん。」
少しだけ笑って。
🤍「よかったね。」
そう言った。
本当は、胸の奥が、痛かった。
でも。
勇斗があそこまで仁人を想っていることを
知って、仁人もきっと困っている。
だから――
少しくらい。
勇斗に譲ってもいいんじゃないか…
そう思った。
思ってしまった。
🤍「……俺は、もう少し待とうかな。」
自分に言い聞かせるように呟いた。
でもその夜。
ベッドに入っても、
仁人のことが頭から離れなかった。
笑っている顔。眠そうな顔。
少し困ったように笑う顔。
「柔太朗」って呼んでくれる声。
そして、勇斗の隣で笑っていた仁人。
🤍「…………。」
胸が、また痛くなる。
譲る。
そう思ったはずなのに
🤍「……無理。」
小さく呟いた。
🤍「俺……。」
布団を握る。
🤍「仁人のこと、譲れない。」
そう思った瞬間。
自分でも驚くほど、涙が出そうになった。
🤍「……なんで。」
目元を押さえる。
🤍「なんで俺、こんな……。」
笑おうとする。
でも、うまく笑えない。
🤍「……俺、泣いてんの?」
一度拭いてもまた目が熱くなる。
🤍「なんで……。」
🤍「なんで今なんだよ……。」
声が少し震えた。
🤍「大事なときなのに……。」
🤍「ちゃんと伝えなきゃいけないのに……。」
それでも。涙は止まらなかった。
🤍「……俺、仁人のこと好きなんだ。」
その一言が。
自分の中に、はっきり落ちた。
🤍「……やっぱり、譲れない。」
翌日の放課後。
仁人と二人で帰ることになった。
いつものように話している。
でも、俺はずっと迷っていた。
言うべきか。言わないべきか。
勇斗はもう伝えた。
仁人はまだ答えを出せていない。
ここで自分まで告白したら、
仁人を困らせるかもしれない。
だから。
🤍「……。」
何度も口を開きかけてはやめる。
仁人はそんな柔太朗の様子に
気づいていた。
💛「……柔太朗。」
🤍「ん?」
💛「今日、なんか変ですよ。」
🤍「……そう?」
💛「はい。」
柔太朗は少し笑った。
🤍「ちょっと考え事してただけ。」
💛「何を?」
🤍「……内緒。」
💛「怪し笑」
🤍「ふふ。」
その笑顔を見て。また言えなくなった。
こんなに可愛い顔をして
笑ってくれるのに…。
困らせたくない。
でも。
好きという気持ちも、消えてくれない。
仁人の家の近くについてしまった。
俺はまだ言えないままだった。
🤍「じゃあ……また明日。」
💛「はい。」
🤍「気をつけて帰ってね。」
💛「柔太朗も。」
🤍「うん。」
少しだけ沈黙。
🤍「……じゃあね。」
💛「……ばいばい。」
仁人が背を向ける。
少しずつ離れていく。
その愛おしい背中を見つめながら、
柔太朗は立ち尽くしていた。
🤍「…………。」
言えなかった。
やっぱり……。言えない。
仁人を困らせたくない。
勇斗に譲ろうと思った。
最初は本当に、そう思った。
勇斗なら。
仁人を大切にしてくれる。
仁人も、勇斗といると楽しそうだ。
だから。
🤍「……俺じゃなくても。」
そう呟きかけて、言葉が止まった。
胸が痛い。
🤍「…………。」
仁人が遠ざかっていく。
その瞬間。
昨日の涙を思い出した。
「譲れない」
そう思って泣いた自分。
🤍「……やっぱり。」
俺は、一歩踏み出した。
🤍「……無理だ。」
もう一歩。
そして仁人を追いかける。
🤍「仁人!」
💛「……え?」
振り返った仁人の前まで走って、
柔太朗は息を整える。
💛「どうしたんですか?」
🤍「……ごめん。」
💛「?」
🤍「さっき、ばいばいって言ったけど。」
少しだけ目を伏せる。
🤍「……やっぱり、言いたい。」
💛「……何を?」
柔太朗は答えられなかった。
怖かった。
断られるのが。困らせるのが。
それでも。もう逃げたくなかった。
そして――
そっと。仁人の小さな背中に腕を回した。
ぎゅっ
💛「……っ。」
仁人の身体が、ぴくっと固まる。
🤍「……ごめん。」
🤍「ちょっとだけ、このままでいさせて。」
柔太朗の声は、少し震えていた。
💛「……柔太朗。」
🤍「俺ね。」
少しだけ息を吸う。
🤍「最初は、勇斗に譲ろうと思った。」
💛「……。」
🤍「勇斗が仁人のこと好きなの知ってたから。」
🤍「仁人も、勇斗といると楽しそうだったから。」
🤍「だから……俺が引けばいいって思った。」
腕に、ほんの少しだけ力がこもる。
🤍「……でも。」
🤍「仁人が帰っていくのを見たら。」
声が震える。
🤍「やっぱり嫌だった。」
💛「……。」
🤍「このまま何も言わないで、仁人が勇斗のところに行ったら。」
🤍「俺、きっと後悔する。」
柔太朗は目を閉じた。
🤍「……俺、昨日泣いたんだ笑」
💛「……え?」
🤍「自分でも、なんで泣いてるんだろって思った。」
🤍「大事なときなのに。」
🤍「ちゃんと伝えなきゃいけないのに。」
🤍「なのに、涙が止まらなくて。」
少し笑う。
でも、その声は泣きそうだった。
🤍「……たぶん。」
🤍「それくらい、仁人のことが好きなんだと思う。」
💛「……。」
そして。
柔太朗は、静かに言った。
🤍「俺、仁人のことが好き。」
🤍「勇斗に譲ろうと思った。」
🤍「思っちゃった。」
🤍「でも……この気持ちだけは、譲れなかった。」
ゆっくり腕を離す。
仁人が振り返る。目が合った。
そのときの俺の目は、
赤かったかもしれない。
🤍「……ごめん。」
💛「なんで謝るんですか。」
🤍「仁人を困らせるから。」
💛「……。」
🤍「でも、これだけは知っててほしい。」
柔太朗は涙をこらえながら、笑った。
🤍「俺、本当に仁人が好き。」
💛「……。」
仁人side
胸が苦しくなった。
勇斗先輩の告白とは違う。
勇斗先輩は、感情を全部ぶつけてきた。
苦しいくらい真っ直ぐで。
「好き」が止まらなくなっていた。
柔太朗は、最後まで迷って。
一度は譲ろうとしてそれでも、
最後には自分の気持ちを選んだ。
そのことが…
どうしようもなく嬉しかった。
でも、だからこそ、
俺はまだ答えを出せなかった。
💛「……少し。」
柔太朗が静かに待つ。
💛「……少し、待っててください。」
🤍「……うん。」
柔太朗は涙を拭って、小さく笑った。
🤍「待つよ。」
その帰り道。
俺は一人で歩いていた。
勇斗先輩。柔太朗。
二人から告白された。
二人とも、
俺のことを大切にしてくれている。
二人とも、
俺のことを好きだと言ってくれた。
どっちも嬉しかった。
でも。
💛「……俺は。」
誰が好きなんだろう。
勇斗先輩を思い出す。
あの必死な顔。震えた声。
「俺を見てほしい」
そう言われた瞬間の、あの胸の苦しさ。
そして、
柔太朗を思い出す。
少し赤くなった目。
「譲ろうと思った。」
「でも、譲れなかった。」
そう言った声。
💛「…………。」
俺の心臓は。
二人を思い出すたびに、
違う音を立てていた。
だから、まだ分からない。
でも。もう、逃げたくはなかった。
自分の気持ちを、ちゃんと見つけるまで。
コメント
1件
ああ……もう、胸がぎゅうってなった⋯⋯🥺🤍 柔太朗、ずっと迷ってたんだね。最初は「勇斗に譲ろう」って思って、それで自分を押し♡♡♡うとしてたのに、帰っていく仁人を見たら「やっぱり無理」って走り出したところ、すごくもどかしくて愛しいって思った。 「俺、泣いてんの?」なんて自分で驚いてるのも切なくて。 でも最後にちゃんと「譲れなかった」って言えたのが……本当に尊かった。 仁人の気持ち、どっちに傾くのか気になるよ……次も読みます🌙