「……ここか」
焔が新たな狭間が生まれたって聞いて駆け付けたが、狭間は真新しくまだ消えて無かった。
「……入るか」
「(気をつけてね)」
「分かってる」
またアイツらが作ったものが分からんが調べなかったら怒られるし、軽くやって戻るか。
「……」
狭間に入った瞬間スンッと静まり返った、まるで時が止まったかのように……なんの世界だ?薄暗く、静かな……いや違う、静か過ぎる。幾つもの世界に入って来たけど、ここまで静か過ぎる世界は初めてだ。ここはどんな世界なんだ?
「ここまで静かだと不気味だな…風もないし……と言うより……」
音が無い…どれだけ地面を蹴っても鳴るどころか蹴った感覚がしない……これってまるで……
「この世界に“音”の概念が存在しない……」
この世界の管理者はどんな思いをしてきたんだ?音の無い世界になる理由が……
「誰…」
「!?」
振り向くと、白髪の女の子がいた、高学年か中一位の、この子がこの世界の管理者か?
「なんで入れたの?あなた、誰?」
「…お前がこの世界を創ったのか?」
「えっ……分からない…ここがどこなのかも…自分も……」
自分が分からない?記憶喪失か?……そういえば焔が言ってたな、“管理者が記憶を失ったり心のバランスが崩れたりすると体の違和感が生じる”って、音が無いのはその影響か…流石にこのままにしておくにもいかないしな……
「……はぁ、分かった、お前の記憶を辿るの手伝ってやる」
「!……いい…の?」
「あぁ、放っておくにもいかないし、方で置いたら怒られそうだし……」
「……あり……がと……」
「……一旦、この世界から出るぞ」
「う…うん……」
「……!?」
「!?」
うるせぇ!!一気に音が耳に入って来て頭が爆発するかと思った!コイツなんか驚きすぎて気絶してるし……
「(エンター!大丈夫!?怪我してない!!?)」
「うわっ!?急に大声出すな!」
「(あっ、ゴメン……心配したんだからね!いくらかけても全然応答してくれなかったし!)」
「はっ?」
今着信履歴確認したらかなり来てた…あの世界にいたら電話の着信音も聞こえなくなるのか……
「すまない、今管理者確保したからそっちに向かう」
「(了解、あの世界はこっちで封鎖させるから気をつけて帰ってね)」
「はいはい、さてと……よいっしょっと」
「……んん……ここは……」
確かあの世界を出た瞬間耳に何かが入ってきて……うるさい……何これ……耳にガヤガヤするものがして変な気分……
「おや、起きたかい?」
「?うわっ!?」
「あっ、ゴメンゴメン、驚かせちゃった?」
「えっ……だ……大丈夫……です…えっと……ここは……」
「あぁここはワールドギルド 焔、って言っても分からないか…」
ワールド…ギルド……?
「あっ、やっと起きたか」
「あっ……えっと……」
「ちょっとエンター!この子が困ってるんじゃない、自己紹介してなかったの?」
エンター……この人の事かな?
「言う暇がなかったんだよ、……エンター・A・プライズ、これが俺の名だ、エンターで構わない」
「僕は焔 渚、このギルドのマスター、よろしくね」
エンター……ほむら……
「さて、それで問題はこの子の名前だね……名前が分からないとどう呼べばいいのか……」
「……音無(おとな)」
「?おとな?」
「あの世界音が無いの話しただろ?だから音無」
「いや流石に音無はちょっと……」
「じゃあ音羽とか?」
音羽……かっこいい…!
「!おや、音羽気に入ったのかい?じゃあ仮に音羽って呼んでおくね、それで良いか?エンター」
「俺は構わねぇが」
「よし、それじゃ、よろしくね、音羽」
「は…はい……」
「…それで、あの世界どうすんだ?」
「一応調査はするが、時間掛かるかな?さて!もう遅いし、早く戻ってエンター」
「へいへい、おやすみ」
「……そうだ音羽、お腹空いてない?」
「え?」
お腹……?
ギュルルル……
「……」
「ウフフ、ちょっとスープ持って来るね」
「……はい…」
数分後……
「お待たせ、お口に合えばいいけど…」
これが……スープ……
「?どうしたんだい?そんな珍しいスープじゃないんだけど……!?ちょっと待って!!」
「!?」
えっ?何!?
「何手で掴もうとしようとしてるの!?火傷してないよね!?……良かった、してないみたいだね」
「……」
なんだろう…この胸騒ぎ……
「記憶喪失がここまで酷くなってるのか……すくってあげるから口開けて、あーん」
「……あーん…」
「……よし、全部食べたね、じゃあ、おやすみ、音羽」
「……おやすみ…」
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こんにちわブルアカのなりきりしませんか?