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lrfw
fw受け
( 付き合ってからまだ日が浅いという設定です )
( lrは現在fwのことをfwっちと呼ぶことが多いですが、恋人設定という理由からとmntと呼ばせて頂いています )
lrn … 「」
fw … 『』
最近、湊の様子が気になる。
具体的には、周りとの距離感について。
普段からスキンシップが少なくはないが、ここ最近は確実に多くなってきている。
ろふまおやせめよんなど、仲のいい人と何かの拍子に同じ場所にいると、必ず誰かとくっついて座っている。甲斐田さんなど年上には幼子のような素振りで甘えて見せる。普段は俺にしか甘えないのに。
「 …. あ゛~~~、マジでなんなん … 」
《 どしたんローレン 》
「 叶さぁん …. 助けてくれ 」
《なに、なんか困ってんの? 》
「 葛葉ァ ….. お前のせいでもある 」
《え、どれのこと? 》
「 そんなに自覚あんのかよ 」
現在、個人的な打ち合わせが終わり、なんか暇やなぁとくろなんの収録終わりに凸をしたという状況。
この際相談してみようと、2人に湊が最近俺以外に甘えんぼで~、と伝える。
意外にも2人共かなり真剣に聞いてくれており、ありがたさと共に湊って愛されてんだな….と少し嫉妬したのは秘密。
「 あとさ、これも理由なんかなって思うんだけど 」
「 最近俺ら全然2人で会えてなくて 」
「 仕事とか配信とか疲労とか ….. 諸々の理由で 」
《 それが1番の理由でしょ 》
《まぁそうだろうなー。ふわっち寂しがり屋だし 》
「 んー …. だよなぁ …. 」
《 ちなみにどういう風なの?甘えんぼっていうのは 》
「 えっとねぇ、まず距離が近い。楽屋で座ってる時とか必ず誰かの隣にくっついてる 」
《それ俺もされたわ、近い以外特になんもないんだけど 》
「 あと、ハグとか手繋ぐとか多い …. 気がする 」
《 それってその場でローレンも見てるってことだよね?なのにわざわざローレン以外にしてんの? 》
「 湊、人前で俺とスキンシップ取るの嫌がるんすよ。俺以外は良いらしい 」
《 ふーん ….. ふわっちっぽいね 》
《そ?わからん 》
これは付き合った当初に言われたこと。
ろれは俺にとっていちばん大事な人やから、あんま他の人に見せたないの。
ろれの、俺だけに向ける表情とか仕草とか、俺だけが見れるものであってほしいねん。
柔らかい声で紡がれる、普段より少し強い関西弁の言葉は、有無を言わせないような強い思いが込められていた。
もちろんそれには承知したし、今も守っている。同じ現場にいても恋人同士っぽいやり取りをするってだけにしてる。それくらいはまぁ良いだろ。
《 んー …. これはもう直接会って話すしかないな 》
「 っすよねぇ … 」
《 俺的には連絡じゃなくて直接の方が良いと思う 》
《 明日ロクフリでしょ?確かふわっちもろふまおかなんかあるし 》
「 … なんで知ってんの 」
《え?いや怖お前。この前話した時の流れで知った 》
「 あーね?おけおけ 」
《 おーい、ローレン呼ばれてるよ 》
叶さんに呼ばれ、目線をドアの方へ向けるとマネージャーがいた。
…. そういやこれからもう1個打ち合わせあるんだわ。完ッ全に忘れてた。
【 ローレンさん、もうかなり時間過ぎてます 笑 】
「 ヤッベすいません!!すぐ行きます!! 」
「 すまん2人共相談乗ってくれてありがと!!明日湊と話すわ!!またメシ行こ!! 」
《 はーい、お誘い待ってまーす 》
《 解決したら報告しろよー 》
「 りょーかい!! 」
超特急で支度を終わらせ、マネージャーの下へ走る。
とりあえず今はこっちに集中しよう。そう思い、自分で自分の両頬を思いっきり叩いた。
マネージャーにはめちゃめちゃ変な目で見られた。
《 …. すっごい目してたねローレン 笑 》
《 まっっじで殺されるかと思ったわ、あいつふわっちのこと大好きじゃん 》
《 そりゃねぇ。ラブラブで何よりだよ 》
《 んー。てかメシ行こ 》
《 無理。帰るわ、バイバイ 》
《 やばお前ひっど 》
次の日。
ロクフリの収録を時間通り終え、挨拶もそこそこし、足早に廊下を歩く。
向かう先はろふまおの楽屋。今朝湊に聞いたところ、今日は1日中収録をするらしい。
葛葉の言う通り、連絡するのではなく直接顔を見て2人で会う約束をすることにした。
湊に会える嬉しさで上機嫌なまま歩いていると、いつの間にか目的地に着いていた。
こんこんこん、とノックをすると、3人分の返事が聞こえた。
「 失礼しまーす 」
『 !!! ろれ!! 』
ドアを開けた瞬間に見えたのは、大好きな恋人の姿。
え、かわよ。俺見た瞬間顔ぱあってなったやん。かわいすぎだろまじ
《 あぁ、ローレンさんか。どうしました? 》
「 おひさっす加賀美さん。ちょっと不破湊さんに用がありまして 」
《 だってさ。早く離れてふわっち 》
『 はぁい。もちさんここ居てね 』
《 無理 》
…. ん?
湊のかわいさに見とれて気づかなかったが、何故か湊は剣持さんを膝の間に座らせている。
嫌だ離せと文句を言う剣持さんを後ろからハグして宥め、けらけらと笑う湊。
…. 何してんの?
『 …. れ?ろれ? 』
「 ぅお、ごめんごめん。ぼーっとしてた 」
『 大丈夫?疲れてんちゃう? 』
「 んー、説はあるね 」
「 ….. 湊さぁ 」
『 ん? 』
「 いっつも楽屋でこんなんなの? 」
『 ? そうやけど 』
いつの間にか近くに来ていた湊は、俺の質問に当たり前だろみたいな顔で答えた。
…. いやそうやけどじゃないんだよなぁ!!流石に距離感バグってるだろこれは!!恋人持ちなのわかってるん?!?!えこれ俺がおかしい?!?!
『 で、なんの用事?連絡くれたら時間調節したのに 』
「 すぐ終わるから良いかなーって。湊さ、今週どっか空いてる? 」
『 今週?一応今日はこれ終わったら暇やね 』
「 じゃ、俺ん家来ない?嫌って言っても連行するけど 」
『 別にええよ、あと2本あるけど 』
「 まじ?じゃあどっかで時間潰そうかな 」
『 ぇ、あ、そうやね 』
「 ? どしたん 」
『 や、なんでもない 』
「 ほんと? 」
『 ほんと 』
とりあえず家に呼ぶことは成功。
色々と言いたい事はあるがグッと堪え、壁の時計で時間を確認する。スタバとか行きゃ良いかなー。でもすぐ終わるかも、空き部屋使わせてもらうか。
《 …. ねぇローレン、収録見てけば? 》
『 え、 』
「 え、良いんすか?! 」
《 スタッフには僕から伝えとくよ。もうすぐ始まるから話終わらせちゃって 》
「 じゃあお言葉に甘えて。甲斐田さんありがとうございます! 」
《 いーえ。不破さん寂しそうだったし 》
「 え? 」
『 ….. 』
「 ….. 湊? 」
『 ….. なんや 』
顔を背けて見られないようにしているが、耳まで真っ赤なので普通にバレてる。
え、寂しかったの図星?クソ照れてるやん。
「 かわいい 」
『 っ、うるさい 』
「 かわいい 」
『 うるさい 』
《 あのー …. お話中申し訳ないんですけど、不破さんそろそろ時間です 》
『 あ、わ、わかった 』
『 じゃ、じゃあね、ローレン。またあとで 』
「 ん。頑張って 」
もう少しかわいい恋人を堪能していたかったが、仕事が優先。
終わったらめちゃめちゃ甘やかしてやるからな。
1本目は食べる系で、想定の時間の半分ほどの時点でまぁまぁ食べているので夜は遅めだろう。なんなら軽くてもいいけど。
感想としては、ゲストがいないからか己のレギュラー番組とはかなり違う空気感が漂っていて、面白いなと純粋に思った。テンポ感が良く、流石にベテランだなとしみじみ感じる。
そして何より、
『 っん!これうまぁ! 』
湊がかわいい。とにかくかわいい。
口いっぱいに飯を詰めて頬袋みたいのを作りながら、幸せそうにもぐもぐと食べている。珍しくゲテモノとかそういう類ではないので嬉しいらしく、湊を見るとこちらまで幸せな気分になってくる。
いつも通りの脳死ぶりをちょくちょく発揮し他3人を困らせつつ、1本目は何事もなく終了。
10分ほどの休憩を挟み、そのまま2本目に入るとのこと。各々水を飲んだりストレッチをしたりと過ごしている中、湊は台本を読んでいるらしい。
『 しゃちょ、社長 』
《 ん? 》
『 これなんて読むん … ? 』
《 これはイワシですね 》
『 いわし … 魚片の漢字わからんねん俺。さすが社長 』
《 私もわかりませんよ、なんで漢字にしたんだこれ 》
『 んは。ぁ、そうだ、これどこのやつ? 』
《 多分 … この前2人で行った所のやつかな 》
『 ふーん … さんきゅ 』
加賀美さんがジャケットの下に着けているブレスレットを撫でながら尋ねる湊。
…盗み聞きしてたのは謝るが、今2人で出掛けたって言った?
いつ?そんなん聞いてないけど俺。そういや前にいつもと違う香水の匂いしてたな。そん時か?でも香水ってそんな移るもんか?だいぶ近くに寄らなきゃ無理じゃね?
《 ふーんて … 笑 そろそろ収録始まりますよ 》
『 はぁい 』
《 ローレンさんと話さなくて良いんですか? 》
『 んー、いいっす 』
「 なんかちょっとひどない?? 」
『 やっべ聞こえてた笑 』
「 もう始まるし良いけど。ラスト頑張れよー 」
『 ん!あんがと! 』
ここぞとばかりに湊の視線をかっさらっておいた。仕事仲間だとわかっていても、流石にちょっとは気にする。勝手に嫉妬してごめん、加賀美さん。
これ終わったらイチャイチャできるし、もうちょい我慢。加賀美さんとのことに関しては、後でちゃんと聞いとこ。
【 本日の収録終了です!お疲れ様でした! 】
スタッフの声が響き、お疲れ様でしたーと多種多様な声が聞こえる。
疲労からか座り込む湊を見ながら、俺は1人、もやもやとした感情を抱えていた。
イラつきにも近いこの感覚。大方嫉妬だろう。普段はこんなに思うはずがないのに、今日はどうも気にしてしまう。
湊が誰かに触れたりするだけで、少しの嫌悪感を感じる。これ以上収録なくて良かった。
《 不破さん、早く行くよ。機材と一緒に片付けられるよ 》
『 あ~~ ….. 甲斐田、起こして 』
《 はいはい。よっ … とぉ?! 》
『 っわ。あは、あぶね~ 』
《 あぶね~じゃねぇよ!僕まで倒れるとこだったじゃん! 》
『 んー、甲斐田あったか。子供体温じゃん 』
《 ちょ、暑いって!離れろ!ローレンにキレられる! 》
騒がしさに視線を上げると、甲斐田さんに抱きつき、ぐりぐりと頭を押し付ける湊がいた。
その瞬間、耳の奥でプツン、と何かが切れる音がした。
「 湊 」
『 ぅお、ローレ、ン …. ? 』
「 帰るよ 」
『 ぇ、ぁ、うん。っちょ、まっ 』
「 待たない。早く来て 」
『 っ、お、お疲れ様です!お先に失礼します! 』
《 お疲れ様、ふわっち 》
腕を引っ張り、強引に連れて行く。周りのことなんて気にせず、早足で控え室に戻る。自分と湊の荷物を奪うように取り、そのままエレベーターに乗り込んだ。
吐き気のするような浮遊感と、沈黙。彼はこの状況が落ち着かないようで、おろおろとこちらを見詰めてくる。
『 ろ、ろれ 』「 湊さぁ 」
「 恋人持ちなのわかってんの? 」
「 親しいとは言え距離感ってモンがあるんじゃない? 」
目的の階を知らせる音が響き、びくりと反応した湊を連れ出す。
事務所から出て、近くの乗り場にちょうどいたタクシーに声を掛ける。
「 乗るよ 」
『 っ、うん 』
運転手に行き先を伝え、湊の手を握る。恐る恐るというように握り返された左手は、晩夏だというのに冷たくて、微かに震えていた。