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すべてを見ていたレベッカが、静かに涙を流していた。そんな彼女の背中を、ロビンが優しく叩いた。



「…うん」



全てを終わらせたキュロスが俺たちの方を向き、そして小さく頭を下げた。俺とロビンも同じように頭を下げる。



「行ってこいよ、レベッカ」



その言葉と同時にレベッカはキュロスの元へ駆け出した。



「……っ」

「ロビンさん、怪我を見る。俺に背を向けてくれ」

「…えぇ」



ロビンの背中から血が出ていた。医療キットの中のものはかなり少なくなっていたが、何とかロビンとキュロスの分はありそうだ。ロビンの背に触れ、血を拭き取っていく。



「包帯を巻く、なるべく肌は見ないようにする。いいか?」



そう聞くとロビンはクスッと笑って、どうぞと言った。俺はロビンの服を少しめくって、腰より下の部分にも包帯をぐるっと巻き付ける。

その時だった。ひまわり畑に振動が走る。まさかこれは……ピーカ!?

地面から棘のように岩が突き出してくる。突き出た岩のひとつにピーカの顔があった。クソ……まさかゾロ……いやいや、ンなわけない。

ピーカはキュロスとレベッカに何かを聞いていた。遠くにいる俺たちにはあまり声は聞こえない。少しの時間を空けて、ピーカが消える。



「…どういうこと?」



ピーカは棘のような岩を俺たちのいる4段目だけでなく、3段目、2段目、1段目……と、無差別に突き刺していく。

なんだ? ピーカは何がしたい? なにが目的で突然大きく動き始めた?



「……あいつ、どこを見てる?」

「あっちには確か……ッ、台地よ。王の台地があるわ!」

「まさか……リク王を消す気じゃねえだろうな!?」

「なんだと!?」



俺の憶測に、キュロスが台地の方へ向かおうとする。



「待てキュロス! 冷静になって考えろ! 俺たちが全速力で台地へ向かうのと、ピーカが一歩進むのと、どっちが速いと思ってる!?」

「く…ッ、ならここで指を咥えて見ていろと言うのか!!」

「ゾロに任せろ! あいつはゾロの獲物だ!!」

「だが、あんなもの止める手段がない」

「おじい様……」

「ウソップ…」



俺たちはピーカの行く台地を、そしてゾロを見ていた。ゾロならピーカを止めてくれるはずだ。

ピーカが台地をその大きすぎる拳で潰そうとした瞬間、ピーカの巨体が上半身と下半身で分かれる。ゾロが斬ったのだ。次に右半身と左半身に。ゾロはピーカの肉体をどんどん小さく刻んでいく。あの町のように大きな石の塊を細かくしていることに、俺たちは思わず目を見開いてしまった。

そしてぞろは、本体であろうピーカの肉体を斬った。



「リク王様」

「よかった…」

「ははっ……すげぇ!」



思わず口に出た。ロビンも同じようで、俺の言葉に笑っていた。



「あとは総大将だけだな、ローとルフィが王宮にいる奴らを片付けりゃ、この国の戦いは終わる」



俺は王宮の方を見上げる。ロビンも同じように見上げている。きっと同じことを考えていることだろう。

遠くでSMILE工場が爆発するのが見えた。本当に、あともう少し。ドフラミンゴを討てば終わるんだ。



「レベッカ様ー! ロビランド―! ご無事ですかーっ!」

「…聞いたことある声だ」

「トンタッタ族のレオよ。電伝虫越しに聞いた声のはず」

「…ああ。それか」



手のひらサイズの小さな小人、トンタッタ族が俺たちの元に駆け寄り、そしてキュロスを見上げていた。



「…………あ、隊長! キュロス隊長なんれすね?」

「ああ、姫を救えたんだな。レオ」

「なんて凛々しいお姿。銅像にそっくりれす!」

「ハハッ、逆だが…」

「あ…まあ、酷いお怪我。すぐに直してさしあげます」

「いや、待ってくれ」

「?」

「君がマンシェリー姫だな。君の能力の話はよく聞いていたが、制限があるはず。私には使わないでくれ」

「えっ? ですけれど、全身から血が!」

「大丈夫、意識もある。まず君が無事でよかった。ツラかったろう。能力を使ってくれる気なら、それを必要とする人たちは国中にいる」



マンシェリー姫が、その小さな体でドレスローザ王国を見下ろした。惨状を、その目に映し、小さき姫は瞳を揺らした。聞いていた情報よりも、きっと酷かったのだろう。



「戦いはもう正念場。先ほどジェイデンが言ったように、ドフラミンゴを討てばこの国を取り戻せる。希望は今、海賊たちの手に委ねられている」

「海賊?」

「あの王宮の最上階で」

「ルフィランド、ローランド…」

「ルフィ、トラ男くん…」

「お願いだ、どうか2人とも無事でいてくれ……」



――どうか、死なないでくれ。

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