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「……なんだ、嫌な予感がする」
俺はざわつく胸を押さえ、遠くを見る。
「……あ……う、そ……だろ……。なあ、ロビンさん」
「何?」
「鳥カゴ、動いてねえか? この島のすべてを覆っていた鳥カゴの範囲が縮小している気がするんだ」
「なんですって…?」
俺と同じようにロビンさんが上空の鳥カゴを見る。遠くの建物が崩れ、土埃が舞い、混乱の声が広がる。
「…ロー」
俺はロビンさんの方を向く。彼女は真剣な表情で俺を見ていて、そして俺の頭を撫でる。落ち着かせるように。
「ッ……は、おうしょく……覇王色の覇気だ…」
王宮を見上げると、王宮全体が揺れているように見えた。
ルフィの放つ強烈なオーラに思わず息を飲む。しばらくしてその衝突は止んだ。戦況は、どっちが押しているんだ?
それから少しして、レオが王宮を見上げて口を開ける。
「どうした? レオ」
「わかんないれすけど……なんだか、何だか胸がすっとすくような…」
その発言の後、王宮が大きな炎に包まれた。何が起こってるんだ。
「ルフィ、ドフラミンゴ」
「ルフィランド!」
「大丈夫れしょうか、何か僕らも加勢を…」
「だめだ!」
「えっ」
「俺たちが行けばきっと足手纏いになる。だから俺はずっとここにいるんだ」
「ジェイデンの言う通りよ。見て、ドフラミンゴと同じ王下七武海の称号を持つトラファルガー・ローでさえ――あんな姿に!」
「ッ! ロー!!!」
俺はいきなり走り出したせいで転びそうになる、上空にいるローを抱えるルフィに向かって俺は叫んだ。
「ローをこっちに寄越せ!! ロビンさん手伝ってくれ!」
「ええ! ルフィ!」
「ジェイデン! ロビン! 助かる! 頼む、トラ男はもう十分ミンゴを追い込んだ!」
ルフィがローをこちらに落とす。嘘だろ、ローの腕が…
「俺は鬼哭と腕を回収する! ロビンさんはロー本体を!」
「任せて! シエンフルール、スパイダーネット!」
すぐにローに駆け寄る。
「ロー…お前……腕…しっかりしろ、ロー!」
「ニコ・ロビン、ジェイデン」
「はっ」
「ッ……」
「余計な真似をするな。そいつはまだ息がある。退場じゃない」
「ドフラミンゴ!」
なぜこんなになってまでまだローを殺そうとする。もう十分だろ!? いい加減にしろよ!!
ローの近くにいた俺とロビンもろとも殺す気の弾糸の雨。俺は烏融を握り、糸を打ち返す勢いで立った。
「抜刀 晦冥ッ!」
「プレシャスメタルアックス!」
「キャベンディッシュ…!?」
「キャベツくん!」
糸を跳ね返す俺の隣に立ち、キャベンディッシュは同じようにローやロビンたちに当たらないようにしながら糸を弾いてくれた。
「すまない。さっきまで眠っていたよ。――まだ決着はつかないのか、麦わら!」
キャベンディッシュの問いに、ルフィは全員を連れて下に下りろと言った。
「バカ言え! ここでドフラミンゴにまみえたからには、僕も一太刀……」
「みんなを頼んだ!」
「ハッ…た…頼んだ? っ、信頼…人望…人気! 麦わらは僕のファン…」
「すぐその思考回路に至るお前をもはや俺は尊敬するよ。ほら行くぞ、俺もお前には期待してる」
「お前もなのか!?」
「あーもー、それでいいよ! ファンの頼みをお前は断んのか!?」
「断れない! 下の段にバルトロメオがいるはずだ。奴の能力ですぐ下へ!」
「あぁ!」
俺はローに駆け寄る。
「ロー! レオ、お前の能力でこの腕を付けられないのか?」
「…切り口がぐちゃぐちゃれす。上手く縫い合わせられれば……」
「そうすれば、私のジョーロで治癒できるのれすけど」
「ありがとう、マンシェリー姫」
「……なんとかなるんだな? なら今は下へ行こう。ローは俺が運ぶ」
キャベンディッシュが3段目にいるロメオに叫んでいるが、あいつのことだ、キャベンディッシュの指図は受けねえとかこの期に及んでほざいているのだろう。
「キャベンディッシュ! ロビンに階段を作ると言え! あいつコンマでこっちに階段伸ばすぞ!」
「なんなんだあいつは! ニコ・ロビンたちに階段を作るんだ! 急げ!」
キャベンディッシュが俺の言う通りにそう言うと、すぐさまバリアの階段が現れる。お前そんなに扱いやすいのはどうなんだよ。麦わらの一味をダシにしたらお前三輪車ぐらい扱いやすいじゃねえか。
「ロー、運ぶぞ」
気を失っているローに一言言って俺は走り始める。
「まて」
「気が付いたのかロー! でも待てってどういうことだ?」
「13年間……おれはドフラミンゴを討つためだけに生きてきた。…うっ、やれることはすべてやった。あとは……麦わら屋に託すしかない。あいつが勝つのなら……ここで見届けたい」
「…………」
「もし、負けたなら、おれもここで……共に殺されるべきだ!」
弱々しい力で俺の服を掴む。
「おれが、あいつをこの戦いに巻き込んだ。ここで見届けたいんだ。置いて行け」
「トラ男くん、同盟の船長の立場は対等のはずよ。ルフィは、ルフィの意思でここにいる。意思のない喧嘩はしない人よ」
「……置いて行け…うぅっ、頼む……」
「……俺が、「はいわかりました」って言ってお前を置いて行くと思ってるのか」
「ジェディ…」
「俺もここに残るよ」
「ニコ・ロビン、先に行け」
「キャベンディッシュ…?」
「自殺願望は聞けない。僕も残る」
「……いい奴だな、お前」
「今更気づいたのか?」
キャベンディッシュが自分のコートをロビンに渡す。背中の傷を隠せということだろう。
「行くんだ、ニコ・ロビン。彼らは僕に任せてくれ」
「行ってくれ、ロビンさん。そもそも俺は、ローを任せてくれと、ローのクルーに約束してるんだ」
「ありがとう、キャベツくん、ジェイデン」
ロビンがキャベンディッシュのコートを受け取り、ロメオの作った階段の方へと走っていく。
王宮にまた炎の渦が立ち上がる。それがもうどちらの技なのか、俺たちにはわからない。でもルフィは必ず勝つのだ。