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⚾️side
自分で言うのもなんだけど今までの人生、なんでも上手くこなしてきた方だと思う。
スポーツは昔から得意で勉強に苦労したこともない。女の子に言い寄られることも少なくないし。
だからこそ、なんだかずっと満たされなくて、こんなんでいいん?自分なんて思うことがあって。
高校に入ってすぐカイリュウと仲良くなるとバンドやらん?と声をかけられた。
音楽なんてあんまり興味なかったけど、カイリュウの誘いならと二つ返事でOKした。
始めてみると難しくて、でも楽しくて。やっと夢中になれるものを見つけられた気がして嬉しかった。
だから今までのつまらない人生を変えてくれたカイリュウにすごく感謝してる。
少しずつメンバーが増えて音楽として形になっていく日々がいつの間にか1番大切なものになっていて。だからそれを邪な気持ちで邪魔する奴は嫌い。
カイリュウは分け隔てなく接する性格で人から好かれる。その分、下心で近づく奴も少なくない。
音楽をする大切な時間を汚されたくなくてそういう奴らはとことん辞めさせてきた。カイリュウは気づいてないけど。
ーー初めにセイトが入部してきた時にあ、カイリュウのこと好きなんやなってすぐに気がついた。こいつもどうせ軽い気持ちやろなんて思って釘を刺してみたけど、音楽にも本気で向き合ってくれる姿に思わず心打たれて、もう少し一緒にやっていきたいと自然に思うようになった。
その後にナオヤが入ってきた時、セイトへの気持ちが見えてなんか面白くなってきたなんて思った。
2人とも好きな人の行動でコロコロと表情が変わって。どうなるんやろって興味でそこからはよく観察するようになった。
セイトは顔に好きって見えるくらいカイリュウに対しての視線が熱っぽくて。反対にナオヤは誰にも気がつかれないように、自分を隠しながら接している印象だった。
昔から人の気持ちに気がつきやすい分、ナオヤのそんな姿に俺しか気づいてないんかな?なんて思うようになって。
初めはただの興味本位。それは今でも変わらないはずだったのにーー。
家から飛び出して子どもみたいに涙を流すナオヤを初めて見た瞬間、そばに居てあげたいと思った。
それと同時にこんなに感情を出すナオヤを今見ているのは俺だけなんて優越感もあって。
考えるより先に、いつの間にかナオヤを抱きしめていた。
自分でも分からない。この気持ちがなんなのか。でも今だけはただそばに居てあげたくて、何も考えないようにしたーー。
ーーーーー
🐰side
ナオが家を飛び出した瞬間、すぐに追いかけようと立ち上がる。
見られたよな?なんて思ったかな?なんて焦りで感情が乱される。
でも、追いかけて、どうするん?何を言えばいいん?実はカイリュウのこと好きですなんて。そんなこと言ったらナオは俺のことなんて思う?
頭の中がぐちゃぐちゃでなかなか足が踏み出せない。
後ろを振り返るとまだ気持ちよさそうに寝息を立てるカイリュウ。
そんな姿を見てそばに居たいと思う自分と、ナオのことを追いかけなきゃいけないと思う自分。その気持ちで葛藤していると突然声をかけられる。
「俺が行くから。大丈夫だよセイト」
佐野いちご
95
いつの間にかそこにはエイキが立っていて、俺の肩をポンと叩いて家を出て行く。
その後ろ姿をただ茫然と見ることしかできなかった。
俺、最低や。ナオにどう思われるかわからない怖さをエイキに鎮めてもらって。カイリュウのこと好きやって堂々としていたいのに。親友に見られた瞬間、自分の弱さが出て。
「ごめん、、っ。ナオ、、。」
静寂の中でただ謝ることしかできなかったーー。
コメント
1件
読了しました!エイキの視点が入って、一気に話の深みが増しましたね。最初はただの冷めた観察者だったのに、ナオヤの涙を見た瞬間に「そばに居てあげたい」と自然に動くところ、心臓がぎゅっとなりました。セイトの「謝ることしかできなかった」という後悔も切なくて…。3人の感情が複雑に絡み合って、次の展開が気になって仕方ないです。あめさんの心理描写、いつもながら繊細で素敵です🌷