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放課後。
帰り道のコンビニに、咲はふらりと立ち寄った。
文房具の棚へ向かう途中、ふと冷蔵ケースの前で見慣れた背中を見つける。
「……悠真さん……?」
心の中で呼んでみるだけで、声は喉に引っかかって出てこなかった。
買い物かごを片手に立つ悠真は、まるで大人の一部に溶け込むようで――学校帰りの自分とは違う世界の人みたいに見えた。
勇気を出して近づこうとしたそのとき。
「……悠真」
店の入口に立つ女性の声が、空気を変えた。
大人びた雰囲気のその人は、まっすぐ悠真を見つめていた。
咲は思わず足を止める。
胸がざわめきながら、声をかけることができなかった。