⚠R15
佐伯は体に熱を籠もらせながら彼に応じていた。
したいと思っていたキス。深くまで触れ合ってみたいと思いながら、自信がないからそれをしないでいた。
思わぬ形で出来たからか、胸の高鳴りが止まらない。
2人で1つの飴を溶かす。たまに角度を変えて、飴を行ったり来たりさせながら触れ合い続ける。
互いの唾液が混ざってレモンの甘酸っぱい味が強くなった気がした。
上手くできているのか分からない。薄っすら目を開ければ同じようにして見ていたらしい彼と目が合う。慌てて閉じれば、よしよしするように頭を撫でられた。
自信がないって思ってるのがバレたのだろうか。ずいぶん甘やかされているな、と ふわふわする頭で考える。
もっと彼に応えたいな、なんて。
互いに溶かしあった飴は小さくなっていく。
「っはぁ…」
口を離せばつぅ、と一瞬銀の糸が互いを繋いで切れる。
緋八は彼の頭を撫でてそっと顔を離す。
佐伯は頬にとどまらず耳や首まで真っ赤にして目線を彷徨わせていた。
「かわいい」
その初心な愛らしさに思わず抱きしめればきゅう、と彼の喉の奥で音がなる。息切れで上下する胸。
服越しに感じる彼の高い体温に少し笑っていれば手を取られる。
「マナ君」
「うん?」
手を握ってちらちらとこちらを見ながら彼は小声で零すようにして言った。
「もっとしたい、です」
「なんで敬語?」
「…なんか、なんとなく」
「ふふ、うん。ええよ」
彼の口にある飴がカリっと音をたてる。噛んで飲み込んだらしい。
彼が再び口を寄せてきたから瞼を閉じる。
閉じる寸前、彼が薄っすら口を開けていたのが見えた。
ちゅ、とリップ音。熱い舌が入ってくる。
口腔に集中していれば、服の中に手が入ってくる。シャツの下に手を侵入させて、直に背中をなぞってきた。
「……ん…んっ」
背骨をなぞる、下から上へとゆっくりのぼっていく感覚に思わず首をくすめる。
舌を絡めればザラザラとした感触。少し残るレモンの香り。
チリチリと甘い電流が脳天に走る。
微弱な快感が心地良い。
静かな室内で控えめな水音だけが聞こえた。
「っふぅ……はぁ」
口が離れるが、腕は後ろにまわされたまま。
彼は息継ぎの仕方にまだ慣れないらしい。吐き出した息まで熱を感じそうなくらい彼の体温が高く感じる。
ぎゅっと、抱きしめられた。 かと思えばそのまま体を倒してくる。
床に頭をうたないように手で支えてくれている。
「マナ君……どうしよ」
「どうした…?」
「……止められない、かも」
相変わらず赤いままの顔で、眉をハの字にして切なげな表情で見下ろしてくる彼。
こちらを気遣いながらも堪えきれないというのが滲み出ている。
彼の目の奥が獲物を逃がさんとギラついて見えた。
「……いいよ。止めないで」
抵抗しないことを示すように両手を投げ出す。無垢な豹の前で無防備に体を晒した。
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