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「 夏 の果 」
もとぱ
Prolog
「 この話は、もう誰の耳にも届かなくていいんだと思う。ただ あの 夏を。あの影を。誰かが少しだけ覚えていてくれたら それだけでいい 」
蝉の声が耳を刺すほど響いていた。
草の匂い。熱せられた空気。遠くで犬が鳴いた気がした。
田舎の夏は、思い出の底に沈んでいる。
彼の名前は元貴。
いつからそこにいたのか、どこから来たのか、誰にもわからなかった。
そして、
あの夏の終わり、元貴は――跡形もなく、いなくなった。
その痕跡は、
「 僕の中 」にだけ、いまも薄く残っている。
でも、あれから一年が経っても、
ぼくは 夢 でしか 彼に 会えない。
会えないのに 忘れられない。
触れられないのに、忘れてしまいたく ない。
この物語は、一人 の少年が、
たしかにそこにいたという、証明 のためにある ───。
消したり作ったり…すみません。
これも消す可能性 大 です。